第6話 妹、アレな本を見つける
「ただいま〜!」
元気よくただいまの挨拶をして玄関を開ける。当然ここに住んでる私とお母さんは出かけてたから家の中から返事が返ってくることはない。
「お、お邪魔します…………」
「どうぞー」
そして、私の後に妹がただいまの挨拶をして入ってくる。
お母さん達はどうしたのかって? お母さん達は夜ご飯のお買い物に出かけたから先に私達は家の中で荷造りの準備をしなきゃなのですよ。
「さっ荷造り始めよっか! なつちゃんは………………一緒に私の部屋を手伝ってもらおうかな。リビングとかはお母さん達に任せれば良いしね!」
「…………!? お部屋入ってもいいの!?」
「? 良いけど…………」
……………? なんでなつちゃんはこんなに驚いてるの? 別に部屋なんて誰でも入っても良いと思うんだけど、なつちゃんは違うのかな。
「ゆうお姉ちゃん、恥ずかしくないの?」
「うん? 恥ずかしいって………何が?」
う〜ん別に何か見られて困るような物は無いしな〜。それに自分の部屋だからいつでも綺麗にしてるから急に入られても大丈夫してるしね。
「そ、そっか……………(やっぱりお姉ちゃんは凄いなぁ)」
「うん? 何か言った?」
「うんん、何も言ってないよ」
「そう、じゃあ早速行こっか♪」
なつちゃんの手を握って自分の部屋に連れて行く。
私達はアパートに住んでる。だから部屋の数は少ないし、正直に言っちゃえばちょっと………狭い。まあ部屋が狭くてもお母さんと一緒に暮らせてたから別に嫌だとは思った事はない。
「はい、ここが私のお部屋です!」
扉を開けて私の部屋の中を見せる。
私の部屋は組み立て式のベッド、ちっちゃい丸テーブル、勉強机、本棚、青色のクッション×2、それと洋服をかける棚みたいなのが置いてある。まぁ、よくあるような普通の部屋だよね。
「お〜……………ふ、普通、だね」
おいおい、なんだねそのあからさまにテンションの下がった声は。悪かったわね、普通の部屋で!。じゃあ今から隠してる(友達から借りてる)R-18の百合漫画を出してやってもいいんだぞ!?
「もう、早く始めるよ! なつちゃんはそこにある本棚から本を出して段ボールに詰めてちょうだい」
「は〜い」
さてと、その間に勉強机の上に散らかってる教科書類とかをどうにかしないとなぁ〜。あ〜もう、前もって言ってくれればこんな大変な思いしなくても良かったのに。
【奈月視点】
お姉ちゃんの部屋はいたって普通だった。床とかは綺麗に整頓されてて、洋服掛けには綺麗なお洋服がいっぱい……ていうほどじゃないけどそこそこにはお洋服がかかってた。
けど……………床は綺麗なのに、お勉強をする机の上はちょっと、いや、かなり汚い。ジュース(モン◯ター)とかお菓子、教科書だったり、あとは何かが入ってたビニールの袋が散乱してる。ここを見るだけで勉強をしてないんだなぁ〜っていうのがわかる。あっ本当にお姉ちゃんがしてないかはわかんないよ!?
そんな事を考えながらお姉ちゃんの本棚の本を段ボールに入れていく。お姉ちゃんの本棚には沢山の小説、漫画、問題集(参考書)が入ってた。その中でも表紙がボロボロになってる参考書が気になったから覗いてみる
「………………わかんない」
問題集(参考書)は算数のだったけど、よくわかんない記号とか文字が出てきてて何が何やら……………私がやってる算数と全然違う。
「なーつちゃん、お手てが止まってますよ〜?」
「…………! ご、ごめんなさい! すぐに始めます!」
頭をポンと叩かれた時にようやく後ろにゆうお姉ちゃんが立ってるのに気づいた。けど、ゆうお姉ちゃんは別に怒るわけでもなくただ穏やかに笑ってるだけでまたすぐに勉強机の方に戻っていっちゃった。
はやく終わらせてゆうお姉ちゃんのお手伝いをしなきゃ!
そう思って一冊の小説を手に取って段ボールに入れようとした時、くしゃみがしたくなって一瞬手の力が抜けちゃって本が床に落ちてしまった。そして落ちた拍子にその本が開いてしまって、私はその本の中身を見てしまった。
「(これって……………)」
開いた本には2人の女の子が裸になって重なってるシーンが描かれていて
「(エッチ…………………してるんだよね………………?)」
保健の授業で聞いた時はある。
そういうのに興味があるかと言われたら………………ある。けど、流石にそんなこと友達に言えないし、ましてやお母さんになんてぜっったいに言えない。言ったらなんて言われるかわかんないし……………
「(気持ちよさそう………………)」
漫画に描かれてる女の子はすごく気持ち良さそうな顔をしてて、真っ直ぐ向いてるから私と目が合う。
もし、ゆうお姉ちゃんもこういうのが好きだったら、いつか、こういうこと、私とするのかな……………ゆうお姉ちゃんとだったら、嫌じゃ、ない、かな?
続きが気になって次のページをめくろうと本に手を伸ばした瞬間…………
「あっ…………」
「こ〜ら! お子ちゃまにはその本はまだ早いぞ!」
頭の上から手がニュッと伸びて来てその本を取り上げられてしまった。上を向くとゆうお姉ちゃんがやれやれといった表情で私を見ていた。
「まぁ、こんな所に置いといた私も悪いんだけどね。あっこのことはお母さん達にはナイショにしてね♪」
ゆうお姉ちゃんはそう言うとその本を教科書が入った段ボールの奥の方に入れてそのままガムテームで閉じてしまった。
◇ ◇ ◇
その後も同じ本がないか探してみたけど、見つからなくてそのままお部屋の荷造りは終わってしまった。けど、それ以上にゆうお姉ちゃんが持ってたお洋服に可愛いのがあって、何個か私に譲ってもらえるのが嬉しかった。
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