言葉とは

 幸せになる方法については以上です。ここからは余談です。


 言葉についてもう少し語らせてください。


 言葉というのは、世界を切り分けるツールです。


 私たちはもともと一つの大きな存在である、という考え方があります。そこでは何も分離していないので、不足感もなく、安心に浸っています。


 でもそれだけだと退屈なので、わざわざ不足を味わうためにこの星に遊びにきているのだそうです。


 不足している状態から手に入れる過程や、喜怒哀楽を楽しむために。


 一つの大きな安心した存在であるとき、言葉は必要ありませんでした。エゴの回でお話したように、誰かとコミュニケーションを取る必要がないからです。


 大きな存在から切り離された状態になったときに、言葉が必要になりました。世界を認識するために、いちいち名前をつける必要ができたのです。


 これは犬で、あれは家で、ここは庭で、私はアイで、あの人は私の弟で、私が今感じているのは悔しいという感情で……という具合に。


 名前をつけるという行為は、世界を切り分ける行為です。私と庭と犬を、それぞれ別のものとして認識するためです。本当はすべて繋がっているのですけど。


 あなたはどんどん勝手に名前をつけます。名前をつければ分類できて便利だからです。

 あの人は気難しい。あの人は上辺だけの人だ。うちの猫はわがままだ。うちは貧乏だ。私は親に愛されなかった。私の好物はラーメンだ。日本の経済状況は最悪だ。


 他人からつけられた名前もあります。特に家族や教師、同級生からつけられたものが多いかもしれません。

 私は音痴だ。私は意気地なしだ。私は頑固で意地っ張りだ。私は人見知りだ。私は注意力散漫だ。私はケチだ。私は責任感が強い。


 それがただの名前だということに気づいてください。客観的事実などではありません。あなたが世界をそう見ているというだけのことです。


 現象はただ起きているだけです。猫はただいるだけ、あなたが嫌いな人もただそこにいるだけです。それに対してあなたが勝手に「これは可愛いペット」「あれは私の天敵」と名づけ、それに相応しいと思える態度を勝手に選択しているだけです。

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簡単だけど難しい? スピリチュアルで幸せになる方法 鏡りへい @30398

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