第8話オロチとキメラと赤備え
街から出て少し離れた場所にある森で、オロチがいる住処があるらしい。その場所にキメラが現れてはオロチにちょっかいをかけているらしく、それに対してオロチは向かっていく為にいつもこの地域の人々は安心して狩りに行けないのだ。
その為にオレ達、冒険者が呼ばれたらしいのだが初任務が生死を分けた大決戦になるなんて思いもしなかった。
「とうちゃくしたぞ〜」
なんとも気の抜けるような声で昌景が立ち止まるかなり森の奥深く入り込んだようで少しかぜが吹くたびに、木々が怪しく揺れていてなんとも不気味な場所である。
「ここがこいつの住処がある場所でね、あまり離れたりすると奴の餌食になってしまうから気をつけてね」
「えっ、それは喰われしまうってことか?」
「いや、それだけで済めばいいけど……、あいつら結構遊び癖があって、人の骨を手当たり次第折って泣き叫ぶ姿見てから食べる奴らだからね。しかも三日くらいじっくりとね」
俺と昌信は一気に血の気が引いてしまう。この世界では人間より恐ろしい生物がいる事に少し恐怖を覚えてしまう。
「なんであまり、アタシから離れないでくれ。近くにいたらすぐに助けられるからね」
昌景は、こちらを向いて得意げに胸をはる。俺達の事を気にかけてくれるのはありがたいがあまりその胸をはるのはやめてほしい。
近くにいる、昌豊と信春が少し顔を赤めながら頭を抱えていたが俺達は何も触れない事にした。
どうやら昌景は、近くの茂みに隠れて少し待つ事にするらしい。一応夜になるまでに現れなかったら明日にまた来る予定でいるのだが。
どうやら、奴ら二体はすぐに現れた。メキメキときを倒しながら巨大な蛇と顔は獅子で胴体は鳥のような立派な羽、尻尾は蛇というこの世の生物とは思えない奴が取っ組み合いをしている。あの二匹がクエスト目標のようだ。
「オッ、さっそくおでましだ。ノブちゃん、トヨちゃん、後は任せたよ!」
昌景は自分の持っている槍に力を込めて今にも立ち向かう勢いで身を乗り出そうとしている。
「あっ!カゲちゃんまっ」
昌豊の静止を聞かずに昌景は、一気に前に飛び出して一気に槍を蛇の胴体に突き刺す。
ブスリと鈍い音と共に深々と突き刺さり、同時に蛇はすぐに敵意を昌景に向け、口を大きく開け昌景を噛み殺そうとしてくる。
「バカが、そんな単調な反撃を受ける訳がないだろが!!」
向かってくる蛇の大きな口から逃れる為に槍を離し蛇の一撃から逃れ、そのまま小刀を引き抜き奴の右目に深々と突き刺し、抉るように刀を回す。大量の血がシャワーのように吹き出し、蛇はあまりの激痛にのたうち回っていた。
「よし!次はー」
次の獲物に視線を変えようとした。昌景の姿が一瞬見えなくなる。まるで雷が落ちたかのような衝撃と音に俺と昌信は少しよろめきそうになる。
「おい!、一体何が起こったんだ。昌景がいきなり動いて一瞬で蛇を動けなくしたのはわかったが、なんださっきの衝撃と光は!?」
「あれは、キメラが持つ最大の魔法ライトニングです!まともに受けたら普通の人は黒焦げで死んでしまいます!!」
信春は、衝撃によって乱れそうになる髪を抑えながら説明してくれるが、あれを直に受けた昌景の無事が気になってしまう。
「なら、昌景は!?」
「大丈夫だよ!勝頼さん、ウチのおバカはあんな簡単にやられたりしないよ」
昌豊が言ったとおりに、ライトニングによって黒煙を上げている中からムクリと起き上がる姿が見える。
「少し、油断してしまったな〜まさか魔法を使ってくるとはね、だけどそっちが使うなら!」
昌景は、なにかを唱えていた。こちらからは何を言っているか分からなかったが、その瞬間炎の槍が地面から無数に現れキメラを一瞬のうちに焼き尽くし始める。
同時に、やっと痛みに慣れた蛇が昌景の後ろから噛みつこうとした瞬間。
「汝、その身を焼き尽くすことなり」
呪文なのか、どうなのかわからなかっだが、その言葉と同時に槍が刺さった場所からメラメラと炎が溢れ一気に蛇の全身に燃え広がり、蛇は悶えながら死んでしまった。
「よーし!これでクエスト終了っと、さぁみんな帰るとしますか!!どうだった!?アタシの活躍凄かっただろう!」
年相応に無邪気に笑う彼女に対して俺は。
「凄かったよ!だけど…」
「だけど〜」
「とりあえず服を着よっか」
俺の言葉を理解出来なかったのか、昌景は一瞬フリーズしてから体のあちこちを触る。
そうさっきのキメラのライトニングで鎧が全壊と服まで消し飛んでいたのだ。
そして今日の悪魔のような活躍をした少女は真っ赤になってその場にへたり込んでしまう。
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