第3話 推しの子(ラブコメ)
「──これは売れっ子の女性アイドル、
「そのアイドルが双子を身籠って、その医師、ゴローの元にやって来るんですよね」
──こんにちは、皆さん。
入る度に部屋の構造が変化するダンジョン『書籍館』にて、このダンジョンに眠るお勧めの漫画を紹介するというこのコーナー担当の
今日もダンジョンを降りた先に
今回はあの巷でもブレイク中な作品の紹介、その名は推しの子からの中継です。
「──アイドルに嘘は付きもの。どうしても子供を産みたい。でもファンには内緒にしたい。何てワガママな天使なんだろうみたいな」
「そして元気な双子、男女の赤ちゃんが産まれ……」
「男の子はアクアマリンとか、女の子はルビーとか場違いな名前をつけてなあ」
「確実に学校にて名前で弄られると思いきや、そんな場面は一切無し」
母親になったアイは親らしいことも出来ず、子育ては難しいと高いアイスをパクパク。
毎回、体を張ってるのにアイドルはお金にならない、薄給だね、私の可愛い子供たちと呟く毎日でした。
「それどころか、アクアは子役になり、ルビーもアイドルの道を目指すという展開に」
「とは言うものの、この双子はただの双子じゃないんですよね」
「ああ。何と赤ちゃんなのに器用に喋るんだからな」
「そうそう。実はこの双子は転生してるんですよね」
「アクアはゴローの、ルビーはゴローの診療所に入院してた女の子」
「二人は星野アイの大ファンで彼女の推しになりますが、二人とも帰らぬ人となってしまいます」
「ゴローは何者かに、さりなは難病の病で命を失うんですよね」
この転生した赤ちゃんルビーが夜中にママは世界一可愛いんだ、失言取り消せやーとSNSを見ながらスマホを連続タップしてる所をアクアに見られ、二人は知られたんじゃしゃーないか協定を結ぶのです。
「アイの赤ちゃんとして転生したアクアは命を奪った相手を見つけるため、この体を利用して色々と調べるんだけど、アイのカリスマ性に惹かれていき……」
ルビーがさりなの生まれ変わりと知らないアクアは様々なアプローチでアイの秘密に迫ります。
これはセクハラにならないかと抵抗ありますよね。
「僕のお母さんはファンには内緒で僕らを育ててるんだバブバブみたいなですね」
「ライブ会場でサイリウムをリズミカルに振り回す状況は後に伝説となりましたとさ。おしまい」
「東大君、まだ終わってないですよ。この作品が面白くなるのはここからです」
そう、この物語は転生してハッピーエンドじゃないですし、便利なチートスキルも持っていないのですが、読んでるうちにその世界観にグイグイと引き込まれていくのです。
「医師の記憶を引き継いだアクアは天才子役となり、同じく子役の女の子、かなと出会います」
「ああ、重曹を舐める天才子役ねえ」
「本人はそう呼ばれると凄く嫌がってましたね」
「勘違いって末恐ろしいな。アイも悲劇の末路を辿ったり」
「ファンにとってアイドルに子供がいた時点でショックですものね」
「受け入れるまで時間がかかるけど、それを放棄して自身の手を汚してしまう。あの場面はいつ読んでもショックだな」
「こうしてアイは愛する我が子、双子を残したまま、帰らぬ人となってしまいます」
アイは自宅の玄関でストーカーにより、生きることを失い、命が消える寸前で二人に初めて愛してると呟きます。
このショッキングな描写をどう捉えるかでその後の見方が変わってきますね。
「それからアクアはアイの命を奪った相手を捜すため、ルビーはアイのような完璧なアイドルになるため、本格的に芸能界に入ります」
「アクアはドラマなどでも活躍する役者として、ルビーはアイのような瞳を持った真のアイドルに覚醒するんだよな」
「それを言うならアクアの目つきもですよ。全てはゴローの変わり果てた姿を見てからですよね」
「人生何が起こるか分からないもんだな」
アクアもルビーも毒のあるひん曲がった性格になりながらもアイの敵を捜すというジワジワと陰湿となっていく物語構成。
その先にあるのは本当の幸せなのでしょうか。
それとも……。
****
「──というわけで今回も色々と盛り上がりましたが、最後にこの推しの子の総合評価をお願いします」
「ああ、分かった。例のメモ帳貸してくれ」
サラサラとメモ帳に無言でペンを滑らせる東大君。
流石に三回目となると飲み込みが早いですね。
推しの子
全16巻
ジャンル ラブコメ
テレビアニメあり
ストーリー★★★★★
キャラクター★★★★★
演出★★★★★
シリアスさ★★★★★
お笑い度★★★
中毒度★★★★★
お勧め度95%
「内容が緻密で良く出来ていて、作画も綺麗で見やすいな。なおかつ転生したのが好きなアイドルの子供でそこからのやり取りも面白いし、人間関係も萌え的よりもリアル性が強い。よくテレビなどのメディアにも取り上げる有名な漫画でもあり、誰にでも安心して読める作品だな」
「ちょっと心に訴えかける闇の部分もありますが、さほど暗くはなく、全体的に丁寧な作りですよね」
「だな。漫画というより小説というのに近い感覚かな。ラブコメなんだが、ミステリー要素などもあるし」
「今までの類を見ない、新しい切り口の作品ですね」
「座布団一枚的な?」
「座布団どころか、座椅子に腰かけたい気分ですね」
──さて、これにて今日の配信は終了です。
皆さん、本日もお疲れ様でした。
何か、頭を使ったせいか、甘い物が欲しくなってきましたね。
ちょっとお値段は高めですが、私もハーケンダッツのアイスが食べたいですね。
なお、このダンジョンで入手した本は地上へは持って帰れないしきたりとなっています。
その点はご了承下さいませ。
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