だったら俺は逃げるぜ!

※シナリオ『英雄の獅子団。』の原作です。


だったら俺は逃げるぜ!

あんなやつら相手にしてちゃあ、命がいくつあったって足りやしねぇ。命あっての物種だ。

臆病風に吹かれたかって?……っは!

お前らの方こそ病気なんじゃねぇのか?

そこの死にたがりの英雄気取りのパラノイアに何吹き込まれたか知らねぇが、どいつもこいつも熱に浮かされたみてえに、目ぇギラギラさせやがって。気持ち悪いんだよ!

お前ら正気じゃねぇぜ!

前向いてりゃどうにかなるってか?

決死の覚悟だ? 玉砕だ?

笑わせる。犬死にだ。

なら、せいぜい吠えろよ。

声の大きさだけで勝てるんならお前らに敵はいねぇや!

でも、現実見ろよ。目ぇ付いてんならよ?

この数と力の差はどうやったって覆せねぇ。

犬は象にゃ勝てねぇんだよ。

どんだけ吠えようが牙持ってようが、届かなきゃ意味がねぇ。あぁ? 戦士の誇りだ? 阿保くせぇ。

お前らの誇りなんて黴臭くって、くしゃみが出らぁ。

勝ち目のない戦いで散るのが美しいって?

お前らにとっては血みどろが華か?

はは! 俺のくしゃみで飛びそうな理想だな。

想像の中のお前らは果敢に戦って散った悲劇の英雄かも知れねぇが、歴史書に書かれるのはたった二文字だ。

惨敗だ。

そこに心なんて、大義なんてねぇ!

それでもやりてぇんなら、死にてぇんなら、止めやしねぇ。

惨敗の前の誰にも読み解かれることのねぇ行間に骨を埋めてこいよ。

お前らの華々しい散り様を鼻で笑ってやる。


……なぁ、英雄野郎。お前言ったよな。

一緒にこの国を救おう。付いてきてくれないだろうか?って。

なら、俺も言ってやる。フェアに。汚れ役買ってやらぁ。

一緒に俺達の命を救おう。付いてきても良いんだぜ?

どうする? 俺は逃げるぜ!

何もかんも捨てても、全身全霊で命だけは拾ってやらぁ!

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