第232話頭痛

「・・・」


「あ!しず、、、」


雫さんの様子が明らかにおかしい


「・・・」


表情がまずおかしい少しだけだが、苦痛の表情を浮かべ汗をかいている


苦痛の表情を、浮かべるだけでもおかしいのだが、汗までかいてるのは異常だ


「だ、大丈夫ですか?」


「頭痛が痛い」


「頭痛ですか?」


(この人確か人より脳みそ凄かったはず。頭痛も色々と違うのか?)


「あれ?雫さん大きさ戻ったんですね」


「・・・」


左手で頭を支えながら、座り始める雫さん


「頭痛が痛いそうです」


「・・・・片頭痛ですか?」


「・・・」


「結構深刻ですね」


どうしようかと考えていると、聞き覚えのある声がかすかに聞こえた


「捕縛の鎖、連れて来い」


「わー」


「妹さん、雫さんが頭痛が痛いらしいんですけど」


雫さんの妹、紅葉さんを鎖で引き寄せる


雫さんの妹なだけあって、一切動揺していない


「え?それはマズイね。お兄ちゃんの頭痛、普通の人の数百倍ぐらい痛いらしいんだよね」


「痛みに強い雫さんがこんな顔になるわけだ」


「お兄ちゃん、仮面は外したらダメだよ」


「・・・試合はいつだ」


低い声で、試合時間を聞いてくる


「数十分後ですね」


「・・・・」






「さあ!間もなく総合部門の試合が開始されます!」


「20名中16名が辞退すると言う、異例の事態が起きていますが、試合はちゃんとやります」


「天災!龍桜雫vs配信オバケ!№5667機械仕掛けの人形!」


大きな声が頭に響く


「№5667機械仕掛けの人形さんに許可を貰い、人形と呼ぶことを許されました」


「試合前のインタビューで、天災は頭痛が痛いとコメントしています」


「明らかな体調不良ですね。何故試合に出ているんでしょうか?」


「人形さんは病人とは、あまり戦いたくないとのコメントをしています」


試合が始まりそうだ


「観客が過去最多人数です!」


「両者共に定位置につきました」


《雫さん大丈夫ですか?》


《・・・》


「滅茶苦茶辛そうですね、、本当に大丈夫でしょうか?」


「周りからブーイングがありましたが、、今は無くなっていますね」


《じゃあ行きますよ。最速最強!》


《・・・・血のアミュレット》


「戦いが始まりました!」


「人形が先手を取り、姿を消しましたね」


剣の柄に頭を置き、背から肉の触手を生やす雫


《走り屋の一撃!》


パリン!!


超スピードが乗った蹴りで、雫の体を覆うバリアが消し飛ばされる


「バリアが消え去る!」


《グァ!》


「触手を突き刺している!」


「来る場所が分かっていたんですかね?」


《最速!》


《覇道》


《バフが!》


《種族狩り》


雫は頭を置いていた剣を振るう


それは命中することなく、地面に落ちる


「どういうことでしょう。手から剣が落ちました」


「頭を押さえていますし、今頭痛が来たんでしょうね」


《すいません!走り屋の一撃!》


バッキャ!


人形の回し蹴りが、頭にクリティカルヒットする


「クリティカルヒット!!これは痛い!」


《痛いな》


《わ!》


人形の足を触手が絡めとり、持ち上げる


《痛いな痛いな痛いな痛いな痛いな痛いな》


何度も何度も龍桜雫が同じことを言う


「何かのスキルでしょうか?」


「・・・恐ろしい雰囲気を感じます」


《し、雫さん?》


《血を吸え》


足の触手が離れる


《逃げまどえ、笑ってな》


バシュバシュバシュ


《マズイマズイ!!》


おびただしい数の触手が人形を襲う


そこから先は蹂躙だった






「し、試合終了です」


「・・・天災と呼ばれる理由の片鱗が見えましたね」


「ハハハハ!ハハ―!」


人形の最後は50本以上の触手に刺され、死んでいった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る