第4話冒険者の街

 山県昌景と名乗る少女と共に行動する事になってしまった。どうやら彼女の話によるとここは日本では無く、ローデリア帝国という国らしい。


 そのほかにも、情報が知りたいダメな色々と質問することにした。近くの街まで行くのに数時間かかるらしい、その間の時間潰しにもなる。


 「ここは、あんなもののけの類が出てくるものなのか?」


「うーんどうかな?私の知る限りではあの、オーク達は珍しいのです。基本的に奴らは数百単位での群れで行動するのが普通なのでもあの時いたのは十匹ぐらいしかいなかったのはもしかしたらはぐれた奴らかもしれないね。彼らはこんなところには現れない」


 彼女は小首を傾げながら答えてくれる。一見可愛らしい仕草をしてくれるのだが、あまりにも名前がイカつい為、いまいち反応に困ってしまう。


 「そうか、なら他にもあのような類の奴らはいるのだな?」


「まぁ、そうなんだけど…お兄さん達では勝てるかどうかだし、それに冒険者カードを持ってないとなると流石にね?」


俺の、質問に 少し、彼女は困惑した表情で話しを濁す、気を使われている事がわかるがどうやら俺達を助けたのは明らかな善意である事がわかった。


 「なので、とりあえず二人には冒険者カードを作成してもらうと同時に軽いクエストをしてもらう。唯のテストだからそんな心配そうな顔をしないでくれよ」


「でだ、俺達が向かう街はどんな所だ?」


「そこは冒険者ギルド最大規模な場所、ズドーというところなの、一応活気あるんだけどここ最近魔物が出てくるから流通品がなかなかこなくてね、帝都には負けるけどそれでも帝国の中ではかなりの規模の街だからかくごしておいてよ」



「そうか、ならその冒険者カードとは一体何に使うやつなんだ?」

 

 あえて何の覚悟が必要なのかは聞かずに俺は聞きたいことだけを口にした。



「あなた達はどうみたってこの国の人達ではないでしょう?それにその見た目からして冒険者の方が似合っていると思ってね、この私も一応冒険者見習いなのよ!!」


 そう言ってこの娘は胸をそらして自慢してくるが赤備えの鎧から悲鳴を上げている箇所がある事に気づいていないようだ。まったくもう少し自分が女であることをわかってほしいものだ。


 「殿、山県殿は我々の正体に気づいておられるとおもいますか?」


ここにきてからやっとまともな事を言う昌信に対して俺は顔をしかめてしまう。もちろん昌景(女)かもしれないあいつに聞こえない範囲で。


 「いや、仮に昌景であったとしても我等に気づいていたらこの鎧でわかるだろう?」


 俺はすぐに昌信の進言を否定して自らの兜を軽く叩く。

 「まぁ、あとはもし仮にそうだったとしてもあの昌景だ。自害するかもしれんしな。」


「た、たしかに…」


あの武田四天王筆頭であり猛将の昌景が生き恥を晒しまさか女の姿に変えられていたと俺達に知れたら会った瞬間自害していただろうに。


 そもそもこの説を唱えやがったのは昌信が、「もしかしたら山県殿もあの暗殺者と同じような術にかかってしまい女になったかのうせいは?」から始まったのだが俺は真っ向から否定した。


 「(もし、仮にそうで有ればすぐに立ち去ったであろうよ。何せ武田を敗北に導いた当主には少なからず恨みがあるだろうしな」)


少しだけ、俺は考えてしまう。長篠での戦あの時撤退を進言した彼等に対して俺は無視して進軍を進めた結果多くの重臣を死なせてしまった。その中に昌景もふくまれている。


 (「昌信は何もいわないがあの場にいたものは、全員俺を恨んでいるだろうな…だが何故そんな俺にこんなおせっかいを焼くのか知りたい。本当にこいつはあの山県昌景なのか?それとも名前だけがおんなじの他人なのか?」)


わからない事だらけいっそ本人に聞けばいいのだけれども俺は怖い、どんな憎まれ口や罵倒が飛ぶのか?と喉が詰まり声が出せない。もうしばらく様子をみてからにしよう。



考えにふけっているとドスっと前にいる何かにぶつかる、さっきまで先頭で案内していた昌景が急に止まったのだ。と言う事は。

 

「着いたよ。ここがズドー、この国一番の冒険者ギルドそれも駆け足人達が集う初心者の街であると同時に魔物の討伐の最前線でもあるの!」


 煌びやかな建物、見たこともない建築方法で作られた街並みが立ち並んでいて、さらに道の左右には沢山の出店があり活気があるではないか。俺の本拠地である躑躅ヶ崎館とはまるで正反対ではないか。


 「さーて、とりあえず私の仲間に挨拶しにいくから!兄さん達おいで!!」


 久しぶりに帰ってきたのか、いくらかテンションが上がった昌景は、俺たち二人のてを握り引っ張っていく。


 「(こうしてみると少々お転婆な娘にしか見えないから困ったもんだ。やはり昌景本人ではないと思うしこんな事はあいつはしないしな」


さっき見た満面の笑みをみて彼女は他人であり、唯名前が同じだけの少女なのだと確信する。


 だが忘れてはならない彼女さっき言った発言にとんでもない爆弾がある事に。


 「(紹介したい二人ってだれだよ!?」)


とりあえず、これ以上知り合いには会いたくないがそうはならないと思ってしまう。二度ある事は三度あると言うからな。俺は微妙な笑みを浮かべることしかできなかった。





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