よぉ。久しぶりだな。

……よぉ。久し振りだな。

おいおい、何て面してんだよ。

まるで――死人にでも遭ったみてぇじゃねぇか。

もっと喜べよ。大きな声で俺の名を呼んでみろよ?

後退るんじゃなくて、駆け出せよ。

表情が堅いぜ? 取り繕うなよ、心のままに笑うか……泣けよ。寂しいじゃねぇか。

こうして会いに来たってのによ?

感動の再会だぜ?

また巡り逢えた奇跡に感謝しろよ。

なぁ喜べよ。俺の名を叫んでみろよ?

でっかい声で。

俺の名を口にしろよ。

俺とお別れしたあの時みたいにさ。

なぁ、なんとか言えよ?

分からなくなるだろ?

じゃないとさぁ、分からなくなっちまうじゃねぇか?

俺が、俺が一体、何者なのか……。

さぁ、名を呼べ! 心から喜べ! 駆け出せ! 笑え! 泣け! 抱きつけ! 噛み締めろ踏み締めろ再会を! なぁ思い出せ! そして俺に思い出させてくれ! 教えてくれ! 教えてくれよなぁ!?

俺は生きているのか、死んでいるのか、何者だったか、今俺は何なのか……?

じゃないと、俺はお前を……。

あ、ぁぁぁぁぁ……………………。


……よぉ。久し振りだな。

あの時みたいに、殺しあおうぜ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る