第2話
ジリリリリ!
けたたましく音を出す旧式の目覚まし時計を止めながら起きる。
今は6:30。
別にもう少し遅く起きても俺は遅刻しないのだが、とある戦いのために早起きしないといけない。
「オイコラ、起きろ」
ゲーム中毒者を起こす事だ。
今、「そんなの簡単じゃね?」とか思ったやつ。
全然簡単じゃねえよ!
今から逐一見せてやるからよく見ろ!
「……嫌」
夜行性ゲーム中毒者は二度寝しようとする。
ですが、そんな事はさせません。
いや、させてたまるか。
「オラァ!」
俺は布団を引っ張って剥いだ。
しかし、この中毒者は布団から離れない。
床に落ちても全然離れない。
なぜかわからないが握力は俺より強い。
「……モゾモゾ」
「おい、ベッドに戻るな!」
さらにそこから布団を持ったまま、芋虫のようにベッドへ這いあがる。
コレが大体30ループ位されるんだよ。
しかも、回数重ねるごとにしぶとくなってく。
最終的にセーブデータを人質にとってやっと終わるんだ。
最初からセーブデータ人質に取るのはなんとなく気が引けるから最初からはしない。
で、今の時間が8:00。
結構ギリギリだ。
俺の家から学校まで徒歩20分位で、8:30までに登校しないといけない。
「はい、着替え」
「……ん」
と、バンザイの姿勢をとる後輩を着せ替え人形のように着替えさせる。
もうすこし羞恥心と自立心を覚えてほしい。
無理だろうけど。
「今日は、サンドイッチだけでいいよな?」
「……ツナ」
「あいよ」
最新式のトースターで食パンを焼いている間にツナとコーンをマヨネーズで和えてレタスをちょうどいいサイズに千切ってさっと水で洗う。
洗った後に水気をキッチンペーパーで拭きとる。
そして焼けた食パンにそれらを挟んで食べやすいサイズに切れば……。
「……ツナサンドの完成」
「そこ俺が言う所だろ」
作ったツナサンドをものすごい眠そうなゲーム中毒者の口に突っ込んでいく。
意外と食べるの早いので此方もあまり手間を取らずに済む。
いやまあ、自分で食ってくれたらそれがベストなんだけどな。
つくづく自分はこいつに甘いなと思いながら、口いっぱいにツナサンドを頬張る小動物を見ていた。
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