麻酔





 全身麻酔が効いて


 おれは何処かへ消えた


 今頃、深い森の中でも迷っているのか


 お前に言わせればずうっとここで寝転がっていたらしいが


 そんなことは関係無いね


 それはおれにとてもよく似た別人ではないのか?


 臓器が切り刻まれた


 おれはぴくりともせずその件について賛成も反対もしなかった


 強烈な光を当てられ


 隠し事なんて何一つ許されずに


 このまま目覚めなければもうそれでいいような気がしていた


 何もわからずにさようなら


 ずっと遠くへ行ってみたかった


 だからどうしてお前が涙を流すのかわからないな


 多分、間違ってるのはおれの方なんだろうけど




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る