Divive3「今この瞬間を」
「えぇっと、
「コラコラ、
PSについてと、G.O.Dの規則などが書かれているマニュアルを頭に叩き込まれる。講師としてミオンも付き添いだ。本来これらの過程は訓練生の時に終えるものらしい。だが俺は、異例中の異例なケースである事からこれら全てを短期間が覚えなければならない。終えてるはずの手続きも急なもので、司令官様が対処に当たっているらしい。
「もっとこうさ、激しい訓練とか、シミュレーションとかそういうのをするもんじゃないのか?こういうのって」
「しょうがないでしょ!司令にちゃんとイロハを叩きこんどけって言われてるんだから」
「えぇ……俺マニュアル読むの苦手なんだよね~それもこんな分厚いの」
実に参考書と言わんばかりのマニュアルにレッカはため息を吐くばかりだ。
――――――――――――――
「あんなの頭に叩きこまれてたら、いつパンクするか分からんこっちゃだ………」
睡眠時間を削りながらマニュアルを覚えるのに必死で寝不足だ。今にも眠りについて机に頭をぶつけそうな勢いだ。
「大丈夫、レッカ君?なんだか眠そうだけど」
「ん……あぁ、まぁちと眠れない夜が続いてるってやつさ、大丈夫、大丈夫……」
「にも見えないけど……」
今にも寝そうなレッカを、ポカンとする様な表情で見る渚、そこへ1人の少女がやって来た。
「おっはよ~渚ちゃん!」
「あっ、積姫ちゃんおはよ~」
「ん、レッカ、どうしたの?なんだか元気なさそうだけど」
積姫が机に手を突きながら話しかけてくる。オレンジブラウンの短髪からどことなく、ほのかな香りを感じた。
「えっ、あっ、いや…!ちょいと寝不足なだけだけで……うん」
レッカは照れてるのか、顔を赤くしながら椅子にもたれ掛かる様にして一歩下がる。
「ふ~ん、夜更かしとかかな?休みが続いたからってあまりハメ外しちゃダメだよ~それじゃっ!」
積姫はその場を後にし他の女子生徒に挨拶をする。
「………」
「よ~レッカ君、随分露骨な反応じゃないか~ねぇ?」
後ろからクラスメイトの
「うんうん、そりゃクラスの人気者、
「バカ、そんなんじゃねって!寝不足の時に急に声かけてきたらビックリするもんだろ?」
「どうだか~?」
積姫はクラスの中心の様な存在で人気者だ。とても明るく、そして優しい。成績も優秀で運動神経も抜群。そしてなんと言っても美人だ。女子も憧れるし男子にもモテる。そりゃ、俺だって気にならないと言えば嘘になる。むしろ仲良くしてくれる事が不思議なぐらいだ。話している時もつい、彼女の方に目が行ってしまう。バレたら引かれるだろうな。
「フフッ……なんだか何時もより楽しそう」
渚はその様子を楽しそうにみて微笑んでいた。
でもどこか寂しそうにも見える。
――――――――――――――
昼頃、俺達は食堂へ来ていた。生徒一同は飯にありつかんとばかりに列に並び、購買のパン、おにぎりの争奪戦が行われてる最中、いち早く並んで定食を取って席へと向かっていった。
「さてと……」
「おい………レッカ?」
「レッカ君?」
「ん、なんだよ?」
「その量、本当に食べるの?」
レッカの持っているトレイにはコロッケ定食、きつねうどん、おにぎりが2つ、更にはカレーパンが3つも乗ってあった。
「あぁ……なんだか腹が減って、ついな」
「ついって、量じゃないでしょそれ!?どうしたの急に?何時もは麺類一杯で済ませる程度のレッカ君が……」
突然の食欲旺盛っぷりに渚は驚いていた。黙々と食事に入るレッカ、その食べっぷりに一同は唖然としていた。
「アレ?レッカってそんなにいっぱい食べる方だったっけ?なんか珍しいね」
渚の隣に弁当箱を持った積姫が席に座る。慌てたレッカは頬張っていた物を一気に飲み込み、箸を止める。
「いやぁ、食べ盛りが来たのかね~?ホント、急よ、急」
「へぇ~なんだか変なの」
積姫がニコリと笑い返す。そこまで食べるレッカが珍しい様だ。あっという間に食べ終え、あの量を全部食べたのかと渚達は驚きを隠せずにいた。
――――――――――――――
放課後―――――校門を出るとレッカは真っ先に走り出した。
「ワリィ!今日も用があってさ、それじゃお先~」
「レッカ君…最近忙しそうだね」
「何か始めたんじゃねーのか?バイトとか」
ここしばらく一緒に帰る事もないからか、渚はどこか寂しそうな表情を浮かべていた。そんな彼女の後ろから積姫が飛び込んでくる。
「なーぎさちゃん!それなら一緒に買い物行かない?丁度渚ちゃんに似合うアクセサリー見つけたんだよね~」
「う~ん………じゃぁ行こうかな!」
――――――――――――――
「ふぅ……隠し通すのも楽じゃないぜ」
学校から少し離れた先の曲がり角で背中を突いて息を吐いた。自分がG.O.DのPSディバイダーである事は友達に話してはならない。うまく誤魔化し、本部まで向かう事に大変さを感じていた。
「今日も怪しまれなかったでしょうね?」
その横には沙織が待ち構える様に立っていた。俺ががうっかり正体をバラさないか、目を光らせている。正直、鬱陶しい。
「っく……学校終わりにそっち向かうの意外と大変なんだぞ、誤魔化すコッチの身にもなってみろ!」
「そりゃアンタが両立させる道選んだんだから上手くやれってもんでしょ?」
沙織に冷たく言葉を返された。全くの事実なのもあって言い返せなかった。そりゃ、俺が自分で決めた事だけど、いざそうなったら大変なもんさ。言われたら言われたでムカつく……と本人言ったら何されるか分からないから辞めておこう。話を切り替えようと、俺はある質問を沙織に尋ねた。
「そういやさ、PSディバイダーになると死ぬほど腹が減るのか?ここん所よく食べる様になったんだけどさ」
「え?アンタが元々どれくらい食べるかしらないけどさ、そりゃディバイダーは激務だもの腹は嫌でも減るものよ」
PSディバイダーは戦う日々が来る、そう考えれば空腹は訪れるものだろう。それが当たり前な事なのかと、不思議に思いながらも、なんとなくで納得していた。そうこうしている内にレグルス本部へあっという間にたどり着いた。
「さて、今日もアンタにみっちり叩き込むから覚悟しなさいよね」
「へいへーい、勉強した後にまたお勉強とは」
ため息を吐きながら本部の入り口に入っていく。ミィーティングルームに入り席に座るとミオンが講師の準備をして待っていた。
「はいはーい、それじゃ今日の授業始めるわよーいいわね?」
「んで、今日は何を教えてくれるんでしょうかい?」
「そうね~今日は……」
「ソイツか?例の新入りってのは」
後ろから黒髪にオールバックが特徴で、車椅子に乗った男がレッカ達の元に現れた。
「あらコマンダー、お身体はもう大丈夫なんですか?」
「まっ、復帰にはまだ掛かりそうだけどお前らの顔見に来る程度には」
「えっと……この人は?」
首を傾げて何者かを尋ねる、少なくとも自分の上官である事は分かってはいる様だ。そんなレッカの様子をみて男は面白そうな物を見る様に笑いながらこちらに向かって来た。
「俺は
自己紹介がてら、斗真に握手を求められ、それに応じた。
「なぁ、そういやコマンダーって何なんだ?」
「丁度いいわね、今日はそれの説明をしましょ。コマンダーってのはいわばPSディバイダー全員を束ねる前線指揮隊長って事よ、簡単に言うとね」
PSディバイダーには基本各小隊があってそれを指揮する隊長がいる。それら全ての小隊に支持を与え、前線で活動するのがコマンダーらしい。もう1つ分かりやすく言えば本部のナンバー2とも言える存在だ。つまりこの人は相当偉い。
「まぁ今はこの有様だがな」
車椅子に乗っている事から何らかの戦闘で負傷をしたのだろうと何となく察した。
「しっかし、お前さんがいてくれるのは助かるもんよ、何せこのレグルスは深刻なディバイダー不足で困っていたからな」
「人で不足って……それってどれぐらい?」
「まぁ、お前さんと沙織、それに俺、それと一応ミオンもな」
レグルスの人手不足があまりにも深刻を極めている事に唖然とした。本来なら、大規模な部隊で編成されるもんだと思ってたから、まさかそんな状況に追い込まれているとは思いもしなかった。前に父さんに連れてきてもらった時にはもう少し人がいた様な気がするが……その時にいた人は1人も見辺りはしない。ここまでの総入れ替えがあるだろうか?疑問を感じた。が、今はそれを考えても仕方ないんだろう。
「まぁ近い内にこっちに1人寄越すって話だが、それでもこの状況がこんな状況が何時まで続くのやら」
斗真は困難を極めた現状にため息を吐きながら頬杖を突いた。
「まぁどこの支部も人手が足りないってのもあるんだけどね~」
人で不足に悩まされているのはここだけじゃないそうだ。ここビクトリアアイランドのG.O.Dの支部は5つに分かれている。1つはここ中央支部レグルス、東方支部ベテルギウス、西方支部カノープス、北方支部アルデバラン、南方支部ハダル、これらに分かれている。そもそもゴーレムと戦う為にG.O.Dに志願する者の方が今は少ないそうだ。まぁ、命を懸けて戦うんだから自ら入る奴の方が珍しいまであるもんだ。
「あぁ、いたいた。レッカ、ちょっと来てくれ」
そこへ静香がやって来てレッカを呼び出した。
司令室まで連れていかれ、あるものを渡された。
「遅れてすまないね、これが君の制服だ、特注だぞ」
「おぉ……ようやく届きましたか!」
渡されたG.O.Dの制服。各隊員の制服は紺一色で統一されているがレッカのは青と黒とカスタムされている。
「後はライセンスの発行が終われば、晴れて君も正式にレグルスの一員だ。これから頑張りたまえ」
本来、訓練生を経て制服、ライセンスの発行を済ませるのだがレッカはその過程を飛ばして入隊している為、手続きを終えるまでもう少しかかる様だ。
「ほら、早速着てくるといい、みんな待っているんだぞ」
「了解っと、コレで俺も………!」
少し浮かれながら浮足で司令室を出るレッカ。その様子を見て静香はにこやかに笑った。
「ハァ……そういう所は子供なんだな、全く」
更衣室の自分のロッカーで制服に着替え鏡で自分の姿を見つめる。
「ふーん、結構いいじゃん」
左胸にRの文字に獅子が象られたエンブレム、右肩はオレンジ色で統一されている。チャックを閉めて気を引き締める様に更衣室を出た途端、そこに沙織がこちらの様子を伺う様にして待っていた。
「へぇ~案外似合ってるじゃん、馬子にも衣装とはこの事ね」
沙織の制服俺の青い部分が赤みがかった濃いピンク色となっている。それぞれ専用のカラーがあるのか?そういやミオンは緑色だったしあの斗真って人は水色だったな。
「まっ、みんなアンタを頼りにしてるんだから精々頑張りなさいよね!」
沙織が俺の肩を強く叩いた。偉そうに……聞く所、沙織の奴がここに来たのも一ヶ月ぐらい前の話との事。俺と同い年なのに先輩面されるのは少々不服だ。
レッカが去ったのを確認すると、沙織は壁を叩きつけ、その壁には若干ヒビが入った。どこか悔しそうな、苛立ちを感じていた。
「何よ、アタシだって新型があれば……」
――――――――――――――
「コレは………エリア3にPS反応!?」
作戦指令室にて突如とサイレンが鳴り響いた。モニターには1体のPSの反応を示す赤い点が記されていた。
「機体はワイバーン1機、ショッピングモールに立てこもり人質を取っている模様!」
「一体何が!?」
レッカが慌てて作戦指令室へ入って来た。
「あぁ……アレは違法PSだ。かなり厄介なものでな」
「違法って……そんなもんが裏で流れてるってのか!?」
裏ルートで開発、横流しされ、その規模は小さいながらもテロ、犯罪に使用されており世界各地で問題視されている。そう、敵は……ゴーレムだけではないという事だ。
「恥ずかしい事にな……たった1機とはいえ、一般人相手にその力が振り下ろされては成す術はない。頼めるか?」
「相手は人間………なんだよな?」
ゴーレムとは違い違法PSディバイダーは人間、最悪人の命を奪う事を意味する。上手くやれるのか、俺は不安で仕方がなかった。
「あぁ、だが入手ルートを聞き出さないとならない、だから殺せとは言わない。戦闘能力を奪うだけでいい」
「……それで場所は?」
「エリア3にあるショッピングモールだ。奴はそこに立てこもっている。敵に気付かれない様に潜入するんだ、いいな?サポートには沙織も同行させる」
――――――――――――――
「ここか……」
闇夜に紛れるかの様に夜が訪れる中、違法ディバイダーが立てこもってるショッピングモールに到着し周辺の様子を見渡す。
「中の監視カメラをデバイスに共有させといたわ。確認しておいて」
「あっ…あぁ、分かった!」
レッカがデバイスを取り出し監視カメラ経由で辺りを確認する。
全体は暗くてよく見えないが1つの店舗、グラスショップが確認できる。中には背中に小さいウィングを背負った緑色のPS、ワイバーンが銃器を構えて辺りを見渡していた。その後ろには数人の人質がいるのが確認できる。
「人質は10人ほど………ん?おい、嘘だろ!?」
よく見ると人質の中には渚と積姫がいるのをレッカは見つけた。よくは見えないが不安そうにしているのがよく分かる。何かを確認しようとスマホを取り出す。違法PSは立てこもってるのがニュースで既に取り上げられており、更にメッセージを確認すると、圭から渚達が人質に取られている事が送られていた
「っそ!今すぐ助けに―――――!!」
レッカが走り出そうとした時、沙織が彼の肩を掴んだ。
「ちょっと待ちなさい!そんな闇雲に向かってどうにかなるものじゃないでしょ!!」
「だけど………こまま黙ってるわけにもいかないだろ!!」
今にも手を振り払って走り出そうとするぐらい、焦っている。友達が目の前で危険な目に遭っているのを見て、いてもたってもいられなくなっている。
「だからこそ冷静になるのよ、いい?」
「あっ……あぁ、悪かったよ」
「とりあえず、アンタはあそこのダクトから潜入して、そこから中に入れるわ、いい?すぐに飛び込もうとするんじゃないわよ?」
「………分かった」
釘を刺されながらもそのままダクトから潜入を開始した。店内の侵入に潜入し違法ディバイダーが立てこもってるフロアまで辿り着き様子を伺う。
「アイツがか………こっからどうしたものか」
――――――――――――――
「っく……コレで少しは俺の力が理解できたかねー?」
違法PSのディバイダーが人質達に
を突きつけ怪しげに笑っていた。その中には渚と積姫も巻き込まれており、震える渚を積姫が抱きしめる様に庇っている。
「………」
「大丈夫………なわけないよね、私だって怖いもん」
小声で積姫が渚に囁く、突然なことでパニックになっても仕方がない状況でただ怯えて待つしかない事に。
「とりあえず一人撃ってから示してみるか?」
ワイバーンがライフルを人質に向けて、引き金を下ろそうとしたその時―――――
「なっ……何だ!?」
「ヤアアアアアアア!!」
ワイバーンの右手に向かって、長さが短めに調整されたフォトンサーベルが投げつけられ、直撃した衝撃でライフルを落とした所、アンバーリベリオンが押し飛ばす様に突っ込んで来て、下のフロアまでワイバーンと共に落下する。
「今の内に逃げて、早く!!」
アンバーの声と共に、人質の人達は一斉に逃げ出す。下に落ちていくその姿を渚が見つめていた。
「渚ちゃん、ぼーっとしてないで早く逃げるよ!」
「あっ………うん!」
渚達もその場から立ち去ったの確認して安心していると、起き上がったワイバーンから蹴りを一発お見舞いさせられる。
「ぐぁっ!?」
「っ……お前、G.D.Oの人間か?」
「だったら何なんだよ?」
立ち上がったアンバーはシールドからフォトンサーベルを取り出して構えた。ワイバーンもまた背中から
「つまりお前を倒せば俺は強い!誰にも負けはしねぇ!!」
「コイツ……そんな下らない事の為に!!」
ただ力を示したい、そんな理由の為に関係ない人達を巻き込んだアイツに対して、怒りを覚えていた。懐に飛び込んでサーベルを振り下ろすも、1振り1振りを交わされてしまい、逆にヒートダガーでフォトンサーベルを弾き飛ばされてしまう。
「しまっ……!!」
「もらったぁ!!」
アンバーに目掛けてヒートダガーが振り下ろされるも、それをシールドで防ぐ。力強さに押される中、レッカは対策を考えていた。
「確か他に……コイツだ!!」
「っと―――――!!」
「なっ、コイツ姿が……!!」
高速形態、ソニックアンバーに換装し、両腕に取り付けられている
「っ………!」
「あぁん?コイツ………ふざけているのか!!」
攻撃が止まった所をワイバーンが腕に仕込んでいたショットガンを腹部に撃ち込まれ、その衝撃で外まで吹き飛ばされてしまう。
「っ――ハァ……ハァ……」
相手が違法ディバイダー、犯罪者であれ人の命を奪うことに躊躇うかもしれない……俺の手は震えていた。
「ヒッヒッヒッ。なんだよ、こけおどしかよ?大した事ねぇなあ」
倒れている間に回収したフォトンライフルを手に握りしめ、その銃口を突き付ける。
「っ――――!!」
立ち上がろうとした時、保護されている渚達の姿を目にした。
そうだ、俺はみんなを……友達を危険な目に遭っているのに躊躇っている場合じゃない!!
咄嗟に膝を前に出し、中から小さな球がワイバーンに向けて発射された。
「なっ、なんだ!?うっ、腕が動かねぇ……何故だ!?」
発射された球は冷却弾、マイナス20度の冷却がワイバーンの腕をフォトンライフルごと氷漬けにした。
「コレで――――!!」
ワイバーンに接近し、フォトンライフルを持った右手をソニックブレードで切り下ろし、左腕に持っていたブレードを右足の踵の裏に取り付け、回し蹴りで両足を切断し奴はその場に倒れ込んだ。
「っ……コイツなんなんだよ!?」
「ハァ……ハァ、参ったかよ?」
「わっ……分かったよ、降参する!自主する!!」
ブレードをワイバーンに突きつけ、抵抗できない状態まで追い詰めた。負けを認めたのか、ワイバーンの装甲が解除されニット帽をかぶって、目つきの悪い青年が現れた。
――――――――――――――
「………」
G.O.Dの護送車に青年は収容されそのまま車は走り出す。その様子を見ていたレッカの後ろから沙織が落ち着いた様子でやって来る。
「コレでよかったんだよな?」
「まぁいいんじゃない?アイツには聞き出したい事が山ほどあるからね」
「アレをどこでどう手に入れたって事だろ?」
「えぇ、その流通ルートはどこからともなく流れている。それを取り締まるのもG.O.Dの役目よ、覚えておいて」
ゴーレムと戦う、それがPSディバイダーの役目だと思っていた。けど違法PS、そのディバイダーとも戦わなきゃならない。それがG.O.DのPSディバイダーの果たす務め。やる事は沢山だ。
「あっ、そうだ………!」
「後それから……って最後まで話を聞けっての!」
沙織が何かを言おうとしたが、そこにレッカは既にその場を去っており頭を抱えてため息を吐いた。
――――――――――――――
「渚!!積姫!!」
「れっ、レッカ君!?どうしてここに………?」
レグルスのジャケットを脱いだ状態でレッカが向かったのは渚と積姫が保護されたショッピングモールから少し離れた先だった。
「その……圭から2人が大変な事になってるって聞いて、飛び出して来たんだけど、門前払いくらっちまってさ」
上手く誤魔化しながら事情を説明した。自分が助けました、なんて胸を張っても言えるものじゃないしな。安心したのか渚は座り込んでいた、あんな事があったんじゃ仕方ないよな。
「ちょっと怖かったけど……突然現れた青いPSが私たちを助けてくれたの、ね?」
「うん!凄かったよ、いきなり飛び込んで来てビックリしたけどカッコよかったよね~」
積姫が嬉し気に語っているのを聞いてどことなく照れくさかった。素直に喜びたい所だが、俺の正体は秘密。ここでバラしたらこの後が怖い。
「へっ……へぇ~でも、2人が無事でよかったよ。俺は何もできなかったけど」
「そっ、そんな事ないよ!こうしてレッカ君が来てくれただけでも嬉しいよ、ねっ積姫ちゃん?」
「まぁねー、じゃぁさ、せめて私たちを家まで送ってくれるエスコートぐらいしてくれるよね?」
「あっ………あぁ!そりゃもちろん、な」
積姫が俺の手を引っ張りゆっくりと夜の道を歩きだした。
慌ててる様子を見て渚はにこやかに笑っていた。あんなに怖がってた2人が笑顔で喜んでくれる、これでいいんだ。今、この瞬間、この瞬間を………
To be continued…
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