第8話 いざデートへ

 お昼時が過ぎるまでなんとか呼び込みを頑張った。陰の者にとって知らない人に話しかけられるのはキツすぎた。はっきり言ってもう帰りたい。


 けど! やっと、やっとなつちゃんに会える! このためだけに頑張ったって言っても過言じゃない。


「戻りましたー」


 クラスに戻るとお昼時のピークも過ぎたのか、お客さんは数人になってて何人か休憩してる人とかいなくなってる人もいた。


「お疲れ様〜おやつあるよ」


 明里ちゃんが飲み物(オレンジジュース)を持ってきてくれた。


「なつちゃん達は?」


「その前に、その首に掛けてるやつとったら?」


「……………慣れって凄いね」


 人の適応力………恐るべし。すっかり掛けてたの忘れてたわ。


「8組のお化け屋敷行ってくるって。ほら、戻ってくる前にお昼済ましちゃって。今日はもうシフト無いでしょ?」


「うん、午後はなつちゃんと…………ふへへ」


 午後は二人きりでいろんな所に行って、あんなことやこんなことを………………楽しみすぎて涎出てきた。


「優奈…………あんた人前じゃ出来ない顔になってるわよ」


「ふへ………ふへへ!!」


「ま、マズイ………なつちゃんレスで変なテンションになってる。早く戻ってきてもらわないと」


「ゆうお姉ちゃーん、来たよー!」


「………! はぁ〜い! 今行くよー!!!!」


 教室の出入り口に向かうと笑顔の天使が私にぎゅっと抱きついてきた。


「(もう死んでもいい)」


「あらら、ずいぶん可愛らしい服を着てること」


「優奈ちゃん、似合ってるわよ」


 なつちゃんに少し遅れてお母さん達も教室に入ってきた。

 2人してお揃いの綿飴なんか買っちゃって、随分満喫してるようですねぇ〜。


「お席にご案内しますね〜」


 なつちゃんの手を取って3人席まで案内する。メニューを持って(めっっちゃ詳しく)オススメとかを説明する。


「私はいちごパフェにする!」


「じゃあ私と七海にはコーヒーをお願いね」


「はい、少しお待ちください」


 私は気合を込めてキッチンに向かう。

 コーヒーは七海さんのは丁寧に、お母さんのは適当に(だってどうせ味は変わらないし、わかんないでしょ)。なつちゃんのいちごパフェはソースも果肉もめっちゃ多く盛った(自費だからセーフ)


「お待たせしましたー! なつちゃんにはサービスでアイス、ポッキー、お菓子、ゼリーあとその他諸々! 七海さんにはコーヒーとショートケーキを。お母さんには………はい、チロルチョコ」


「優奈………夜ご飯は床で食べる?」


「………スミマセン」


 しっかり用意してたケーキ(モンブラン)を出す。これでなんとか夜ご飯は机で食べれる………はず。


「さっき、明里ちゃんから聞いたんだけど午後は暇なんでしょ? じゃあ奈月ちゃんと楽しんできな」


 おお、良かった。機嫌は治ったぽい。これで机でご飯が食べれる。


「なつちゃん、食べ終わったら一緒に回ろっか」


「うん!」


 あぁーーーーー!!!!! 楽しみ!!!!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る