第6話いや、絶対お前…そのスキルは…

 とりあえず、半ば無理矢理このパーティに入る事になったのだが…。


「まずは、冒険者として登録してもらわなければならない。とりあえずあそこにいる、受付の女性に話を聞いてくれないか?」


のぶちゃんこと、馬場信房に言われ俺と高坂はギルドの受付に向かう事にした。


 ギルドの若いお姉さんは、鎧を着ている俺たちを見て怯えてるてようだった。


 無理もない、敗戦後の落武者狩りと戦っていたせいであちこち返り血まみれだから仕方ないといえば仕方ないからな。


 すぐに手続きを終え最後にカードを渡された。


 「そのカードを持っていて下さい、しばらくしますと勝頼様の現在のレベルと、職業などがわかりますのと、あとはスキル会得とあとは本人しか持っていないユニークスキルがありますので楽しみにしてください」


「すまん、そのれべるとか?、すてぃたすとか俺にはわからないがどんなものなんだ?」


「はい、この国いえ、世界では誰しもレベルという者がありますが、それは目では見えません、なのでこの冒険者カードが有ればすぐに見れるようになります。基本レベルは99まででなのですが、そこまで届いたものは今誰一人いません」


「なるほど、それでステータスとは?」


「ステータスはレベルアップと共に上がる基本能力値です。五つに分かれています。個人的武力は武の文字で、智略は智の文字、カリスマ性は人の文字で表してます。他は政治は政、交渉や外交の能力値は外政のもじですね。どちらも最大は99でさらにEからAまでの五段階で評価されます。」


「なるほど、わかったやってみるとするか」


俺はカードに加える力を少しだけ強め文字が浮かび上がるのをしばらく待った。

 すると何か文字が少しずつ浮かび上がり見えてなくるではないか。

 「(うむ、流石にこの国の文字だな、読めないのは流石に厳しいな)」


流石に読めないので、受付のおねいさんに見てもらう事にしてカードを渡す。

 「えっ!?、これは!?」


受付けのお姉さんは、驚いた様子でまじまじと俺のカードを見ていた。その姿に少し引いてしまう。


 「どうしたんですか?何かヤバいもんでも書いてあるのですか!?」


思わず敬語になってしまうが事の真相を知りたい俺は食ってかかる勢いで急かしてしまう。


 「えっとですね……。勝頼様のステータスというかレベルはですね」


「(そんなにヤバいのか?、能力が低すぎているのは流石に辛いぞ」


口籠る彼女に対して、俺は息を呑んでしまう。とりあえずはやく知りたいのを堪える。


「レベルは、46ですねこの辺りは平均よりも少しレベルが高いのですよ。この歳でこのレベルは本当に凄いですよ」


この歳でとか…色々引っかかるがとりあえず最後まできくことにする。


 「ステータスはですね、武は82、智も76、人に関しても68と平均以上ありますね、政は56外政に関しては62とあまり悪くない数値ですね。冒険者よりこの国に仕えてすぐに将として活躍できるとおもいますよ!」


 評価を聞き終えて、俺はチラッと昌景達を見ると三人とバカひとりは瞳をうるわせてこちらを見ていやがった。


 「あぁ、今はそこまで考えてません。それよりスキルの方はどうなんですか?」


俺の答えに残念がるお姉さんと後ろで盛り上がるパーティメンバーこの二つの温度差に少し疲れてしまう。


 「あ、えっとスキルですね。初めて作られた事なので、スキルはすくないのですけど、お二人ともユニークスキル持ちですね。おめでとうございます!なかなかいないんですよ!それも勇者クラスではないと持っている人はいないんです!!」


 明らかにお姉さんが興奮しているのが伝わってくる、その声を聞いて他の冒険者達も興味を持ち集まってきてしまう始末だ。本当に勘弁してもらいたいよ本当に。


 「コホン、では続きを勝頼様のユニークスキルは名前だけ言いますね。スキルの詳細の開示は基本違法になりますので伏せさせてはもらいます。では言います、強すぎた将というのが勝頼様のユニークスキルです。続いて高坂様は逃げ弾正と風林火山ですね。二人共これから頑張って下さい!!」


彼女や他の冒険者の興奮ぶりから珍しい事だと言うことはわかるがひとつだけ気になってしまうことがそれは。

 「(なぜ、俺には風林火山のユニークスキルがなかったのか?)」


やはり、俺はまだその域には達していない事を痛感させられてしまった。だから長篠であんな結果になってしまったのかと少しだけ残念だが現状高水準のステータスなのが唯一の救いだ。


 「お疲れ!まさかお前もユニークスキル持ちだったとは、私の目にくるいは無かったな!」


そんな俺の気を知らないで昌景は上機嫌に笑いながらグラスを渡してくる、中身はどっちもオレンジジュースとかいうもので、主に子供用の飲み物として扱われている品だ。

勝手にパーティに入れたやつがよく言うよ、だが少しだけ気分がいいからまぁ許すとするか。


 俺は渡されたグラスを受け取りオレンジジュースを飲む。少し後味が残る感じだがこれはこれで悪くない感じがした。


 「ところで、昌景のユニークスキルは一体どんなやつなんだ?」


俺は唐突に気になって聞いてみる事にした。何分相手を知ることも大事だと思ったがあまりにも軽率だったと反省する。現にユニークスキルは貴重だと言われているのを失念していたからだ。もし持ってなかったら気まずくなってしまう事に。


 「私も一応二つは持っているつもりでね。ひとつは高坂さんと同じで風林火山」


やっぱり。もっていたようだ。予想はしていたがもしかしたら四天王は全員持っているようなものなんだろうなと勝手に決めつけてしまう。


 だがまだ続きがある。


 「それでもう一つは、赤備えっていうやつなの!だから私赤の鎧をきているんだ!!」


俺は一瞬にして固まってしまい、汗が止まらなくなる。同時にまた彼女のしょうまあがわからなくなってしまいそうになる。


 「(お前、そのスキルを持てるのは俺の知っている限り二人しかいないぞ)」


武田の赤備え衆、かつて存在した精鋭部隊を率いたのは、山県昌景とその兄である飯富虎昌だけであったのだから。


 「(本当にこの娘は一体何者なんだ?)」


結局、謎が深まるだけの長い一日が終わりを告げてくれた。


 


 

 




 

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