第4話 お買い物 in本屋

「ゆうお姉ちゃん、大丈夫?」


洋服屋さんを出て今は近くにあるベンチで休んでる。

私は鼻にティッシュを詰め込んで上を向く。隣では私の手を心配そうに握って不安そうにしてるなつちゃんがいる。


「だ、大丈夫だよ! あまりのなつちゃんの可愛さにお姉ちゃんのこころがやられちゃっただけだから! ね?」


安心させる為にニコッと笑ってなつちゃんの方を向く。


「………………ダメだったらすぐに言ってね? お母さん達呼ぶから」


なんでこうなったのかと言うと



◆ ◆ ◆



試着室から出てきたなつちゃんは今までにワンピースを着たことが無かったのか、少し恥ずかしそうに試着室から出て来た。


そして、恥じらい姿の少女を見る耐性の無かった私の精神は一瞬で崩れ去って、私の鼻から血が吹き出したのだ。



◆ ◆ ◆


「よし、もう大丈夫! 次はどこ行く?」


鼻血も止まって血で固まったティッシュをゴミ箱に捨てる。

時間も勿体無いからはやく次に行かなきゃね!!


「さっきは奈月の行きたい所行かせてくれたから、今度はゆうお姉ちゃんの行きたいところ行こ?」


はぅ………………なんて良い子なんだろう。

こんな妹と一緒に暮らせるなんて、なんて私は幸せなんだろう!


「じゃあ、本屋さん行ってもいいかな?」


「うん、いいよ」


「じゃあしゅっぱーつ!」


そして今度は本屋さんに入る。

確か今日は私の最近ハマってる(百合)漫画の発売日だったはず! やっぱり好きな漫画は発売日に買わないとね!!


私は迷わずに本屋さんの【GL・百合】コーナーに足を向ける。

やっぱり、あんまり人がいない。もうちょっと人気があっても良いと思うんだけどなぁ〜。


そう思いながら目当ての本をカゴに入れていく。

4冊くらいカゴに入れたところでなつちゃんに話しかけられた。


「ゆうお姉ちゃん、ゆうお姉ちゃんこういうのが好きなの?」


来た……………………私の運命を大きく左右するこの質問!ここで【はい】と答えるか【いいえ】と答えるかで今後のなつちゃんとの関係性が大きく変わってしまう! 間違えないようにしなきゃ(迫真)


「………………好き、というかなんというか、友達に勧められて、面白かったから読んでる、的な?」


「ふ〜ん……………奈月も百合好きだよ」


今、何て? なつちゃんも…………………百合が好き!?


「ふえ? ほんと!?」


「うん、奈月もその本持ってるよ。奈月もそれ買おうと思ってたけど、ゆうお姉ちゃんが買うっぽいし、あとで読ましてくれる?」


「うん、いいよ! そうだ、じゃあ他にもおすすめの百合漫画あるからそれも貸してあげる!」


ふふっ良かったぁ、なつちゃんがそっちの方にも理解があって助かったよぉ〜。それにしてもなつちゃんも百合に興味があるってことはまさか姉妹であんな事やこんな事も……………………ふふふ。


「ゆうお姉ちゃん? 急に笑ってどうしたの?」


「………………! いいやなんでもないよ♪ なつちゃんは何か買うのある?

………………無いのね、わかった。じゃあお会計してるからちょっとだけ待ってて!」


危ない危ない、なつちゃんは理解があるだけで、そっちの気があるとは限らないし、もし自分の姉にそんな趣味があるって知ったら嫌……………だもんね。それに、なつちゃんを見た感じ純粋そうだし、女の子同士よりもちゃんとした恋愛しそうだもんね。



【奈月視点】


ゆうお姉ちゃん、私と同じで百合好きなんだ。ていう事は、私の事も……………………好き、なのかな? もし好きだったら一緒に寝たり、遊んだり、お風呂に入ったり、キスをしたり、家族以上のことしてくれるのかな? けど、もしに気持ちを伝えて拒絶されたら…………………


ううん、やめよう。お母さんから聞いた話だと、ゆうお姉ちゃんは純粋って聞いたし。ゆうお姉ちゃん女の私から見ても可愛いから、私と違ってきっと学校でも男の子からモテモテなんだろうなぁ。

それに、妹から好きって言われても『お姉ちゃんも家族として好きだよ』って言われるんだろうなぁ、私は恋愛として好きなのに………………



◇ ◇ ◇


「お待たせ!……………って、どうしたの?」


お会計を終わらせてベンチで待ってるなつちゃんの所に向かうと、なつちゃんは顔を下に向けてどこか悩んでそうな顔をしていた。


「あっ…………ううん、なんでもないよ。次は、どこ行くの?」


「そ、そう? なら良いんだけど、何か言いたい事あったら言ってね? お姉ちゃん、まだなつちゃんのことよくわかってないから……………」


もっと、なつちゃんのことをわかってれば今のなつちゃんの悩みも解消できたのかな。もっと【お姉ちゃん】として頑張らないと!


「ううん、本当に気にしないで。ただ……………」


「………ただ?」


なつちゃんが口をもごもごして何か喋ろうとしてくれてる!!

頑張れっ!!


「〜〜〜っ! なんでもない! ゆうお姉ちゃん、奈月次は100円ショップ行きたいんだけど、いいかな?」


「……うん、いいよ。行こっか!」


何か言ってくれるのかと思ったけど、引っ込めちゃった。まあしょうがないよね、だってまだ会って数時間しか経ってないもん。そんなほど赤の他人同然の人にお悩み相談なんて出来ないよね……………もっとなんでも相談出来るように信頼を築いていかないと!

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