第236話世界最強の座

「・・・」


「フ!」


ガキィン!!ガキィン!


襲い掛かる機械的な触手を、聖剣で叩き落とす


(本当に天災だな。天才でもある)


かれこれ十何分程度戦っているが、致命打や、攻略法が一切見つからず攻めあぐねていた


世界最強と言われた自分を少しだけ恥じた


「御霊の鏡」


「・・・」


バッリン!!!


「反射すら不可能になってきたな!バカ火力が!」


相手の攻撃を反射しようとスキルを発動するが、一瞬にして無効化される


剣が舞う度に天災の攻撃力が上がって行く


「ふぅーー集中力が消えてきた」


「魔力全開放短」


「うぬぅ!!」


全力ダッシュを始める。ガチでマジで本気で走る


地面に動物のようなひっかき傷が痛々しく残る


「ぜぇぜぇ」


「お前は誰だ?君は誰だ?君の家族は生きているのか?」


「詠唱破棄!」


魔法の詠唱かと思い、スキルを使用しようとしたが


魔法を使っていませんっと表示された


「あ~?」


「君は全てを忘れている」


スキル全てが使用禁止になりました


「は?」


職業特性が消えました


(何が起きている?)


「そして僕も全てを忘れている」


相手のスキル全てが使用禁止になりました


「・・・」


「ガチタイマンか!」


思惑を一瞬にして理解し、天災との距離を縮める


(近接戦の技術は相手が勝っている、がステータスは俺が勝っている)


「勝率は関係ねぇ!10パーセント勝てるなら俺は挑むぞ!」


「・・・」


それは野性的な感だった、何かが来る。アルハテナの本能がそう叫ぶ


ボコボコ!!


一瞬にして、天災との距離を取っていた


「・・・おいおい、、お前卑怯だろ」


ボコボコボコ!ガリガリガリ!


「プギャァ」


おびただしい数の、リング上を半分埋めるほどの虫達が


「君を見ている」


「触手も据え置きですかい、、装備の奴は行ける」


(そういえば相手の職業特性は使えるな、、新種の職業だな)


「後光よ!」


アルハテナの体が少しだけ光る


いつも使っているバフと比べると、カスみたいなバフだが、無いよりはマシ


「やってやるよ!」


職業特性が解禁されました


「あ?!」


一瞬、たった一瞬だけその文字に目を取られた


「あぐ!」


次の瞬間、天災に顔面を掴まれた。天災の瞳には俺の驚いた表情が写る


ドン!!!!


スキルが使えない人間とは思えないほどの力だった


そこから先の記憶は無かった


自分自身がどう負けたのかすら覚えてなかった


ただ、負けたとだけ覚えていた






「しょ、勝者!天災!龍桜雫!世界すら開拓する男に勝利しました!」


「とてつもなく凄い技術が沢山見れましたね」


「そうですね!私が驚いたのは一度だけ、攻めに入ったアルハテナの攻撃を全ていなした所ですね!」


「スキル使った様子も無かったので、単純な技術でしたね」


「おい」


実況解説席の目の前から、声が聞こえた


「ヒェ」


「ここはどこだ?」


「え?」


「頭痛放置して、やったせいで記憶どっかに飛んだんだ」


「・・・」


目の前にいる天災が、訳の分からないことを言い出す


「雫さん!早くログアウトしてください!」


狂乱の魔導士が無理やり天災を連れて行く


「・・・なんだったんでしょうか?」


「頭痛のせいでしょうか?」


「というか狂乱の魔導士と仲良かったんですね」


「そうですね」


第一回ワクワクタイマン戦が幕を閉じた


この大会は天災の知名度を飛躍的に上げた


それと同時に天災の意味不明さも露呈した




天災もとい龍桜雫は、病院で精密検査した所


流行り風邪にかかっていたと言うことが分かった


ゲームにログインせずに療養している時に博士と色んなことを話し、あることに気づいた


「君の記憶は長時間寝ることで、セーブ?されているな」


「ゲームみたいな脳みそですね」


「まあ、ラッキーだと思えばいいのかね?心の仮面外しても大丈夫そうだね」


「外しませんよ。あの人格だと全てに興味ないんで、世界が面白くない」


「気分はいいだろう」


「いいですけど、、世界面白くなくなるのと天秤にかけたらね」


「あ、そうだ。君に教えないといけないことがある」


あることを教えられ、凄く悩んだ。アルハテナとの戦いよりも悩んだ

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