第24話 最終決戦
「そんな。それじゃあ、ノルケンタビス様は...。」
「もういいのだ。この体に生まれた時からそう決まっておったのじゃ。」
「貴方がいなくなったら私たちはどうすれば...。」
「儂がいなくなるということは、魔王、魔物がいなくなるということだ。喜ばしい事ではないか。」
「でも教団は?」
「解散で良かろう。儂がいなくなれば、王国から嫌われる理由もないだろう。」
「ノルケンタビス様がそう言われるのなら我々は従うまで。」
アルゴは必死に自分の気持ちを抑えて、そう言った。
魔王城に乗り込むのはアルゴ、ヤマト、ジェンゴとその仲間だ。アリアとトカゲ男は島である役目を任されたのだった。
ヤマト達はノルケンタビスに乗り、魔王城へ向かった。
大陸西沿岸部。キリア部隊は海の上を飛ぶドラゴンを発見した。
「南西の方角にノルケンタビスらしきドラゴンが!」
「向いている方向は?」
「恐らく。魔王領、速度からしたら魔王城の可能性があります。」
「逃がさんぞ教団め。お前たち次の目的地は魔王城だ!」
勇者率いる王国軍は、怒涛の勢いで魔王領の幾つもの城を同時に攻略。多大な犠牲の末、ついに魔王城の城壁まで辿り着いた。
「堀は、埋まらないのか。」
「すいません。」
「もういい。板を一枚城壁まで掛けろ。」
「はい。」
勇者は板の上を歩いて城壁に近付き、剣を刺した。するとひび入る、それは徐々に広がり城壁に穴ができた。
「よし。ここから入れるぞ。」
勇者を先頭に一列になって王国軍は中に入った。
「誰もいないのか?」
「多分。我々を止めるために兵を前線に配置した結果、城の守りがいなくなったのでしょうね。」
「では、なぜ魔王城の屋根が吹き飛んでいるんだ?」
「そんなはずは...。」
勇者の付添人がそこをみると確かに屋根がなく、城の周りにそれらしき残骸があった。
真相を確かめるべく勇者は魔王城の中に入るとそこには人間が魔王と戦っていた。
「誰だ?」
「あれはノルケンタビス教団のものです。」
付添人が答えた。
「魔王討伐の手柄は渡さんぞ。」
勇者は飛び、魔王とノルケンタビス教団の間に入った。
少し前のこと、ヤマト達を乗せたノルケンタビスは雷の降る魔王領の上空を飛んでいた。
「凄い数の雷ですね。」
「そうなんです、この雷のせいで今まで何回も魔王討伐から手を引いているんですよ。」
「今日は大丈夫なんですか?」
「はい。勇者が数々の魔王軍の城を陥落させたお陰で、雷は少ない方なんですよ。」
「これでですか?!」
魔王領では魔物が密集している為か魔力濃度がとても高い。飽和状態になった魔力は行き場を失い、雷としてエネルギーを放出しているとても珍しい土地なのだ。
「そろそろ着くぞ。」
ノルケンタビスは速度を落としていった。アルゴは仲間に命令してロープを下ろす準備をさせた。
完全に止まると真下に魔王城が見えた。
「よし。ロープを下に。」
アルゴが命令すると少し待つようにノルケンタビスから言われた。
「一度、魔王城を焼き払う。紐を垂らすのは少し待ってくれ。」
するとノルケンタビスの真下に魔法陣が浮かび上がり、そこから眩い多属性の光線が魔王城の屋根を崩した。大きな穴が天井に空き、上からでも魔王城の内装が見えるようになった。
「今だ!ロープを垂らせ。」
数十本のロープが魔王城の中に入り込んだ。
ジェンゴとその仲間はロープを伝って降りていく。ヤマトもそれに続く。城の内部にはいるとそこには魔王が鎮座していた。
「貴様らか?我が城に風穴を開けたのは。」
「だから何だ?」
ジェンゴが答える。
「なめ腐ったその心、今変えてやる。」
すると両手に炎を吹き出しヤマト達に襲い掛かる。しかい、それを見計らっていたかの様にノルケンタビスが上から魔力を吹きかける。
その魔力はヤマト達を包む様にして守ると同時に、ヤマトは竜骨を纏った姿に変わらせた。
「なんだ?どういうことだ?」
ジェンゴはヤマトの変わりぶりに驚いた。
「くだらん小細工を。」
魔王はそう言うと次に雷を落した。
「なんだ?」
ヤマト達には何もない様に思えた。
「上だ。」
ヤマト達が上を見るとそこには体中が焼け焦げ、煙を出しているノルケンタビスの姿があった。
「なんてことを。」
するとノルケンタビスは急降下、魔王城から離れたところに落ちた。その時の落下の衝撃は地面を揺らす程だった。
「貴様!」
ヤマトが拳を繰り出すが片手で受け止められた。
「見た目が変わってもその程度か。」
魔王はヤマトを遠くに投げ飛ばす。
隙をついて今度はジェンゴが剣を振るが避けられる。
「遅い。」
ジェンゴに続いて仲間達も槍を放つが、何度も瞬間移動をする為、攻撃が当たらない。
そうこうしているうちにジェンゴ達は疲れきってしまった。
「誰だ?」
その時、後ろから声がした。そこには勇者の姿が。
「魔王討伐の手柄はは渡さんぞ。」
いつの間にか彼らの前に姿を移した。まるで瞬間移動しているようだった。
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