青と灰のシティ

春雷

第1話

 空っぽの大気に揺れる風船よ行き場もなくてそれは彷徨う


 扇風機が首を振っては溜息を吐く彼は僕に呆れているのか


 おもちゃ箱積もった埃いつからか私は子どもを辞めているらしい


 飛行機雲真っすぐに伸び気持ちがいい僕の軌跡もこうでありたい


 夜が来て光る街灯群がる羽虫イミテーションの月に見惚れて


 ペンと剣キーボードと銃スマホと核 灰の地球で決まる勝敗


 夏の日に南極のように溶けたアイス食べる君を見て未来を思うが


 白のタオル汗も涙も漂白し過去についた汚れを忘れ


 待ち合わせの広場で君を見つけたら銀河が弾けた秋の夕暮れ


 タタンタタン電車は揺れて肩触れ合う私の心もタタンタタンと


 蝉たちも眠りについた暗い夜まるでライブの後の静寂


 青空を飛ぶ鳥たちの眼前に迫るガラスに気付けはしない


 ツギハギの服を洗って干している明日から税が上がるのだと言う


 空想も飽き飽きした日の夕暮れにベンチで三ツ矢サイダーを飲む


 カマキリに眼が合い逸らしたその後で喧嘩を買う気はないと呟く


 授業中白紙のノートを走る鉛筆走ったあとには下手な落書き


 七月の雨降りしきる期末テスト運動場がゆっくりと濡れる


 甘ったるいだけのケーキを頬ばって体重計には乗らないでいる


 古い本の焼けたページを繰っている平日の午後の空いた図書館


 街角のカフェを遠くで眺めている入るかどうか決めかねている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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青と灰のシティ 春雷 @syunrai3333

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