第57話 炎上ー1
~その日の夜。
「では、みんなグラスはもったかな? あ、ブルーとドラゴン、そしてレイレイはソフトドリンクだぞ♥」
その日の夜、俺達はなんとラヴァーさんの家に招かれていた。
いわゆる億ション、くそデカいマンションの屋上で意味わからないぐらいおしゃれな家がラヴァーさんの家だった。
なんでこんなとこにというが、呼ばれたのは日本チーム全員とフィーバー社長。
つまり今から祝勝会という奴だ。
副賞の肉はおそらくこのためだったな、アメリカチームが勝ってたらどうなってたのか。
あ、でもあの人達も今日はまだ日本なのかな?
「では、かんぱーい!!」
「「かんぱーい!!」」
そしてフィーバー社長の音頭の元、イベント成功+祝勝会は始まった。
俺は大福さんやたらこ唇さんを始め、ブッダさんやゼウスさんといったジャパンeスポーツの面々とも会話し、仲を深めていった。
……
「あれ? 龍一。ラヴァーさんは?」
「用事があるから好きにしてくれってさ」
「家主なのに!?」
気づけば大人達は出来上がってバカなことばっかやってるし、レイレイはずっとべたべたしてくるし、普通にムラムラしてくるし。
でもまぁ俺達は祝勝会はそれなりに楽しんだ。
あぁ……はやく天空のトワイライトやりたい。
◇
とある居酒屋。
『くふっ♥ どうせなら君も我が家にきたらいいのに』
『いや、お邪魔だろう。今日は日本の祝勝会なのだから。それにお前にしかこれは話せないからな』
イケメンの20代ぐらいの男と、イケおじがカウンターに座っている。
日本最強、ラヴァーこと変態仮面は仮面を傍に置いてオフの姿。
そして相手は米国最強、クリストファー・ガーフィールド。
世界的なゲームプレイヤーは立った二人で小さな居酒屋でお酒を飲んで頬を赤くしていた。
ラヴァーが日本酒の瓶を傾け、クリストファーがおちょこでそれを受け取る。
『どうだった? あの子達は』
『粗削りだが、最高の原石だな。ブルー君は、少しお前に似ているか。ムラはあるがゾーンに入れば天衣無縫と言ったところかな』
『くふっ♥ そうだろ? ブルーはとてもおいしそうなんだ。まだ食べごろじゃないけどね。……じゃあ、ドラゴンのほうは、君かな?』
『彼は自分を凡というが……才はある。まぁブルー君がずっとそばにいたならそう思うのも無理はないがな。だが努力も怠らない。思考も深く、とことん負けず嫌い。強くなる条件は揃っている。きっと世界に名を轟かせるプレイヤーになるだろう。少し私に似ていると思ったよ。だからお節介も焼いてしまった』
『それは……楽しみだね』
『あぁ』
次は逆にクリストファーがラヴァーに酒を注いだ。
枝豆やおつまみを食べながら静かに語る頂点二人。
『お前ももう始めるのか? 天空のトワイライト』
『そうだね、日本政府から連絡があった。まずは僕一人にといったところだろう。パニックにならないように』
『私のところもそうだ。あのゲーム、事前に調べた限りはおそらくは数が揃えば良いというものではない。まぁまだ私はインストールしたばかりだがな』
二人の会話は、天空のトワイライトへと移っていく。
そしてこの世界が今陥っている現状についても少し触れていく。
『はじめはバカなと思ったよ。だが……国防省から直々に連絡がきてな。まさかこの年でペンタゴンで大統領に直々にお願いされることになるとは思わなかった』
『ふふ、仕方ないさ。僕も信じられないんだから。でも現実問題、もし人工知能――アテムによる人類への反乱が起きたらどうなると思う?』
『終わりだろうな。我々の文明は……今やほとんどがアテム社製品でネットは構成されている。私のこのスマホもな。まずは通信がダメになり、電力は奪われ、ドローン等による攻撃。……想像するだけで恐ろしいが。文明は壊滅し、何千万人が死ぬだろう。まさにスカイネットといったところか』
『くふっ♥ 世界を救うか……皮肉だね』
『そうだな……我々ゲーマーには大層な使命だ。ただ遊んでいるだけなのにな』
『ふふ、そうだね……誰よりも楽しんでいるだけなのにね』
◇蒼汰視点
翌日。
俺は自宅のベッドで起床した。
なんと朝6時! ついに俺は昼夜逆転を克服しました!
やっぱり昼夜逆転を治すにはリアルの予定を入れることだな。配信者イベントに圧倒的感謝。
さてと。
「レイレイは……まだ寝てるか。よし! ちょっとだけゲームしよ!」
俺は天空のトワイライトにログインした。
まだ火龍丸達の100人組手が終わっていないからな!
なんで朝起きた時ってあんまり腹減ってないんだろう。とりあえず着付けの龍狩りじゃ、おら。
◇レイレイ視点
「はわわ、ブルー君おはよ……あれ? 部屋かな…………あ、もうゲームしてる。ふふ……よし、
朝ごはんを作ってあげようと思ったら、ブルー君は既にゲームの中にいるようだ。
私もやりたいが今日は撮影があるのでゲームはできない。
仕方ないから寝てるブルー君にちょっと悪戯でもしちゃおうかな。
ゴムの袋だけ横に置いて下半身だけ脱がせといたら面白いかな。事後感でて。
ふふ、ブルー君すごく反応良いから楽しいんだよね。すぐからかいたくなる。
でもさすがにそれはやりすぎかな。額に油性で肉って書くぐらいにしとこっと。えいえいっと。
私はすやすやと眠るようにゲームの世界に落ちているブルー君の顔を見た。
「本当にゲームが好きなんだな……すごいなー」
ゲームをしているときはあれほど強いのに。
寝顔はなんか可愛いなと愛おしさすら感じながら満足した私は、化粧をして撮影現場へと向かった。
今日はとある超大手の化粧品会社のCM撮影、私メインの大仕事二回目だ。
一回目は小規模のネットコマーシャルで想像以上に反響があったようで、二回目のこれは全国放送!
新時代の配信者アイドルとして、ストリーマーとしては初抜擢! お金もすごいんだ!
そしたら半分ぐらいを私が育った施設に寄付してあげよっかな、一応お世話になったし、お金無くて色々ひどい施設だし。
みんないっつもお腹すかして可哀そうだしね。元気かな、みんな。
あとはそろそろ引っ越したいな、ボロアパートだし。
ふふ。ほんとにブルー君の家に引っ越しちゃおうっかな。
でも貯金も全然ないし、これからまだまだ頑張らなくっちゃ!
よし! 頑張るぞ! おーー!!
っと気合を入れたはいいんだけど。
「おはようございまーす! 今日はよろしくお願いしまーす!!」
とあるビルの撮影現場に来た私は違和感を感じていた。
なんか現場がざわついてる?
私にはマネージャーとか、所属している事務所はない個人だから何が起きたかよくわからなかった。
スタッフさん達は私を見て何かざわついているし、変な雰囲気だな。
「あ、レイレイさん? え、えーっとですね。今日の撮影は一旦中止にさせてもらえるかな」
「え? なにかあったんですか?」
するとスーツを着たスタッフ化粧品会社の担当サラリーマン、確か名前は大谷さんが私に今日の撮影はできないと伝えてくる。
何か機材トラブルでもあったんだろうか。
「……今後についてはまた追って連絡させてもらいます。とりあえず今日は一旦中止で」
「えぇ!? 理由を教えてくださいよ! 結構この仕事に気合いれてたのに!! なんでですか!?」
「SNS……見た?」
「え?」
そういえば家を出てから今日は見てない。
一体なにかあったんだろうか。
私は言われるがままにSNSを開く。
「……え?」
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