第28話 ※キスをする聖女
私はシーツごとエドワード様を抱き締めて、大声をあげた。
「自分が女性であることを、裸になってまで説明しなくてもいいです!口頭で私は女ですって、今までそう隠していましたでいいじゃないですか!」
「だ、だが、それでは信用できないだろう......?」
「信じますよ!結婚までして私を助けてくれようとした貴方のの言葉を信じないことがありますか!?そんな不敬を私はしません!」
私は自分の胸に、小さな体を抱き抱えた。
「自分の体を大事にしてください。貴方が自分を男だろうと思っていても、体は女なのだから。もし野蛮な男性にでも襲われたらどうするんですか......?」
「すまなかった、フィリア様。だからもう少し力を緩めてくださ.....」
「もう、敬語も様付けもいいです!私は今はただのフィリアです。フィリア・カーターです!そもそも私は別に貴方に尊敬されるような人物じゃありません!」
「わかった、わかったから、フィリア!一旦離してくれ......」
そう言われて、私は渋々エドワード様を離した。エドワード様は驚いたように私を見ていた。
「......驚かないのか?」
「とても驚いてますとも!」
「......怒らないのか?」
「怒ってますとも、貴方の軽率な行動に!」
「なんで泣いているんだ......」
「もう、エドワード様は鈍感です......!お仕事以外はなんにもわかってくれない......」
私はそう言って顔を伏せて泣いてしまった。すると、エドワード様が私の頬を撫でた。
「フィリア、すまない。君をそこまで悲しませることだとは思わなかった」
「ちゃんと謝ってください、ごめんなさいって」
「それじゃまるで子供みたいじゃ......」
「12歳は子供です!」
「......ごめんなさい」
エドワード様はまだ呆然とした顔で、そんなことを言っていた。私は少し手をずらして、その隙間からエドワード様を見た。
「何が悪いのか、ちゃんとわかっていますか?」
「......むやみやたらに脱いでしまったこと」
「これからはしないって、約束できますか?」
「......ああ、もうしないよ」
私はその言葉を聞いて、手から顔をあげた。
「反省してるならいいです!でも、本当に危ないですから、もうこんなことは二度としないでください......」
「ああ、わかったよ」
「知りませんでした、エドワード様ってまだまだ子供ですね」
私がそう言うと、エドワード様はくすっ、と笑って見せた。
「そうかもな。私をそうやって子供扱いするのは、君だけだよ」
そう笑うエドワード様は心なしか嬉しそうで、私はなおさら切なくなった。
「......もう、子供らしく扱ってほしいならいくらでもそうします」
私がそう言うと、エドワード様は「へぇ、」とにやりと笑って、急に私を押し倒した。
「きゃっ、、!」
「なら、子供のお遊びに付き合ってもらおうかな?」
「もう、こら!子供はこんなことしませんっ!」
「じゃあいたずらってことでも構わないよ」
そう言ってエドワード様は私の太ももに手を触れた。
「エドワード様、いたずらの加減が過ぎます......!」
「私が子供かどうか以前に私達は夫婦だけれど、そこは考慮してもらえないのかな?」
目を開けてエドワード様を見上げると、エドワード様は今まで見たことがないぐらいに楽しそうな顔をしていた。
「女性同士でなんて、出来ないです......」
「クロイツェル公爵家では、例え女性だとしても同じ女性を満足させられる方法を学んだ。勉強の実習で何人か抱いたこともある」
そう言われて私ははぁ、とため息をついて、エドワード様に腕をかけた。
「今日は子供のいたずらが前提、ですからね?」
「ああ。でも、君に子供扱いされると、すごく興奮する」
そう言って私は、ファーストキスを12歳の美しい幼女に奪われてしまった。
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