第2話嘘だろ……

 光に包まれてから実に数秒程経ってから瞼をゆっくりと開ける。


 まず最初に感じた事は……


 「えっ、一体ここはどこなんだ?」


見渡す限りに広がるのは何もない草原が一面に広がっているだけであった。俺が最後に見た陰雲につつまれていた空ではなく、眩しいばかりの快晴であるのだった。

 「どうやら、本当に天国があったらしいなぁ」

どうやらほんとに死んでしまったようだだがこんな空が見えるのはありがたい。今までの事を思うとこんな綺麗な空を見たのは久しぶりであったからだ。


 「さて、これからはのんびりと過ごしてやる。もうあの頃みたいに誰かに気を使わずに自由に過ごせるんだからな!?」

 

 もう誰も俺を縛るものはいないこれで思う存分好き勝手に過ごしてやる!まさしく我が世の春がやっときたのだ!!


 「あの〜、殿それは難しいと思いますぞ」


「誰だ?この俺を止めようとする奴は!誰に対してそんな事を言えるんッッ!!」


俺は声をした方に向きを変えて文句を言ってやろうと思った、言葉が詰まってしまう。そこにいたのは見覚えのある鎧をきた。美少年が立っているではないか!?


 「えっと、まさか昌信ではないだろうな?」


「あ〜、まさか僕の顔が変わっていたりするのですか?」


 「ぼ、僕!?」


さらに衝撃を受ける、口調まで変わっているではないか!どう見てもこの少年が来ている鎧はどう見ても昌信の者であった。あの厳格な老人がなぜこんなあどけなさを残す少年に変わっているだ!?


 「いや、昌信!?お前若返っているのだぞ!?」


「えっ、なにやら体が軽いと思いましたら僕の体にそんな事が起こっているのですか!?、こうしちゃいられない殿!?」

昌信は自分の体をあちこち動かしながら隅々まで確認した後、にこやかに話しかけてきた。こいつこんなに陽気な奴とは知らなかった。あまりそんな眩しいのは勘弁してもらいたい、てかそんな性格ではない筈なのに一体どう成長したらあんな厳格で恐ろしい老人に成り果てるのだろう?


「な、何だ!?」


 「今すぐ!若い娘に会いに行きましょう!もしかしたらいい事があるかもしれませんぞ!!」


「いや、君そんな感じだったけ!!」


 高坂昌信、武田四天王の一人で逃げ弾正と言われ対上杉の前線である海津城を任された名将で父上のお気に入りだったほどの傑物だったのだが……目の前にいる美少年は唯の遊び人みたいな軽さに今までのイメージやら密かなに尊敬していたのだが俺の中で彼に対する想いが崩れる音がした。


 「むっ!?なにやら音がきこえますな!」


その時地面を震わせながら何かが近づいてくる音が聞こえた。


 「もしかしたら、僕の噂を聞いた可愛い娘かもしれません!殿こちらも会いにいきましょうよ!」


「もういい、少し静かにしてくれ」


なぜかウキウキしている昌信を俺は黙らせてから近づいてくる何かを警戒する。


 「(なんか…、ジジイの時よりめんどくさいな)」

 

 まだウキウキしている美少年(多分実年齢はジジイの筈)の扱いに疲れながら俺は構えるがふと何かに気づいてしまう。


 あれ。ほんとに天国なのかな?




 


 

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