第231話一瞬で終わらせる

「星のステラの特徴であるスピードを、狂乱の魔導士はどう対応するのか」


「短い距離だと世界最強と言われている。スピードにどう対応するのかが楽しみですね」


「試合開始のゴングが鳴りました!」


「色んな要素が急に追加されますね」


今回の大会で初めてのゴングが鳴った


《この足が動く限り》《酸性雨、泥濘、追撃の矢装填》


雨が降り注ぐ、地面が泥濘、杏夏は浮いている


「雨が降り始めた!」


「観客の皆さんはシステム的なバリアで、ダメージは食らいませんからご安心を」


《星に願いを》


《ルールブック、スピードの上限値をルールブックの持ち主と同程度にする》


「なんですか!その効果!」


「何かしらの条件がありそうですが、、今の所強すぎますね」


「ステラの姿が消えました!」


《ッチ、間に合わないか》


《アサルトアタック》


ステラの足が杏夏の腕にミキミキとめり込む


「クリティカルヒット!」


「モロに食らいましたね」


《空中を歩いてるな、、、》


「魔力濃度が上がった!大技の予感がしてきました!」


「苦痛の表情が浮かんでいますが、魔法を撃てるんでしょうか?」


《神装》


《・・・マジ》


白銀の甲冑を纏い、背に天使の翼が生える杏夏


「・・・・は!失礼!見惚れていました!」


「試合が終了しました」


「え?」「え?」


試合終了のアナウンスがコロッセオに響く


「え?ど、どみょうに」


「落ち着いてください」


「えぇ!どうやって!一秒未満ですよ!話かけてきます!」


「規約上ダメですよ」


「運営に問いかけてきます!」


実況の人がどこかへと走って行く。杏夏の周りには人だかりが


「あ、消えた」


「囲まれてるの嫌だったんだろうな」


「セレスちゃん」


「ワア!」


横に突如杏夏が現れ、椅子から転げ落ちるセレス


「雫さんはどこですか?」


無表情で雫の場所を聞いてくる杏夏、その表情はピクリとも動かない


「トイレ行ってくるって言ったきり、帰ってきてない」


「そうですか」


ゆっくりとセレスの隣に腰を下ろし、座り始める


「・・・・」


「・・・・」


「滅茶苦茶セレスちゃん、気まずそうな顔していますね」


「副マス、男性部門行ってくるので、帰ってきたマスターにもお伝えください」


大樹がタイマン戦へと移動していく


「きょ、杏夏は主のどこが、、好き?」


沈黙が苦しく、苦しまぐれにひねり出した言葉を話すセレス


「顔と性格」


「杏夏さんってそいうので選ぶんですね」


機械仕掛けの人形がトイレから、ちょうどいいタイミングで帰ってくる


「・・・」


「雫さんはカッコイン顔してますけど、なんて言えばいいんでしょうか」


「アニメとかで見る顔だろ」


「そうでそうです!アニメキャラの顔かよってぐらいカッコいい顔ですよね」


「今の姿は可愛い系ですよね」


ステラが話の間に入ってくる


「え?」


杏夏の表情が変わる。興味がありそうな顔へと変化する


「実を言うとですね。今雫さん、子供の姿になってるんですよ」


「・・・」ガタタッタン!!


椅子から転げ落ち、そのまま階段を2段ほど転げ落ち続ける


「詳しく」


「やっぱ同化率下げます?」


「今2、痛みほぼ感じない。というか早く詳細を教えろ」


「本人に会って下さい。ちなみにアバさんが会わせるの止めるぐらい可愛かったですよ」


「鼻血が、、」


「それはどっちですか?怪我ですか?」


「両方だと思うぞ」


どこからかティッシュを取り出し、鼻をかむ杏夏


「人形さんも知ってますよね。雫さんの子供姿」


「くっっそ可愛かった。絶対子供じゃないだろとは思ったが」


「めっちゃ気になる」


「写真は撮ってますから安心して下さい。本人に会えなかったら見えてあげますよ」


そんな雑談を永遠と繰り返しながら、雫が帰ってくるのを静かに待つ

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