剣と英雄と。
※シナリオ『剣と英雄と。』及び『剣と英雄達と。』の原作
ちょっとそこ行く騎士様!
あいや、でっかいカゴ背負った行商のあんちゃんでもいいよー!
さぁさぁ皆さん老いも若いも関係ねぇや!
男も女も忙しい人も暇人も!
どうぞ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!
この石畳に刺さっておりやすは、かの英雄が吸血鬼退治に用意したとされる伝説の剣でございやす!
何十年も前からここに刺さっていやすが誰が引き抜こうとしても頑として動かない。そんな剣でございやす!
力に覚えのある方、お一つ抜いてみやせんか?
こちらの剣。見た目こそ装飾もなく無骨ではありやすが、折れず曲がらずよく斬れる。
なんでも、ものすごい力を秘めた業物にございやす。
どれくらいすごいのかって? 実はこんな逸話がございやす。
何年か前のこと。ある貴族様がこの街に馬車でやってきやした。その貴族様は大層裕福でございやして、勢いのあるお方だったのですが、ここだけの話、少々見栄っ張りでお屋敷よりも出掛けるときの馬車にお金をつぎ込む馬車狂い。
その時も4頭立ての大きく立派で頑丈な馬車を駆って、この街にやってきやした。
ところで皆さん、この街には道の真ん中を歩くなというルールと言いますか、習慣があるのをご存知でしょうか?
別に守らなくてもどうってことはありやせんが、悪いことは言いやせん。ぜひともお忘れなきように。
さてさて、貴族様のお話に戻りやす。貴族様は先ほど申し上げたように大変ごきげんなお方。そこに道があれば真ん中を走るのは貴族の嗜みとばかりに、馬車を勢いよく走らせておりました。
すると、道のど真ん中に何か柱のようなものが。
お分かりでしょうか? そうです。こちらの剣にございやす。馭者は避けようとしやしたが、貴族様はそれを気に入らず、この剣を見て言いやした。私の行く手を阻む棒きれなどこの頑丈な馬車で弾き飛ばしてしまえ!
馬車はぐんぐん加速してとうとう剣にぶつかりやす。接触すると同時に激しい音……は、鳴らず。道行く人々にはなんでも、すぅっとすり抜けたように見えたそうでやす。そして何事もなく通り過ぎていきやした。馬車も剣も傷一つない。かに思われやした。しかし、馬車は少し行ったところで突然グラグラと揺れ始め、なんと真っ二つに割れてしまったそうです。
ちなみにあっしの後ろで営業してやす二つの屋台が、その時の馬車の残骸でございやす。
と、そんな逸話でございやすが、どうでしょう?
力に覚えのあるお方。どうか抜いてみやせんか?
こいつを引き抜いた者はきっと次の英雄になれやすぜ!
ついでにさる貴族様から謝礼も出やすぜ!
いかがでございやしょう?
挑戦者求む!挑戦者求む!!!
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