Divive9「今出来る事」
「っ………」
ゴーレム砲を防ぎ、その爆風で地面に叩きつけられ、倒れているアンバーリベリオン。
そのディバイダー、銀河レッカが意識を取り戻した。
「そういや俺……ゴーレムの攻撃で……」
意識を取り戻し、立ち上がって目の前の光景を目にする。仲間たちがゴーレムと戦っている姿。だが優勢とは言い難い、スラッシュとウィンガーは3体を相手に攻撃を回避するので手一杯。ワイバーン・カスタムは突撃級の角の攻撃を止めていた。
「っそ……何やってんだ!」
俺は……グレイの野郎に見せつけたかった、俺がアイツを助ければ少しは認めるだろうって、無茶した結果がコレだ。その通りだよ、俺はまだまだ………甘い。
「とにかく・・・・・早く援護に回らないと・・・!」
休んでいる場合ではない、そう思わんばかりに走り出す。
今自分に出来る事を、全力でやり遂げる為に………何故か分からないが、頭の中からアドレナリンが溢れ出ているみたいだ。今の俺ならなんでも出来る、そんな気がした。
「このっ!大人しくやられなさいよっ!!」
スラッシュが1体のゴーレムの左腕をブレードで切り落とした所に、もう1体の攻撃が迫り、咄嗟に回避した。
「もぅ……!これじゃ狙い定まらないじゃないのよ」
バジュラで狙いを定めようとするウィンガーだが、ハエを叩く様な動作で邪魔をされてしまい、狙いを定められずにいた。唯一の弱点、それは近接武器がない。迫られたら成す術がないのだ。
「ミオン!しまっ――!?」
援護に回ろうとした所、左足を掴まれそのまま地面に叩きつけれた。立ち上がろうとするのが、左足が破壊され、思う様に立つことが出来なかった。
「ダメージレベル5、このままじゃ………!?」
迫るゴーレムに対し、右腕のバルカンで攻撃を行うもビクともしない。その拳が降りかかろうとしたその時――――――――
「………!?」
迫りくる
「オォォォォォォォォォ!!」
そのまま機能を停止し、塵の様に消え去った。
「次はあっちか………!!」
ウィンガーと戦うゴーレムの方に狙って、右脚の冷却弾を発射、右目に命中し、氷を砕かんとばかりに両目を抑え始めた。
「ミオン、今の内に!」
「えっ………えぇ!!」
怯んだ隙にバジュラを構え、一気にゴーレムに目掛けて発射した。
「ゴォ?グォォォォォォォォォォォォ!」
気付いたかのようにこちらを向いたが時すでに遅し、バジュラの一撃に包まれ、そのままゴーレムは塵となって消え去った。
「もう1体いたな………」
左腕を失った最後の1体が仲間をやられ、怒る様に迫ってくる。ブレードを長刀状態に連結し、一気にスラスターを加速させてゴーレムに迫る。
「ハアアアアアアアア!!」
目にも止まらぬスピードで迫り、一気に斬り刻んで、全身をバラバラにした。
「凄い………」
「アレがレッカの本領………?」
鬼神の如く、3体ものゴーレムを倒す姿を見た2機は唖然としていた。ソニックアンバーはそのままワイバーン・カスタムが戦っている方へ飛んで行った。
「アタシ達も………ってわけにいかないか」
左脚を失い、倒れているスラッシュに肩を貸し、ウィンガーはその場から離れる事を選んだ。
「まぁ、あの2人ならなんら問題ないわよね」
「ちぃっ!!」
突撃級のゴーレムの角とワイバーン・カスタムの槍の激しいぶつかり合いが繰り広げられ、辺りに火花を散らす。若干押されているのを感じたのか、一旦地面に着地し体制を立て直そうとする。
「ダメージは少ないが……奴の角は硬い、せめてヒビを入れる事が出来れば…」
策を考えている最中、そこへソニックアンバーが合流し、こちらにやって来た。
「お前……居眠りしてたんじゃなかったのか?」
「あぁ?ほれ、後ろ見てみろよ」
言われた通りに後ろを振り向いた。既に3体のゴーレムは倒され、その跡地を目にしワイバーン・カスタムは驚いていた。
「いっ……何時の間に…!」
「どうよ?俺だってやれば出来るんだぜ」
コレをアイツがやったのか?さっきは手こずったあげく、ゴーレム砲でぶっ倒れていたというのに……もし本当なら、やはりアンバーのディバイダーは伊達じゃない、とでも言わせたいみたいだな。だが、今はそんな事を言っている場合じゃない。
「俺は、確かにお前の言う通りまだまだなのかもしれない、けど俺は守りたいんだ……この島を、友達を!!」
「分かった。アイツの角は厄介だ、なんとか押さえ込めれば…」
突撃級の角をどうにかするプランを考え始めた。攻撃力を奪えば勝機はある、そういう事だ。何かを思いついた様に、アンバーがゴーレムの方に視線を向けた。
「なるほど、それなら俺にいい考えがある」
「なんだ?」
耳打ちで話を終えた後、アクアアンバーに換装し、突撃級に向かって走り出した。それに対抗して、角を前に出しこちらも突撃を開始した。
「おりゃぁ!!」
迫って来る角を白刃取りの応用で両腕で押さえ、力強く踏ん張り出した。お互い負けじと、睨み合う様に顔を向けていた。
「どっちが抑え続けられるか、勝負といこう……な事してる暇はないんだよな、頼むぜ!!」
「フンっ、しっかり押さえていろよ!!」
押さえ込んでいる所に、ワイバーン・カスタムが上空に飛び上がっており、ランスとフォトンサーベルを構えていた。そして一気に突撃級に向かって急降下し――――――――――――
「そこだ―――――!!」
一気に振り下ろし、その巨大な角を斬り付けた。傷口を両腕で押さえながら、奇声を上げた。
「グォォォォォォォォォォ!」
「へっ!立派な角がなけりゃこっちのモンって事だ!!」
斬られた角を投げ捨て、アクアアンバーは腰に装備されたフォトントライデントを展開し、突撃級の胸部目掛けて投げつけた。
突撃級の胸に直撃、砕けた身体から、赤いコアが露出し、それに目掛けて、アクアアンバーが両腕のグレネードランチャーを発射した。
「これで―――――――っ!!」
その一撃をゴーレムは右腕で弾いた。後退って逃げようとするゴーレムにアンバーが追撃を仕掛けようとした時、突如とゴーレムの後ろに穴のような歪が現れ、吸い込まれる様にその中に入っていき消え去った。
「アレは……一体なんなんだ?」
「そうか…アイツらはあの穴からここに現れたってわけか」
とんでもない発見だった。その奥には何があるのか、今は考えている余裕はなかった。
「大したもんだ、俺は見誤ってた。お前の事を」
「へへっ、まっ、どんなもんよっ!」
同じ様にヘルメットを外して、レッカが憎たらしそうな表情でグレイに迫った。
「だが、むやみに飛び込むのは策ではない。敵の行動をよく見るんだ。じゃなきゃお前、早死にするぞ」
「んなっ!?」
グレイの的確な言葉に、レッカは何も言い返せず、顔を真っ赤にしていた。そんな彼の表情を見て、クスリと笑う。
「とにかく、お前が生半可な奴じゃないって事は確かだな。」
「なんだよ?やけに認めるのが早いな、まぁ……何でもいいか」
お互いに握手を交わす。
「あれま……もう打ち解けちゃって、にしてもグレイのあんな顔初めてみたわ~」
「全く……調子がいいんだから」
その光景を見て、ふと笑っていた。
「そうか、つまりゴーレムはそこから出現していると?」
「はい、一瞬でしたが間違いないかと。現状、どこに出て来るかの特定は難しいかと思います」
「なるほど……分かった。総本部に報告し調査部隊を出してもらえるか検討しよう。それと……2人共なんだかんだ打ち解けているみたいで何よりだ」
レッカとグレイの様子を見て静香は安心する様に笑っていた。
「まだ至らない部分はあるが、コイツの覚悟は本物だ。負けてられないくらいにはな」
「まっ、ガッカリされないぐらいには頑張りますとも」
「よろしい。そうだ、この情報を伝えるがてら、これから君には総本部へ向かってもらう」
「えっ、今から!?」
突然の事に驚いていた。G.O.D総合本部、通称総本部。人工島、
「あの~それって今すぐじゃダメなのでしょうか………」
レッカはあまりの突拍子も無さに、ぎこちない喋り方になっていた。そんな様子を見ていたミオンがクスりと笑った。
「フフッ、安心しなさいな、実はいい方法があるのよ」
いい方法?まさか、PSで飛んでいく……とかじゃないよな?ここから総本部まで最速で行く方法、そんなもんがあるのか?俺は半信半疑で司令の方を見た。
「その通り、まぁついてきたまえ」
言われるがままに、一同は静香の後ろについてきた。向かった先の扉を開けると、そこには地下へ繋がる階段があった。初めて見る場所にレッカは呆然としていた。
「へぇ~こんな所が」
「知ってはいたけど、アタシも初めてだわ」
どうやら、沙織もここに来たのは初めての様だ。その階段を降り、そこで待っていたのは………
「コレに乗って総本部まで行ってもらう」
「すげぇ………地下にこんなものが……!」
そこには、4両程の白と黒色をした小型のリニアモーターカー。コレもまた、インフィニットストーンを動力にして動いており、また無人で動いている。
「コレを使えば、30分足らずで到着できるだろう。さっ、乗った乗った」
いわれるがままに、レッカはリニアモーターカーの中に入っていった。中は3人1組の席の構成となっていた。そこへ一緒に、沙織とグレイも中に入ってきた。
「2人には付き添いとして同行させてもらう。1人では心細いだろうからな」
「ハァ……なんで俺も………」
レッカに突きそう2人。しかし、グレイは暗い顔をしながら、ため息を吐いていた。どうやら乗る気でないそうだ。席に座って少ししたら、扉が閉まり、発射の準備に取り掛かっていた。
「あーあ、アタシも行きたかったな~」
「仕方ないだろ、ジャンケンで負けたんだから」
付き添いはジャンケンで決まった様だ。ミオンが負け、1人でレグルスで留守番するという事だ。
「いい?くれぐれも失礼のない様にするのよ。いいわね?」
「ハイハイ」
念入れに釘を刺す沙織の言葉を、受け流す様に聞いていた。そさいてリニアモーターカーが動き出し、総本部へ向かって走り出した―――――――――
To be continued…
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