第22話 姉、負ける

「ねぇ〜なつちゃん、アイス、どっちの味がいい?」


私は持ってるアイスをなつちゃんに見せる。味はチョコ味とバニラ味。私はバニラが好き。


「う〜ん………チョコがいい」


「はい、ど〜ぞ♡ じゃあなつちゃんが食べてる間に髪の毛乾かすね」


「うん、けどその前に下着は着てね?」


「ハイ…………スミマセン」


なつちゃんに若干嫌な顔をされ傷ついたため素直に下着とパジャマを着る。いやぁ〜、お母さんと2人で暮らしてたときは裸でいても何も言われなかったんだけどなぁ…………これが教育の差かぁ。


「はいじゃあ着替えたことだし、乾かしてくよ〜」


ドライヤーのスイッチを入れて温風を出す。

そして熱く感じない程度に離しながら温風を当てていく。その時には手で風の通り道を作りながらほんのすこ〜しだけ引っ張りって髪を伸ばした状態にすると綺麗な髪になる…………らしい(by明里ちゃん’s知識)


「熱くない?」


「うん、冷たい」


なつちゃんは必死にアイスを吸ってるせいでほっぺたが引っ込んでる状態になってて見ててすごく面白い顔が出来上がっていた。


「…………なつちゃんはそのアイス好き?」


「う〜ん、どうなんだろう、1番ではないけど………………好きな部類には入るかなぁ」


「そっかぁ、そっかぁ♡ じゃあ今度好きなアイス教えて欲しいな。買ってきてあげる」


「んいや、大丈夫。ゆうお姉ちゃんのお金だからゆうお姉ちゃん使って」


「そう? 食べたかったらいつでも言ってね♪ お姉ちゃんのお金はなつちゃんの物だから、ね!」


ふふ、私は昔から節約癖があってお年玉は使わずに通帳に貯めてたからね。い〜っぱいあってこの前久しぶりに見たら…………びっくりしたよね、多すぎて。


「…………ねぇゆうお姉ちゃん」


「どうしたのかな〜? 愛しのなつちゃんや」


髪もあらかた乾かし終わって冷風で髪のケアをしているとなつちゃんがもじもじし始めた。


「えっとね……………なんでもない、忘れて」


「えっ…………凄い気になる。教えてよ」


なぜかふふっと笑ってなつちゃんは言葉を飲み込んでしまった。す、すごい気になる。どうしよう、気になりすぎて夜も眠れなくなっちゃうよ。


「ヤ! 内緒ですぅ〜」


「え〜!? 教えてよ〜」


私は手に持っていたドライヤーを置いてなつちゃんの脇をこちょこちょする。ふふっ私のこちょこちょスキルを味わうがいいわ!


「どうだっ! お姉ちゃんのこちょこちょ攻撃は!」


こちょこちょ…………


「………………」


こちょこちょこちょ…………


「あれー? なつちゃ〜ん?」


こちょこちょこちょこちょ…………


「…………ごめんゆうお姉ちゃん、私こちょこちょの耐性あるから効かないよ」


なつちゃんが平然と『何かしてる?』みたいな顔をしながら言ってくる。


「そ、そんな……………私のこちょこちょが、きき、効かないなんて…………」


「お、落ち込みすぎだよ…………」


「はぁ……………ぎゅ〜!!!」


「ちょっ!? お姉ちゃん!?」


私は後ろからめいいっぱいの力を込めてなつちゃんに抱きついた。

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