胸骨柄 胸骨角に頚切痕 騎士団率いる剣状突起




胸骨柄きょうこつへい 胸骨角きょうこつかく頚切痕けいせっこん

騎士団ひきいる剣状突起けんじょうとっき




抑えきれない衝動、胸骨きょうこつです。

あまりの愛おしさに、その他の筋肉を差し置いて、とうとう表に出てきました。


胸骨丙きょうこつへい胸骨角きょうこつかく頚切痕けいせっこん剣状突起けんじょうとっき……すべて、「胸骨」というたったひとつの骨がもつ骨指標こつしひょうです。


骨指標というのは、肌の上から触った時に、目印になる部分のことです。

この骨指標をたよりに医療従事者は、身体の中の見えない部分がどうなっているかを把握し、迅速な対応を行います。

骨指標に関しては、この先でご説明していきます。




まず、胸骨のおおまかな触診から。

おおざっぱでかまいません。鎖骨さこつを、体の中心に向かって辿っていくと、鎖骨の先端にたどりつくと思います。

その2~3cm下、身体の中心に触れる平べったい骨が、胸骨です。

長さはだいたい、15~20cm。幅は3cm前後でしょうか。

肋骨ろっこつに挟まれるようにして、存在しています。

さらなる細かい触診は本当に地味なので、最後にこっそり載せておきます。




胸骨でもっともロマンを感じるのは、やはり骨指標。

胸骨丙、胸骨角、頚切痕、剣状突起……とにかく名称が、強い。


剣状突起に至っては、ラス面のボスとも、最強勇者とも呼べるような圧倒的強さ。

この4人でパーティーを組んだら……とも考えましたが、みんな戦士っぽいので騎士団が良さそうです。

頚切痕は切り込み隊長。胸骨丙は重騎士、胸骨角は弓使い、剣状突起は騎士団団長で最後にグワァア~~~ッと……

すみません、バトル描けない作者が無理をしました。


心嚢穿刺しんのうせんし(心臓の膜の中に貯まった液体を排出する治療)の際などは、剣状突起を目印に針を入れることもあります。

健康診断の心電図の時に装着する吸盤も、胸骨角などを目印に正しい場所へ取り付けます。




胸骨はその形も美しい。

全体としては、逆三角形の胸骨丙に、長方形の胸骨体、小さな剣状突起というつくりです。

胸骨は、鎖骨・第1~7肋骨と繋がっているため、ひとつの骨でありながら16個もの関節を有しています。


さらにその関節ひとつひとつがぴたりと合致するように、絶妙な凹みをもつ胸骨。

16本もの骨を受け容れ、支え、繋ぎあう。

胸骨は、16人全員が心地よく過ごせるよう万全の受け容れ態勢を整えている。

なんたる、ハーレム状態……!

なんとも退廃的で耽美な小説が一作書けそうです。




胸骨については生理学的にも重要な意味をもつんですが、ここでは骨格単位でのお話に留めておきます。

だって、すでに1000字をこえてるんだもの。短歌なのに。




お待ちかね、触診のコーナーですが、骨の触診ってすごく地味なので最後にちらりと。

地味だけど、わかると楽しい。ぜひお試しください。


頚切痕けいせっこん

慣れないと「グェッ」ってなるので、本当に注意して。

胸骨の一番上の部分、鎖骨との境目のところ。

さわると、すこし下にえぐれるような形になっているのが皮膚上からもわかります。


胸骨丙きょうこつへい

頚切痕から2~3cm下まで拡がる、逆三角形のような面。

最上部に頚切痕をもつ。


胸骨角きょうこつかく

胸骨丙の下にはさらに、胸骨体という10cmほどの長い骨が広がっている。

その胸骨丙・胸骨体の間にあるつなぎ目のことを、胸骨角という。

胸骨丙をじわじわ下に辿っていくと、小さな山のような盛り上がりがあります。それが、胸骨角です。


剣状突起けんじょうとっき

さらに下の、胸骨体の下にチョンッと飛び出た部分。

いわゆる、みぞおちの部分です。胸骨の一番下なのでたどればわかりますが、グエッとならないように……!




しかし、アレですね。

なんかだんだん情緒がなくなって、ただ筋骨について三十一字で述べているだけになってきました……。

情緒を思い出した頃に、また更新しようと思います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る