第3話未知の生物と遭遇そして……赤備えの少女
何かが迫ってきている事に気づいた俺たちは、すぐに動けるように刀を抜く。
向かってくる何者かは、まだ姿は見えてないが大量の土煙を上げながらこちらに近づいてくる。
(「おそらく、騎馬部隊のかも知れないな?ッたくこの感じだと敵は数十騎ほどであろな)」
長年、培ってきた経験から、予想し俺は刀を抜く。
やっとの事である程度解るようになったから自信があったのだが?
「うっそ!だろ、何だあいつらは?!」
一瞬のうちで俺の常識は崩れ去ってしまう。迫ってくる奴等に対して我が目を疑う。子どもぐらいの身長で、顔は牛そのもので二本足で歩いており加えて手には棍棒を持っている。異形な生き物が十匹が俺たちの方へ向かってきているのだ!
「おい!昌信!!こいつら何なんだ!まさかもののけの類とか……っていない!?」
唯一頼れるハズの昌信は既に後ろまで下がっていやがる。さすが逃げ弾正と言われるだけの事はあるが主君を置いて逃げるのは酷すぎるだろ。
「殿!?、何故逃げないのですか?あんな奴等勝てませんぞ。そんなところにいては危ないですぞ!」
既に安全地帯まで逃げてから言うあたり、清々しい程のクズさを出していやがる、あとで説教してやりたいが今はそれどころでは無いようだ。
既にもののけ共は近くまで来ている、舌を出しこちらに指を指して何やら奇声を上げているようだったが涎が垂れているのを見てすぐに理解する。
俺は覚悟を決めて刀を構える。
「さぁー、この勝頼の首取りたければ」
「あぁ!!こんな無残な死に方するなんて可哀想な勝頼様!!」
「うるっさい!!、邪魔するな!人がかっこよく決めようとしているのにさ!!」
昌信の余計な一言に反応してしまい、一瞬だけ奴等から視線を逸らしてしまった。
突然、さっきまでうるさかった音が止み、辺り静まりかえってしまう。まるであの、長篠での戦と同じ嫌な間が空いてしまう。
大分、興奮しているのか鼻息が荒く生暖かい風がこっちまでかかってしまい、額には大量の汗が滴り落ちていく。
(「まさか、こんなわけのわからない奴に殺されてしまうのかおれは!?」)
慌てて振り返るが遅かった。既に相手は人が持てない大きさの棍棒を俺めがけて振り下ろしていた。
「しまった!?
これまでかと思い、目を瞑ってしまう。きっと頭に強い衝撃が入り今度こそ死んでしまうと思ったのだが。
「(あれ?、痛みがない?一体何が起きて……)」
ゆっくりと瞳を開けると、そこに立っていたのは赤い鎧を身に纏った、少女がもののけからの一撃を防いでいた。
「間に合ってよかったわ!じゃあこのまま!!」
一瞬俺を見てからそのまま少女はもののけが放った棍棒を押し返し、そのまま少女は相手の顔面に拳を一発ぶち込む。
ドゴン!っと、強い衝撃と共にもののけは、そのまま気を失ってしまう。
「さて!まだ私とやる気ならいくらでもかかってきなさい!この槍の餌食にしてくれるわ!!」
さっきは気づかなかったが、最初から持っていた武器なのだろう。それで奴の一撃を防いでいたようなのだ。
今度はこちらの番だと解るように彼女は器用に槍をぶん回す姿は、懐かしい人物を思い出してしまう。
どうやらどうなるかは、伝わったらしくもののけ達は蜘蛛の子を散らすように皆バラバラに逃げてしまう。
「大丈夫ですか?、怪我はない?」
もののけが、いなくなるのを確認してから彼女はこちらに手を差し伸ばしてくる。どうやらいつの間にか尻餅をついていたらしい。我ながらなさけない。
「あぁ、ありがとう助かった」
彼女の手を掴みゆっくりと立ち上がり彼女の姿をしっかりと見る。
歳は十代後半だろうと思うのと立ち上がって見てわかったのは背が小さい髪の色は薄い赤色という珍しい色をしていて一番気になったのは全身を包む赤い軍装で、この姿を見ると懐かしさを感じているのは何故か引っかかるってしまう。
「ここは、たまにあんな魔物が出てくるから気をつけたほうがいいぞ、もう少ししたらギルドがあるからそこまで連れていくのもありだけど…えぇっとなんて呼んだら?」
「そうだったな、俺は勝頼という、ここにくるのは始めてで、案内してもらうと助かるよ」
「なら、それで行くとしますか!私は山県昌景と言うので宜しくお願いね勝頼さん」
「………嘘だろ!!!」
俺は彼女の名前を聞いた瞬間、思わず叫んでしまった。無理もない彼女が身につけている鎧は数時間程前に死んだある人物と瓜二つなのだから。
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