第23話 妹、姉の部屋に忍び込む
ある休みの日、私こと奈月はゆうお姉ちゃんのお部屋に不法侵入していた。(ゆうお姉ちゃんは学校に行ってる。赤点とか補習とか言ってた)
ゆうお姉ちゃんのお部屋は全体的にあったい色の家具とかで構成されてるからここにいるだけで眠くなってくる。それに、
「ゆうお姉ちゃん………」
もちろん返事が返ってくるわけがない。わかってるのに、凄く、すごく悲しい気分になってくる。
寂しい気分を紛らわすためにゆうお姉ちゃんが毎日寝て、私の大好きなゆうお姉ちゃんの汗、匂いが染み付いてるベッドにボフンと音をたてて倒れ込む。顔が布団に埋もれた瞬間に大好きなゆうお姉ちゃんの匂いが鼻を通って脳にまで届く。
「すぅ〜〜〜〜…………すきぃ、お姉ちゃんのいい匂い好きだよだよ、お姉ちゃん♡」
女の人特有の甘い匂いにシャンプーの柑橘の匂いが合わさってできる危険な匂いが私の嗅覚を支配して、目の前にお姉ちゃんがいるように錯覚させる。
「……………いけないいけない、せっかく
ガバッと布団から起き上がって辺りを見回す。視界に入るのは勉強机、クローゼット、本棚………………どれから楽しもうかな。
「まずは………本棚かな」
ベッドを離れて本棚の前に立つ。
本棚にはたくさんの(百合)漫画と(百合)小説、教科書、それと卒業アルバムがあった。卒業アルバムをめくってクラスのページを開く。
「(苗字は“炫”だから最初の方にあるはず…………)」
全部のクラスページを見てやっとお姉ちゃんのクラスのページを見つけることができた。
「(中学生の頃のお姉ちゃん、全然今と違う)」
中学生の頃のお姉ちゃんは今と違って長い髪をサイドで結んでサイドテールにしていた(今は結ばないで流してる) さらには童顔なのも相まって…………犯罪的に見える。
「お姉ちゃん、かぁいいよぉ……………」
今すぐにでも抱きしめて、お姉ちゃんのおっきい胸に顔をうずめてゆうお姉ちゃんの匂いを鼻腔いっぱいに詰め込みたい。
◇ ◇ ◇
私は次にクローゼットに向かった。クローゼットを開けるといっぱいのお姉ちゃんの私服といっぱいのお姉ちゃんの匂いが充満していた。
「はうぅ♡」
あたま………くらくらする。
視界も…………ぐわんぐわんする。
あ……………………
◇ ◇ ◇
「…………い…………〜い、お〜い、なつちゃん、大丈夫?」
目を覚ますとゆうお姉ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。その瞬間私は無意識のうちにゆうお姉ちゃんに口を近づけていた。そして私とお姉ちゃんの口があとちょっとで重なりかけた………………が
「どうしたの?なつちゃん。お顔が真っ赤だよ。お熱でもあるのかな?」
ゆうお姉ちゃんは私のおでことお姉ちゃんのおでこをくっつけて来た。
近いお姉ちゃんの顔、直に当たるゆうお姉ちゃんの息、それだけで私の心は限界だった。
「しぁぁせ」
「なつちゃん!?」
私は視界は暗転した。その後には私を呼ぶゆうお姉ちゃんの声だけが私の頭の中に響いていた。
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