クジラ Ep.?
――クジラはゆっくり泳いでました。
Ep.? クジラ
どこまでも続く青空の海。
そこにおおきなおおきな一匹の青い蒼いクジラが泳いでました。
そのクジラは何もすることもなく、ただ悠々と、広い海を広々と。
ゆっくりゆっくり泳いでいました。
黄昏に染まった空。
クジラの大きな影が地面に落ち、低い地面にもまた大きなクジラを作りました。
クジラが影を落とした地上には大きな暗がりができましたが、人々はそんなことも気にせず、ただそらをゆっくりと泳ぐクジラを見ていました。
クジラも、そんなことは知ったことではないとでもいうように、ゆっくり泳いでました。
深海のように真っ黒に。暗くなってしまった空。
地上で小さな人々が明かり灯し、賑やかにしている中。
クジラは一人寂しく暗い暗黒の空を泳いでいました。
ある日は月が輝き、寂しいクジラを照らしあげてくれる日だけ、人々はクジラを見ましたが、たった一瞥。たったそれっきりでみんな夜のキレイな街を見ていました。
クジラは影を落とせない地上に少し寂しさを感じながらゆっくり泳いでいました。
少しずつ暗黒から透き通った水色へ変わる空。
クジラはゆっくり泳いでいました。
人々も、また影を落とし始めるクジラを見ていました。
もうすぐ朝です。
クジラはゆっくり泳いでました。
いつでも、いつまでも
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