『桃色どんぐり』

トモキ「四十八点!赤点かーいひっ!お前は?」

ヒマリ「五十三てーん!私の方が勝ち!」

トモキ「くやしぃいいっ!五点差、一問差かよぉ。しかも同じところ間違ってるし。」

ヒマリ「し・か・も、同じ回答でね。ってかさ、これって『しんしょう』じゃないの?」

トモキ「あー俺もそうだと思った。でも『しんちょく』だってさ。」

ヒマリ「どこをどう見たら『ちょく』なのよぉ。」

トモキ「さぁな。(椅子に座る)さて今回はヒマリが勝ったわけだが…。約束だからな。聞こうじゃないか…汝の願いを我に聞かせたまえ(ふざけてそれっぽく)」

ヒマリ「は、誰だよ(失笑)…願い事はね。願い事は…。(ドキドキ)」

トモキ「無いならないで。」

ヒマリ「ありますっ!だって、この為に頑張って勉強したもん。」

トモキ「…うん、万年赤点のヒマリにしては頑張ったよな。」

ヒマリ「トモキから言われたくないしっ!」

トモキ「はは、木下にどんぐりの背比べって言われた。」

ヒマリ「どんぐり?」

トモキ「大した事ない奴同士で競ってるから、だってさ。」

ヒマリ「ひっど!アイツの言い方いつもムカつくのよね。人を下に見てるのよ!馬鹿にして!」

トモキ「実際馬鹿だしなぁ(笑)」

ヒマリ「トモキは平気なの?」

トモキ「妬みだって分かるからな。木下はさ、ヒマリの事が好きなんだよ。」

ヒマリ「はぁ!?」

トモキ「アイツ、いつもお前のこと見てるんだぜ。気付かなかった?」

ヒマリ「こっわ!やめてよぉ~。」

トモキ「純粋な片思いに酷い言い草。」

ヒマリ「だ、だって。」

トモキ「脈ナシか。木下、残念。」

ヒマリ「私、好きな人がいるの。」

トモキ「え、そうなんだ。」

ヒマリ「気付かなかったの?」

トモキ「…テストのヤマは外れまくりだけど、それ以外の勘(かん)には自信がある。…ズバリ!太田だろ。なんてったってアイツは男から見てもイケメンだからなぁ。」

ヒマリ「ぶーーー!(被せてね)はずれ!」

トモキ「え、違うの?」

ヒマリ「…どんかん。(ボソッ)」

トモキ「じゃあ…」

ヒマリ「願い事、言うわね。」

トモキ「え、ここで?」

ヒマリ「わ、わたしと、付き合って!」

トモキ「…どこに?」

ヒマリ「そうじゃなくてっ!もぉ…彼氏になってって意味!好きなの、トモキのこと。だから勉強も頑張ったの!」

トモキ「あ、あぁ…。」

ヒマリ「テストの点数、勝った方のお願いを聞くんでしょ?私…勝ったよ。」

トモキ「びっくりした。まさか…。」

ヒマリ「全然気付いてなかったんだ、私の気持ち。」

トモキ「うん。いや、でも…嬉しいよ、凄く。」

ヒマリ「ほんとに!?…良かった。」

トモキ「俺の願い事も実は一緒だったんだ。」

ヒマリ「え?」

トモキ「まさかの両思いだってわかって凄く嬉しい。」

ヒマリ「じゃあ…」

トモキ「俺が勝っても同じだったって事。どんぐり同士、よろしくな。」

ヒマリ「ふふ、何よどんぐりって。」

トモキ「次は数学のテストが返ってくるな。初デートは勝った方が行きたい所、でどうだ?」

ヒマリ「乗った!どこにしようかなぁ。」

(以降、嬉しそうな二人が談笑)


✤✤✤ おわり ✤✤✤

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