第3話 お買い物 in洋服屋

「優奈、奈月ちゃんはどうだった?」


車に乗ってショッピングセンターに向かってる途中に満足そうに恍惚の表情を浮かべてる私に聞いてくる。


「………………最っ高♡」


はっきり言って奈月ちゃんのお姉ちゃん発言のせいで私の理性が吹き飛んで、あそこがお店じゃなかったら飛びついて抱きついて頬擦りしまくってたかもしれない、いや、してた(断定)


「ふふっ良かったわ。奈月ちゃんは人見知りで恥ずかしがり屋さんだからお姉ちゃんが面倒見てあげるんだよ」


「うん、私頑張るよ、お母さん!」



◇ ◇ ◇



車で走ること10分、いつものショッピングセンターに着いた。

そして車から降りて隣に止まったから奈月ちゃんが降りてきて、にっこり笑顔で私の手を握って来てくれる。


(はぅぅ…………………ここが…………………天国)


「ふふっ奈月ったら、もうゆうお姉ちゃんにべったりね」


奈月ちゃんに続いて七海さんも車から降りて来て私達を見るなり優しく微笑んでいた。み、見られるのはちょっと…………………恥ずかしいなぁ。


「優奈〜私達は家具とか大きめの見てるから、奈月ちゃんとお洋服とか見て来て良いよ♪はい、2人のお小遣い」


七海さんの腕にぎゅーっとくっついて幸せそうな顔をしてるお母さんを見ると……………………なんかイラってくるな。これ絶対2人でイチャイチャしたいから追い出そうとしてるでしょ。いーですよーだ!こっちだって奈月ちゃんとイチャイチャしちゃうもんねーだ!


「はいはい、2人でイチャイチャどうぞ〜。奈月ちゃん、お母さん達イチャイチャしたいみたいだから行こっか♪」


「ちょっ!? 優奈、こら待ちなさーーい!!」


お母さんの手から2枚の1万円札を抜き取って、奈月ちゃんの手を握って何か言おうとしてたお母さんから離れていく。ふふっそっちもデート、楽しむんだよ〜!


「ふぅ、ここまでくればいいかな?」


南口の出入り口からいっきに東口の出入り口までノンストップで走って来た。そして、隣には私と手を繋いだまま肩で息をする奈月ちゃんがいる。


「はぁ……はぁ……ゆうお姉ちゃん、早いよぉ」


「ごめんごめん、次からはちょっとペース落とすね」


私は運動 は 得意! 球技、陸上、水泳、スポーツ全般はなんでも出来る、これが私の唯一の誇れること。それ以外は……………………ハハハ、この世界には、知らない方がいいこともあるんだよ?


「奈月ちゃん、まずどこ行きたい?」


「えぇっと……………お洋服みたいなぁ」


「うん、いいよ! じゃあ行こっか」


奈月ちゃんの手を繋いでショッピングセンターの中に入る。中に入るとさっそく出入り口の近くにある香水のお店から凄い匂いがしてくる。

う〜ん、やっぱり私は香水とか苦手だなぁ。大人の人はみんなつけるってお母さん言ってた(お母さんがつけてるのは見た時ない)けど………………みんな凄いなぁ。


「………………ねぇねぇ、ゆうお姉ちゃんも香水つけたりするの?」


「うん〜? 私はつけないかなぁ、なんか香水の匂いって苦手なんだよねぇ。奈月ちゃんは香水に興味あるの?」


「………………う〜ん、わかんない」


反応までに少し間があるってことは多少なりとも興味はあるってことだよね?


「そっか、じゃあもう少しおっきくなったら一緒に見に行こっか!」


「うん! 約束だよ?」


「うん、約束」


お互いの小指を結んで指切りをする。

ふふっやっぱり妹がいると、こういうことが出来るからいいね。1人だとこういう事は出来ないし、かと言ってお母さんとするにはちょっと、いや、かなり恥ずかしいし。



香水のお店を離れて2階に上がって服屋さんに入る。

服を見るのは良いんだけど、私はあんまり服とかに興味無いし、今までもお母さんが買って来てくれたのを着てたから、自分にどういうのが合ってるとかわかんないんだよねぇ。

しかも、それを仲の良い友達に言ったら『あんた可愛んだから少しは服にも気を使いなさいよ!』なんて言うんだよ!? 酷くない!?


「ゆうお姉ちゃんはどういうのが好きなの?」


一通りお店の中を見回ったところで奈月ちゃんが聞いてくる。


「うぅ〜ん、私そういうのには疎いからなぁ………………………そうだ、ねぇ奈月ちゃん、少し聞きたいことあるんだけど良いかな?」


「うん? なあに、ゆうお姉ちゃん」


「えっとね、奈月ちゃんは私のこと『ゆうお姉ちゃん』って呼んでくれるじゃん?」


「うん」


「それでね、私もいつまでも奈月ちゃんをそのままで呼ぶわけにもいかないじゃん? 姉妹なんだし。それでね、奈月ちゃんのこと『なつちゃん』って呼びたいんだけど、いいかな?」


奈月ちゃんは私のことを『ゆうお姉ちゃん』って呼んでくれる。けど、こうなると私がいつまでも『奈月ちゃん』って呼ぶのはおかしいよね。だったら私もそれ以外の呼び方にした方が仲の良い家族っぽいよね? よね?


「うん! 奈月もそう呼んでくれた方が嬉しい!」


「わぁ〜! ありがとう、なつちゃん!」


なっちゃんが私の顔を見てニコッと笑ってくれる。


「えへへ〜」


「ゔっ……………(絶命)」


か、可愛い、可愛いよぉ〜♡

もう今すぐにでも抱きつきたい………………!!! けど、我慢しなくちゃ。


「で、ゆうお姉ちゃんはどういうのが好きなの?」


「うっ…………えっとぉ、こういうのかなぁ……………………」


私は水色の涼しげなワンピースを手に取ってなっちゃんに重ね合わせる。サイズは合ってそうかな。


「ゆうお姉ちゃん、ワンピース好きなの?」


「う〜ん、私が好きっていうよりも他の人が着てると可愛く見えるんだよねぇ。なっちゃんわかる?」


「ちょっとわかるかも」


「ふふっでしょ〜? だから、なつちゃんにも着てほしいんだ〜♪」


「じゃあ、試着室行ってくる」


なつちゃんが水色のワンピースを持って試着室の中に入っていく。

……………………なんか、試着室から出てくるのを待ってるのってデートっぽくない!? ふふっこういうのに憧れてたから嬉しいなぁ〜♪


「ゆうお姉ちゃん、ど、どうかな?」


試着室から出て来たのは天使だった♡←昇天

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