物語 Ep.?

 ――人生はゲームだ。


 Ep.? 物語



 そんな言葉を言ったのは果たして誰だったか。それともどこかの本からの引用だったか。

 別にどこから出た言葉だったかは忘れたが、僕はこの言葉が大好きだ。でも、僕は僕の人生をゲームだなんて、固定的な概念だとは思っていない。

“ゲーム”ではなく“物語”だ。

 まぁだから何だといったところではあるが。“物語”の別の形容の仕方が“ゲーム”という表現方法だったというだけで、それこそ漫画だろうが小説だろうが様々な形容の仕方があるだろう。ただ、一番僕の中でしっくりくるのが“物語”だったというだけであって。


 そんな“人生”なんて題名が付いた物語であるが、それは言わずがな人間一人一人、もっと言えば植物、動物、規模を大きくすれば惑星、宇宙、世界。この世の森羅万象すべてにあるのである。それこそ、「人」の生なんていうのが馬鹿らしくある程にありふれたものなのである。


 僕はそんな人生物語が大好きだ。

 僕の読む本はいつも偉人の一生を題材にした本だったし、娯楽程度にアニメや漫画を読むときも登場人物の過去や生き様が描写されたシーンが一番のお気に入りだ。

 電車やスーパーで十人十色の服装や身だしなみを見る度その人の人生物語を想像してワクワクしている。それこそ、某漫画に出てくる人の体験したことを視れる、という某漫画家の能力が欲しい、と思えるくらいには。


 勿論、それは僕も例外じゃない。

“僕の人生”という物語も相当なもので、たった16年、詳しく言えば自我を持って自ら行動が可能になった14,15年程の物語だが、原稿用紙に書きだそうものなら四桁枚はくだらないだろうし、内容だって小さな賞くらいは余裕で取れるだろう。


 だからこそ面白い。だからこそ人生ってのは、人間ってのはおもしろいんだ。

 物語を作る所以に時間は特別じゃない。その人の物語を作るのは時間だけではなく、その周りの環境、己の人柄、思考、etcetc...様々な要素がるからこそ十人十色、様々な物語ができるのだ。




 ――さぁ今日も僕の中で大きな“物語”の要素になればいいな。

 僕は電車で一日の計画を立てたり、今日、これから起きる様々な事柄に胸を躍らせながらそう思うことにしてる。そうなるようにしてる。物語は起承転結が多いほど面白いものだから。



 その日も僕にとって、僕の“物語”にとって大切な一日になった。

 それも、僕の人生の中で一番大きな出来事だろう。恐らく...いや、もう未来永劫これより大きな出来事は起きないだろう。出来事的にも、にも。


 その日


 少なくとも100人近くの物語が終幕を迎えた。

 それは、「僕の人生」という物語も




 そしてそれは多くの人の物語に強く傷跡を残した。





「20XX年〇月〇日 木曜日 7:54

 電車内でのテロにより尊い人を失った」

 と

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