第17話 レクリエーション・鬼ごっこ編
金曜日、この日はいつもは制服で登校することになっているが今日だけはジャージでの登校が許されているのだ。なぜって? そりゃあ今日は………
「レクリエーションだ〜!!!!」
「…………元気だねぇ〜」
隣に座ってる明里ちゃんが耳を抑えながら言う。
私は今日という日が楽しみで昨日の夜はぜんっぜん眠れなかったくらいには楽しみにしてたのだ。
「ふふっだってマイエンジェルのなつちゃんのクラスと一緒なんだよ!? これはやる気出ない方がヤバいでしょっ!!」
それに、今日の朝なつちゃんから「髪の毛結んで?」って言われたんだよ!? いつもは結ばないでそのまま学校に行ってるのに、なのに今日は私の部屋まで来て言ってくれたんだよ!? も〜鼻血が出ないように我慢するのが大変だったよね。後ろに立った時に匂ってくる女の子の特有の匂い、もう最っっっ高だったわけなのよ♡
「いや〜合法的に
「あんた…………捕まんないでよ? 私嫌だからね、インタビュー受けんの」
「いやいや、だから大丈夫だって。前にも言ったけど私はなつちゃんが好きなの」
まったく、この親友ときたらまぁ〜ったく私のことを信用してくれないなぁ。実際に私はちっちゃい子を見ても特になんとも思わないしね。
◇ ◇ ◇
そんなこんなでなつちゃん達の教室前まできた。
教室のドアを開けて中に入ると担任の先生と元気そうな子供達とその中に愛しのなつちゃんを見つけた。
「初めまして、私は…………」
先生の話を右から左に流しながらなつちゃんを見つめているとなつちゃんと目が合ってしまった。
「……………っ!(か、可愛い♡)」
体操着姿のなつちゃんが尊い!!!!!
今すぐにでもスマホを取り出して連写モードで撮り尽くしたいけど、学校だから出来ないぃ………………クソがぁ!
「では、私はこれで失礼します。皆さん、お兄さんお姉さんを困らせないようにしましょうね」
そう言うと先生は教室を出て行った。
「よ〜し、じゃあ早速始めよっか!」
◇ ◇ ◇
校庭に出て準備運動をする。
今回の鬼ごっこのルールは鬼役が3人でそれ以外が逃げ役になる。で、もし小学生チームが1人でも最後まで残ってれば景品としてお菓子とかが配られる(もちろん高校生には何も無いよ!)
鬼役の1人は運動の女神こと
「制限時間は45分、範囲は学校の敷地内ね。じゃあ30秒経ったらスタートだよ!!」
自転車を降りた際に石に躓いて足を折った見学兼進行係の
鐘の音が鳴った瞬間子供達が蜘蛛の子を散らすように校庭全域に散らばっていく。
今回の参加者は全員で役60人大体1人で20人くらい捕まえればオッケーだね!
「瞬くん、無窮くん、準備オッケー?」
「当たり前よ!」
「無論」
2人のやる気も十分だね!
「じゃあ………………スタート!!!」
30秒経った事を確認して3人とも一斉に走り出す。
「(う〜ん、まずは体力のあるうちに高校生を先に捕まえた方がいいよね〜)」
ウォーミングアップがてらに小学生を軽く追いかけながら作戦を考える。私の頭の中に浮かんだ作戦は2つあって、
1個目はさっさと小学生を捕まえて残り時間を使って高校生を捕まえる作戦。こっちの作戦のメリットは体力をある程度温存した状態で高校生と戦えること。いくら私達がゲキ強鬼だとしても高校生相手に体力が少ない状態で挑んでも難しい。けど、この作戦だと逃げ役が勝っても小学生の子がお菓子を貰えない事なんだよね。さすがにこれはダメかなぁ〜って思ってる。
2個目の作戦は1個目とは真逆で高校生を先に捕まえる。これだったら疲労も無い完全な状態で挑む事が出来るし尚且つ小学生が残ってお菓子がもらえる可能性もある。
「……………2個目やね」
小学生の男の子を数人捕まえた所で方向転換をして高校生に狙いを定める。
「オラァああああ!!!! 待てやぁあああ!!!」
「いやぁああああああああああ!!!」
笑いながら逃げる高校生、奇声をあげながら般若のお面(視界を狭めるハンデ)をつけて追いかける私、泣きじゃくる小学生、校庭はカオスに包まれた。
「ちょ、優奈w キツいw」
「はーはっはっは!!! 待て待てぇ〜!」
偶然鉢合わせた明里ちゃんをしつこく追いかけ回す。明里ちゃんは笑いすぎてあまり力が入んないみたい。
「ぐぅ……………脇腹いてぇ…………」
「はぁ………はぁ…………明里ちゃんガチで逃げないでよ…………」
明里ちゃんを追いかけること3分、やっと捕まえることができた。やっぱり明里ちゃんは私の完全上位互換だわ。1人で3分も逃げれて勉強もできるとか…………チートでしょ。
明里ちゃんを留置所に送ると既にほとんどの男の子(高校生)が捕まっていた。
「おっ優奈さんが女の子捕まえてくれるとありがたいわぁ〜。俺らが捕まえたら何言われるかわかんないからなあ〜」
そう言いながら最後の男子を連れてくる瞬くん、仕事が早すぎる。鬼ごっこが始まってからわずか10分で最高戦力の男子が捕まったのは…………マズイんじゃないかなぁ。
「…………すみません、ルール追加します。鬼の人はこれ、付けてください」
また逃げてる人を捕まえに行こうとした瞬間、骨くんに止められる。そして手渡されたのは…………
「「リスト?」」
渡されたのは筋トレとかによく使う重り付きのリストバンドだった。
「君たち強すぎるからこれ付けて追いかけてね。あとで無窮くんにも渡しておきます」
「うわっ結構重いかも」
「ほんとだ、こりゃあ大変だ」
付けたリストは結構な重さがあった。これ絶対調整とかしないであるのそのまま持ってきたでしょ。これ私最後まで体力持つかなぁ。
「ま、頑張ってくださいね〜」
「ぐぅ、他人事だと思って〜」
ま、まあいいや、これから本命を捕まえに行くんだからね!
待っててね、なつちゃん♡
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