汚物-OBUTSU-
A「汚い、今すぐにその身体を洗ってきなさい。ちゃんと隅々までしっかりと洗うんですよ!汚れが少しでも残っていれば、そこから病気になってしまう。…ほら早く!急がないとこびり付いて取れなくなってしまいますよ!」
B:私、は「ヨゴレ」らしい。みんなが口を揃えて私をそう呼ぶ。お風呂には毎日入っているよ。髪の毛も、身体だってちゃんと洗ってる。なんなら一日に二、三度洗う時だってある。
A「しっかり洗ってきたの?」
B「洗ってきたよ。ほら、石鹸の香りがするでしょ?」
A「香りで誤魔化そうとしたってダメよ。ぁあ、ここ、まだ汚れてるじゃない!」
B「違うよ、これは汚れじゃなくて」
A「汚れよ!ここも、ここにも、ほら、ここにも!!」
B「痛い、痛いよ!これは汚れじゃなくてキスマーク!」
A「汚い、汚い汚い汚い汚い…」
B「別に、汚くないよ。その内消えるんだし。」
A「汚いよ!汚いんだよっ!糞共!犬みたいにマーキングしやがって!!折角の綺麗な肌をこんな風にしやがって!綺麗なお前をこんな汚物にしやがって!くそ、くっそ!」
B「消えるよ、大丈夫。安心して。ちゃんと、綺麗になるから。…あの人達だって悪い人達じゃないのよ。みんなね、私を愛してくれたの。その時だけは私の事だけ見てくれた。だからね、いいのよ。私は寧ろ感謝してるの。」
(かなり間の後、仏壇にある「りん」の音、または何か死を思わせる演出)
A:汚いなんて言ってごめんね…。あなたはこんなにも綺麗に微笑むことが出来るのに。ごめんね、ごめん。…ごめん。
(間)
B:汚れるのはそんなにいけない事なの?
綺麗でも、汚くても、わたしは私なのに…。
✼✼✼おわり✼✼✼
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