第8話 添い寝

髪も乾かし終わって自室に戻ってゴロゴロしていると部屋をノックされた。「どうぞー」と言うと少し開けられた扉からひょこっとなつちゃんが顔を覗かせてきた。


「(かっ可愛い♡)」


「ゆうお姉ちゃん、入っても……良い?」


「うん良いよ〜おいで〜」


なつちゃんを部屋に招き入れると枕を持ったなつちゃんがそのまま入ってきた(絶命)。なつちゃんのネグリジェ可愛すぎるだろ!! もう死んでも良い。


「どうしたのかな〜?」


まあなつちゃんの格好と枕を見れば理由なんて聞かなくてもわかるんだけどね、聞くのがオツだよね。


「えっと、お母さんが『今日はお姉ちゃんのところで寝させてもらいなさい』って…………」


「そういう事なら良いよ。けど私はもう少し起きてるけど、なつちゃんは明るくても寝れる?」


ゴロゴロしてるけど私には寝る前のルーティンがある。それは学校の予習と復習。私はただでさえ勉強が出来ないからちょっとでもたくさん勉強しないと! じゃないと色々大変なことに………………ハハハ


「うんん、起きてる」


「そっか、じゃあ先にお布団の中に入って待っててね。あっ読みたいのあったら本取って良いからね」


「うん、ありがとゆうお姉ちゃん」


そしてまた視線をなつちゃんから机に戻す。

そこには√やらsinやらcosが並んだ真っ白な課題プリントがあった。


「…………………」


あ〜もういいや! どうせ明日もあるんだし、明日やればいいや! それにせっかくなつちゃんがいるんだし、一緒におしゃべりして仲を深めた方がこれからのタメになるもんね! うん、絶対にそっちの方がいいよね!


「なつちゃん、やっぱりお姉ちゃんも入っていい?」


「うん!」


なつちゃんにちょっとズレてもらってベッドに入る。

ベッドはなつちゃんのおかげかちょっと温かかった。


「ねぇなつちゃん、なつちゃんはお母さんのこと好き?」


「うん。お母さん優しいから大好き」


「そっか。じゃあお母さんとお姉ちゃん、どっちが好き?」


「………………ノーコメントで」


「ふふっごめんごめん、答えづらいよね」


「ゆうお姉ちゃんはお母さん好きなの?」


「うん〜? 大好きだよ。お姉ちゃんの大切な家族だからね」


「………………」


「あっもちろんなつちゃんもなつちゃんのお母さんも大切な家族だから大好きだよ」


「えへへ〜奈月もお姉ちゃんのこと大好き〜」


「はぅっ♡」


いっ、いきなりの腕ぎゅーは反則だよ…………………お姉ちゃん中身(魂)がどこかに飛んでいっちゃうよ。


「えへへ〜お姉ちゃんあったか〜い」


「なつちゃんも、あったかいよ」


私は腕ぎゅーをしてるなつちゃんの顔を多少はある胸に埋め込む。


「わっ………!」


「ふふっお姉ちゃんのお胸はどう〜?」


「ゆ、ゆうお姉ちゃん……く、くるしぃ………」


「ごめんごめん。はい、かいほ〜」


なつちゃんを私の胸から解放する。

なつちゃんはお顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしていた。


「あれれ〜? そんなにお顔を真っ赤にしちゃって、どうしたのかな〜?」


「うっ………………」


「なんでも聞いて良いよ〜。お姉ちゃんは妹に色々なことを教える為にいるんだから♪」


「お、お姉ちゃんは………………いつからおっぱい大きくなった?」


「ぶっ……………!!」


う〜ん、やっぱり女の子だなぁ。10歳くらいになると気になってくるよねぇ、特に周りの子に胸が出始めてきたりした時に自分のが大きくなってないと尚更ね。


「う〜ん、私は6年生くらいからかな。人によって個人差があるけど、早い子は4年生くらいには大きくなってたかなぁ」


「ふ〜ん」


「まっ、焦らないで毎日早寝早起きして、ご飯も好き嫌いしないで食べてれば大きくなるよ」


なつちゃんの頭を撫でているとなつちゃんのお口から「ふわぁ〜あ」と可愛いあくびが聞こえてきた。


「ふふっ眠い?」


「…………うん」


「じゃあお姉ちゃんがなつちゃん寝るまで背中ぽんぽんしてあげる♡ 安心して寝て良いよ」


手をなつちゃんの背中に回してお母さんがちっちゃい子を寝かしつけるように一定のリズムで背中をポンポンと叩く。


しばらくすると「すぅ………すぅ………」という規則正しいめっっっっちゃ可愛い寝息と背中に回されたなつちゃんの手が私のパジャマをぎゅっと掴んできた。


「おやすみ〜なつちゃん、良い夢見るんだよ〜」


そして私の【妹としたいこと】のうちの一つである“妹と一緒に寝る”を妹と出会ってまさかの初日に達成することができた。

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