君を知る

B:それは、酷く蒼い鱗であった。


A「水族館デートっていうと聞こえがいいけどさ…」

B「うん。何か不満があるの?」

A「私実は…苦手なんだよね、あそこが。」

B「…あぁ、いるよね。魚が気持ち悪いって人。A、魚系一切食べないもんね。」

A「魚の形のクッキーとかもダメ。…はぁ(ため息)彼、魚が大好物なのよね。」

B「それは…じゃ、じゃあ、違う場所に変更してもらったら?」

A「うん、さっきメールした。」

B「返事待ちなんだ?(ピロンと鳴る)お、来たじゃん。」

A「…え。」

B「なんて?」

A「海浜公園でイベントやってるから、そっちに行ってみないかって。」

B「あーあったね。クラフト祭りだっけ?私も行きたかったんだよそれ。けど、あんた誘ったら…あ。」

A「断るの二回目ってどうかな…。」

B「潮風の匂いが気持ち悪くなる、だっけ?」

A「うん。」

B「…前々から思ってたんだけど、Aってさ海に関するもの全般がダメだよね。何かトラウマがあるとか?…い、言いたくなかったら言わなくてもいいけど。」

A「…(考えて)Bだけには言っておくね。実は私…」

B「うん(緊張感)」

A「人魚なの。」

B「え、え、えぇえええええ!?」

A「…ごめんね、黙ってて。でもあの!これ、他の人には…!」

B「…お、おーけぃ、分かった。うん、分かった…(心を落ち着けるため、水を飲む)ぷはっ…はぁ、マジか。」

A「Bなら、信用できるから…あ、因みもしバレて大騒ぎになったら」

B「な、なったら?(ゴクリ)」

A「どんな天変地異が起きても知らないわよ?(どす黒く、妖怪の片鱗を見せる)」

B「ひっ…い、言わない!お墓まで持っていく!」

A「うふふ、ありがとう。…はぁ、でもどうしよ。なんて返事したら。」

B「そ、そもそもいいの?ニンゲンが相手で。」

A「…だって私、彼に会うために地上に来たのよ?」

B「アンデルセンの実話…。」

A「あれは御先祖様の実話よ!色々脚色されてるけど。」

B「…でも、さ。いいの?相手人間でしょ?Aはずっと人間でいられるの?」

A「大丈夫よ、彼だって…見て。」

B「うっ…(心の声)これは立派なザビエルハゲ。」

A「彼、河童に違いないわ。」

B「…いや、一応確認した方がいいんじゃないかな…。」

A「どうやって?直接聞くの?…答えてくれるかしら。」

B「キュウリをあげてみたらいいんじゃないかなぁ(苦笑)」


✤✤✤ おわり ✤✤✤


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