第13話 帰宅with妹
妹の危機を本能的に感じ取った私は授業が始まる1分前になったのにも関わらず私は教室を飛び出して高校から出て小学校に向かって走り出そうとした………が、運悪く教室を出た瞬間に数学担当の鬼教師、
「あっ………………」
目の前に血管を浮かび上がらせた般若…………じゃなくて鬼津先生が仁王立ちをしている。
「おい、炫…………お前どこ行こうとしてんだぁ?」
「えっとぉ…………そのぉ…………」
先生から覇◯色さながらの圧がかけられると汗が噴き出して無意識のうちに縮こまってしまう。
「まさかお前小テストから逃げるわけじゃないよなぁ?」
「い、いえ、そのようなことではございませんよ……………はい」
「じゃあなぜ教室を出る? もう授業は始まるんだぞ?」
キーンコーンカーンコーン
「むっもう始まってしまうな。おいみんな、少し自習しててくれ」
「んなっ!」
ちょちょちょ、私だけ説教ですか!? それならもう終わりにして授業始めないんですか!?
「炫ぃ、お前はただでさえ点数が悪いのにこれ以上………………」
〜〜〜50分後〜〜〜
「いやぁ〜災難だったな!」
「うぅ、うるさぃ〜」
「まさか20分も仮眠できるとは思わなかったよ!」
そう、あれから20分間、私は廊下で正座をさせられてお説教をうけていた。これがもし普通の生徒なら他のクラスの先生が出てきて止めに入るだろうし、まず20分もお説教にはならないだろう。
けど、私には前科がありすぎたのだ。10分くらい経った頃に隣のクラスの先生が様子を見にきてくれたけど「なんだまたお前か、今度は何をやらかしたんだ」って呆れながら言われて戻って行ったんだよ!? 先生なら多少は止めようとしてよ!!
「ほら、次体育だから着替えに行こ! 体育が唯一の楽しみなんでしょ!」
私の手を引っ張って更衣室に歩いて行く陽菜ちゃんに引きずられながら妹のことを考える。
「(ごめんよ、助けに行けなくて…………)」
◇ ◇ ◇
放課後になって部活に入ってない私は部活のある陽菜ちゃんと別れて急いで小学校に向かって走って行った。
「待っててねぇー! なつちゃーん!!!」
全力ダッシュをする私を見て中学・高校生が道を開けてくれている。いやぁ〜良くわかってるじゃないか!
全力ダッシュをして児童館の扉を開ける
「なつちゃん迎えにきたよ!!」
「うるさいですよ〜優奈ちゃん。周りに迷惑だから静かにしようね〜」
扉を開けた瞬間になつちゃんを呼ぶ。
そして声を発した瞬間に頭の上に物差しが振り下ろされる。
「いっっったぁああああいい!?」
痛みを生じてる頭を抑えながら上を向くと小学生の頃お世話になったおばちゃん先生が笑顔で立っていた。
「全くもう、小学生の頃から変わってないわねぇ」
「先生、お久しぶりです……………」
私の頃からおばちゃんだったのに、まだおばちゃんだったとは……………さてはこの人不老不死なのか?
「妹ちゃんでしょ? ちょっと待ってて」
そんな失礼な事を考えていると先生は職員用の仮眠室の中に入っていって、そこからなつちゃんを抱っこして戻ってきた。
「なつちゃん! 寝てるなつちゃんも可愛い〜♡」
先生からなつちゃんを受け取って背中でおんぶをする。
はぁ〜♡ なつちゃんの体温が直に伝わってくる〜幸せ〜♡
「すっかりお姉ちゃんね」
「はい! 世界で1番大切な妹ですから!」
「妹ちゃんね、かなり疲れてたっぽいからしっかり休ませてあげるんだよ。はい、あとそれとランドセル。持てる?」
先生からさらに重くなったランドセルを前で背負う。ちょっとキツいかもしれないけど……………………なつちゃんのためだったらいくらでも大丈夫だよね!!
「先生、また明日お願いしますね!!」
「はい、さようなら」
おばちゃん先生の母性の塊のような笑みを見ると自然に力が湧いてくるような気がした。
私は全身から力を振り絞ってバス停に向かって歩いていった。
◇ ◇ ◇
バスに乗った時になつちゃんを起こしたらそこからなつちゃんのマシンガントークが始まった。今日あった事とかどんな友達ができたとか色々聞くことができた。話してる間のなつちゃんはすっごく楽しそうで聞いてるこっちまで楽しく感じちゃうくらいだった。
「帰ったよ〜!」「ただいま〜」
玄関を開けて家の中に入るとお母さんが出迎えてくれた。
「おかえり〜ご飯できてるから手洗ってきな〜」
「今日の夜ご飯なに〜?」
「唐揚げよ〜。奈月ちゃんも好きって聞いたからいっぱい作ったわよ!」
おぉ〜! 唐揚げ美味しいから嬉しいよね。
「なつちゃんも唐揚げ好きだったの?」
「うん、お母さんの唐揚げ、好き」
なつちゃんも嬉しそう。なんかお尻のあたりに尻尾があってぶんぶん振ってそうな顔してる。
「さっはやく着替えてきな!」
「「は〜い」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます