第49話寄生

「うーん。なんもないな」


「そうですね」


少しの間探索をしたが、モンスターすらいなかった


「ヤドが喰い散らかしたか」


「そうかも知れませんわね」


「あ、ほんとに喰いまくったんですね」


「わたくしここに移住してきて、色んなモンスターを食べましたから」


「それにしても減りすぎじゃないか?」


(杏夏が見た情報がいつの物かは分からないが、ヤドが移住してきたのはここ最近だと思う。だってハチの経験値クソほど低いからな)


ハチの経験値はスケルトン以下の経験値しか貰えない為、数が多くても経験値稼ぎとしては明らかに効率が悪いのだ


(だから考えられる要因としては、ヤドが来る前に全滅しかけてた所をトドメを刺したか、他のモンスターが喰いつくしてるかやな。ありそうなだけで全く別の理由かも知れんけどな。ハチとの相性がとてつもなく悪かったとか、、待てよ)


「ヤド。相当色んなモンスター食べたって言ってるけど種類数を言ってくれ」


「アバウトですけど6種類ぐらい食べましたね」


「どんなモンスターだった?」


「小さい虫と小柄な狼、後は蜘蛛と小さい子供、、後は、すみません。思い出せないですわ」


「そうか」


(小さい虫と小柄な狼と蜘蛛と子供、、)


「よく会話できますね。ヤドちゃん」


「?」


「私が言うのもなんですけど、あなたの巣破壊してますからね。あの人」


「別にいいですわ。別の強い個体に寄生できてますから」


「ああ。そうですか」


(うーん滅茶苦茶嫌な予感がしてくるなぁ)


「主なんか上にいる」


「うん?」


セレスが何かを発見した為上を見ると


「蜘蛛?」


「人とくっついてますね」


「アラクネやね」


上の方からこちらを赤い目でじっと見ている


「ヤドお前ってあいつ食ったことあるか?」


「あれの小さい版は食べましたね」


(・・・変な奴が怒ってる理由分かったかも知れん。こいつここにいるモンスターの子供喰いまくってるかも)


「ヤドお前子供ばっかり食べてない?」


「?子供は美味しいのでよく食べますけど大人の個体も食べてますよ?」


「あの上にいる奴お前が子供喰ったこと怒ってるかも知れないんだよね」


「子供が喰われたぐらいで?」


「主。蜘蛛移動した」


セレスが言葉を遮り報告してきた


アラクネの方を見ると、木を巧みに移動し凄いスピードでどこかへ行った


「あれ斥候じゃない?」


「だとしたらここにモンスターが相当来ると思いますけど」


「うーん、セレス罠を作れ。嫌な予感がどんどん大きくなってきてるわ」


「わたくしは何をすれば?」


「兵隊を生み出してくれ」


「いいですが、もっと強い兵隊を生み出す方法がありますよ」


ヤドは悪い笑みを浮かべながらこちらに寄ってきた


「一応聞こう」


「主。あなた様に寄生させて下さい。そうすれば奴らを蹂躙することを約束しますわ」


「いいぞ」


「判断が早い人は好きですわ。では」


ヤドは地面に降りうずくまったと思うと


「ぐ、あ、あああ!」パキパキパキ


絶叫したかと思うと今の子供の背中から脱皮を始めた


「ふぅ。これがわたくしの真の姿ですわ」


「こっちの見た目の方が好みだな」


ヤドの真の姿は目がハチのような大きく真っ黒な目であり、口は噛まれたら痛そうなカマキリの口。手足は6本ありそれの全てがハチの鋭い手足だった。ただそれ以外はほとんどが人と同じだった


周りを見て回っていた杏夏がヤドを見て


「え。気持ち悪」


「女の子に向かってそれはひどいだろう」


「デカい虫は苦手なんですよ」


「虫ではないだろう。体人だし」


「普通の人は体から虫の手足は生えてませんよ」


「ヤド。寄生を始めてくれ」


屁理屈を言っている杏夏を無視しヤドに寄生を頼んだ


「始めますわ」


ヤドは自分の後頭部らへんに、くっつくと腰らへんから針のような物を生やし、首の脊髄を針で突き刺した

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