第225話子供の龍桜雫

その姿は大人の時の面影は一切なく、無邪気な顔つきであり


いつものニコニコ顔が数十倍の威力になっていた


容姿は黒髪だが、所々に綺麗な白髪が混ざっている


大きさは初期セレス、初期ラビよりも少し高い程度


そして何より声が若い。元々心にクル系の声だったが、それ以上にクル


「ラビ足遅いな」


「雫が速い、、ふぅー」


「主どうやって移動してたの?」


「肉の触手」


肉の触手を背から一瞬で数本生やし、地面に突き刺す


「これで肉の触手に力を入れたら」


龍桜雫の体が浮く


「これで触手動かせば、歩ける」


思ったより速く動いている


肉の触手、肉と言っても肉要素がない機械的な触手が


ガシャンガシャンと音を立てながら、平原を歩き回っている


「主様、あの、何故子供になったのか事細かに説明して貰っていいですか?」


「・・・まず初手殴り合うよね」


「はい」


「殴り合ってたら、相手がスキル使ったのよ」


「それで死んだ?」


「ちゃう、スキル避けた時にラビが目に入ったのよ」


セレスが大体のことを予測した顔で指を鳴らす


「大体理解した、ラビと融合して死にかけて、なし崩し的に不利になったんだな」


「ちゃう、普通に敵が強くて2回死んだ」


肉の触手を収納し、ミラを撫で始める雫


「タイマン勝負で単純に負けた。もっとスキルを作らないとね」


「主が負けるって、、うん?帰ってきたってことは倒したんだよね」


「倒したぞ」


「負けたのに倒した?」


負けたのに倒した、矛盾している言葉に脳みそが混乱していると


「スキルにあるのよ。クトゥルフの呼び声、死んだ時腹を突き破って蘇るスキルが」


「・・・・そういうことですか。復活した時のダメージで倒したんですね」


「そう。デメリットでこんな子供になったんだけどね。ハハハ」


無邪気な笑顔を見せる雫


いつもと違う底抜けに明るい笑顔


「うぐぅ、、」


後ろからダメージを受けた声が聞こえるが無視した


「まあデメリットで攻撃スキル、防御スキル使えなくて、移動スキルのクールタイムも200倍されてるけどね。ハハハハ」


「アルカトそんなデメリット見たことない」


「大会どうしようかね。デメリット終わるまでに、、、明日じゃね?」


「主?」


雫の顔には、マズイと言う文字が書いてるんじゃないかと思うほど


焦っている顔だ


「ミラ!飛ぶぞ!」


「グオ」


竜へと変貌し、急いで飛び乗ろうとするが


「届かねぇ!」


可愛らしい声が平原に響く


「主、持ち上げるよ」


雫を持ち、ミラの上にジャンプで乗る


「よーし、全員乗れ。大陸移動するぞ」


ミラが大きく翼を動かし、本気で飛ぶ






「到着」


「・・・そうだな」


何度も何度も吹き飛ばされそうになった、雫を助け続けたせいで


精神が磨り減り疲れ果てているセレスを放置し、ギルド内へと入って行った


「あの姿で入って大丈夫なのかね?」


アルカト様の疑問は的中し、ギルド内から謎の鳴き声が聞こえた


「セレスちゃん」


「はぁ、、行ってくる」


疲れた体を動かし、主である龍桜雫を追いかける


「何この子!可愛い!」


アバが雫を抱きかかえ、興奮していると


「邪魔」


「・・・・マスター?」


たった一言発した瞬間、病気なんじゃないかと思うほど顔色が悪くなるアバ


「すんません」


「杏夏ってどこにいる?」


「・・・その姿で副マスに会うんですか?」


「そうだけど」


「やめといた方がいいです。絶対にやめた方がいいです」


基本的に自分に対し、意見をしないアバが止めてくる


真顔で止めてくる


「何故?」


「理由は言えないんですが、ぜっっったいにやめた方がいいです」


「まあいいや、大会の話なんだが」


「始まるのは明日ですよ。参加するなら通知が届いて、その通知を触れば会場に行けます」


「そうか。ありがとうな」


お礼を言い、ギルド内をうろちょろ歩き回ろうかと考えていると


「レベル上がった?」


「5レべ上がった、大変だな」


ギルド員達と鉢合わせた

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