壊れた相合傘

(雨が降っている。後ろの方から走ってくる音。)

コノミ「みーつーおーくん!(体当たり)」

みつお「わ!び、びっくりしたー。」

コノミ「傘忘れちゃった、入れて。」

みつお「え、(少し考えて)…仕方ねぇな。」

コノミ「やったー!…ってなに?この距離。みつお君ずぶ濡れじゃん!」

みつお「だ、だって…。」

コノミ「なーによぉっ!私と相合傘じゃいやなわけ?」

みつお「…絶対明日みんなにからかわれる。」

コノミ「言わせておけばいいのよ!ほら、もっと近寄って!(グイグイ)」

みつお「…コノミは嫌じゃないのか?」

コノミ「嫌だったらこんな事しないよ。天気予報で雨だって確認したのに、わざわざ傘を忘れてくるなんてしない。」

みつお「わざと忘れた?今日、降水確率100パーセントだったよな?」

コノミ「みつおくんと相合傘したかったんだもん。」

みつお「俺がもし休んだりしたらどうするつもりだったんだよ。」

コノミ「その時は置き傘があるもん。」

みつお「…なんでそれ使わないのさ。」

コノミ「相合傘したかったんだもん。」

みつお「…それ、どう受け取ればいい?」

コノミ「そのまんま?」

みつお「俺、彼女いるよ?」

コノミ「知ってる。いーじゃん、相合傘くらい!親切で入れたって事にできるでしょ?こうでもしないと公にくっつけないんだもん!」

みつお「はぁ…(ため息)」

コノミ「公式彼女にはなれなくても、相合傘には入れてよ。幼馴染でしょ!家が隣なんだから、それくらいいいじゃん。」

みつお「…今日だけだぞ。」

コノミ「えー」

みつお「お前も早く彼氏作れよ。隣のクラスの太田、お前のこと前から気になってるって言ってたぞ。」

コノミ「…みつお君じゃなきゃヤダ。」

みつお「…(ため息)もっと早く言えよ、そういう事。」

コノミ「んんんんっ!時よ戻れー!」

(雨が止む)

みつお「お」

コノミ「え」

みつお「止んだな、雨。」

コノミ「え、今ので?えー、ヤダヤダ!え、嘘でしょ?なんでやんじゃったのよー!あっ、傘畳まないでよ!」

みつお「雨降ってないのに傘さしてたらおかしいだろ?」

コノミ「相合傘できないじゃん!」

みつお「相手が違うってことだろ?」

コノミ「そんなぁあ…。」



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