9. Revelation ~歴史~


この星は闇で覆われていたと言う。

だが流星雨の日、宇宙で大爆発が起き、闇は飛ばされ消えた。

宇宙で起こった大爆発は、結局、なんだったのだろう?

ある人が言うには・・・・・・

闇が、人工衛星を貫き、爆発させたか、それともヘブングランドを爆破したか——。

だが、どちらも意味不明だ。

語り継がれる話は、よくわからないものだから想像が膨らみ、余計にわからなくなる。

そして・・・・・・

神も宇宙の塵と消えたのだろうか?

そう尋ねるが、目にも映らず、触れる事ならず、同じ呼吸をしていた事さえわからず——。

神の存在が消える証明はない。


太陽が輝く、その地——。

大きな神殿に祈り続ける人々。

「人は皆、草の如く、その栄華は、皆、草の華に似ている。草は枯れ、華は散る。しかし、種(主)はとこしえに残る」

神殿から出てきた牧師が、人々に語っている。

「主は皆を思う。主の目は義人達に注がれ、主の耳は、皆の祈りに傾く。しかし、主の御顔は悪を行う者に対して向かうのだ」

その時、突然現れた奇怪な集団。

神聖なムードが一変する。

体の大きな銃を持つ男が先頭を走る。

その後ろを、この地では珍しい黒髪の男が腰に剣を携え、走って行く。

その剣も男に似合い、珍しい。

更に、その後ろから二人の男が走って来た。

牧師は、太陽が輝く空を見て、祈り始めた。

「神の信仰を無視し、背く者達よ、神の呼吸は絶え間なく続く。哀れな彼等は、いわば、風に吹きまわされる水なき雲、実らない枯れ果てて、抜き捨てられた木、自分の恥を泡にして出す海の荒波、彷徨う星である。彼等には、真っ暗な闇が永久に用意されている。そんな彼等にも、私は祈ろう。神は貴方達の事も想う、慈悲深きお方——」

黒髪の男は、牧師の首を風変わりな剣で、躊躇なく、撥ねる。

その剣、光なのか、闇なのか、そして、その男、始まりなのか、終わりなのか。

この時代を彷徨う魂。

だが、神は全てをお見通しなのだろう、神殿の奥から声がする。

「この地の天使よ、お前は天使の君達の中で決して最も小さき者ではない。お前の中から、一人の君が出て、我が神の僕となるだろう。お前は堕落し、尚も生きるか。ならば、全能者にして、主なる神に忠実であれ——」

歴史は繰り返して、何度も既視感に襲われ、尚も生き抜き、叫んでも、神という存在に触れる事さえ、見る事もない。

まだ神には逢えない——。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Perpetual Breath ソメイヨシノ @my_story_collection

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る