曖昧な気持ち
憧れの人と二人で桜を見た。
高い背は桜の花に馴染んでも溶け合わない。スラリと伸びた背が桜によく似合った。
一房の桜を容易くひと掴みにできそうな大きな手が、薄いガラス細工に触れるようにそっと桜の花びらに触れる。いつもより優しげな表情で桜の句を一つ教えてくれた。そんなところがいいなと思う。
「落ち着いたら手紙を書くよ」
LINEでも何でもあるのにそんなことを言って、彼はこちらを見た。
「背なんてすぐ伸びるさ。俺のお下がりの制服もすぐちょうど良くなる」
桜より彼を見ていた僕の複雑な表情を勝手に勘違いして、彼は僕を励ます。そんなところが。
これを恋と言うのかわからないが、彼のことがたまらなく好きだった。
短編《桜》 よつ葉 @Kleeblatt3939
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます