第3話幼女の手を引きながら……家路を目指す


啜り泣く幼女の手を引きながら歩いていると警備兵に声をかけられた

「あっ……君?その子、泣いているけど……君との関係は?」

とてもめんどくさい状況だった

違和感のない状態への姿変更が出来ていないのか?

幼女の名前すら知らないのに……警備兵に捕まれば……


まあ、普通に警備兵に変身されて……脱出する事が出来るなと私は大人しく捕まろうとしたが……


「グスッ……姉上……抱っこ……」幼女が腕を引っ張りそう言うと

「あっ!すいません、ご家族の方でしたか!

最近、不良共が人攫いまがいの事を行っている事が問題になってまして……何かあればすぐに大声を出すなりして、人を呼んでください!」

と兵士は謝って去っていった

人攫い……不良……たまに、物語序盤から、事件が起きている事を小出しするパターンもあるが……

この世界では珍しい分類だ


そう考えていると、腕を引かれる感覚で下を見ると

「姉上……眠い……」

幼女が両腕をあげて……

「抱っこ……Zzzz」そう呟いて、今にも倒れそうだった

私は慌てて、泣き疲れて眠った幼女を抱き上げる……

濡れた気持ち悪い感触が……上着にも……思わず離れようとしたが……

「むぅ……姉上……」幼女が首に腕を回し抱きつく……

「はぁ……」ため息をつき……


周囲の声がいつもより聞こえ事に気づき、自身の姿を見ると……


幼女を成長させたような狐耳の女性の姿になっていた……


幼女と一緒にいても違和感がない姿になっていた

これで、あの兵士は納得して去っていったのか……


姿がコロコロ変わっているせいで、自分自身に違和感を覚えなくなっていた


とりあえず、抱えやすい身長になっている間にさっさと進むとしよう


胸が邪魔だと思い、背負う事にして落ちないように気をつけながら家路を急いだ


途中店に寄り衣服を適当に見繕った。


家に着くと……風呂場に直行して……


幼女を床に寝転がせ……私は動きを止める


これって……私が脱がせるのか?


転生して男か女かもわからない生き方をしてきたが……人としてのプライドがあり、それを保つ為に……

寮じゃなく一軒家を購入したが……

今……そのプライドが……


などと考えるが……キツイ臭いに……



そんな考えは捨て去り、サクッと服を脱がせると洗濯カゴに入れ……湯船に魔法で湯を張るとさっさと幼女と自分の身体を洗う!



ちなみに、今の自分の姿は、狐耳のグラマーな体型のお姉さんだ


この幼女と一緒にいて違和感のない姿に変更されている……姉上と言っていたことから、姉の姿なのだろうが……




違和感のない姿、ランダム容姿変更があったりするから隠密として活動することも可能だったりする


別に見た目に関しても、誰かの視線に影響して、変わるから……


そこまで考えて……私はある事を理解した……


『本物の幼女枠』

あのヒロインちゃん!人の体でガチャしてやがったのか!


自分の姿の変化に無意識に調整できる様になってから……身体が変化しても、変わらず行動できるから

気にしない特性としていたが……


ヒロインちゃんはその特性を利用して、好みの身体になるまで、視線を逸らして、リセマラしていたのだ


視線を逸らせば、基本、私の容姿や性別が変化するが、私に個体名とある程度の情報があれば


姿は変わっていても、私として認識できる



ただ、その容姿が固定されていないし、理解していなければ私と区別することなんて出来ない


だけど、たまに私を分かる奴は、攻略法があるとか言うが……


視線を背ければ、姿が変わるという事は、視線を変える度に変わる奴が私なのだ


そこから、私を特定して認識したら姿が変わろうとも理解できる


まさか、特性を逆手に取られていたとは……


だが、ご都合主義のこの世界では、こんな簡単なことも誤魔化されていたようだが……転生者は理解していたかもしれない


などと考え事をしながら、行動していたら、湯船に入り……幼女の顔を水面につけている事に気づかなかった


「ブクブクブク……はっ!?妾は一体!?」

ようやく幼女は正気に戻ったようだ

「まったく……ようやく目が覚めたか……」

私は溺れないように後ろから幼女を抱きしめていたが、そっと手を離す……

「あっ……」

幼女が名残惜しそうな声を出すが、すぐに正気に戻ったようで、顔を横に振って、

私の方を見て……

「なんでお主その姿!それに裸なのじゃ!?」

と声を荒げたが……

「幼女……ここは風呂だ!服を脱ぐのは当たり前だろう!」と言い切り


「まあ、この姿は……私がなろうとしてなったわけではないからな!」

とりあえず、一言これだけは言わないと!

「姉上の姿はお主の意思ではないと?」

やはり、違和感がない姿は姉上か……


「お前が、幼児化してたから、違和感がない姿がこれだったんだよ!」


私の言葉に?が浮かぶ幼女に簡単に説明した


「つまり、お主はキャラ固定がされていないという事なのじゃな?」

そう言ってなんとか理解されるが……

「それじゃと、少し不便じゃろう?」

幼女がそう言うと……

『容姿選択解放

現場の姿をスロット1に登録 編集可能』

今まで聞いたことのない声が私に聞こえた!?

「これで、必要な体型を得る事ができるじゃろ?」

そう言われて、この幼女が原因だとわかった!

「お前が神か?」

私は思わず、自分の思った言葉を口にした

「うむ……妾は……白面……いや、玉……藻女(みずくめ)じゃ!神如き力を持っておった白狐じゃ」

そう言われて……おそらく前世はオタクだった私の脳が……情報を整理し……


「白面金毛九尾狐?玉藻前?」二つの名前を口にした

その瞬間、幼女は頭を抱え……

「なんで知っておるのじゃ!現世の人間に信仰心はないはずじゃろう!」

と驚かれたが……

「現世のオタクを侮らないでもらいたい!

好きなものはとことん掘り下げ、萌えと化すのが現世の性だ」

そう言うと……なぜか幼女は顔を赤らめて

「うううっ……面と向かって告白されるとは……」

なんてことを言い出した!?

「なぜそうなる!?」とツッコミを入れるが……

聞こえちゃいない!!!!!

「まだ、妾たちは出会って間もないじゃろ?もう少し互いの事を知った方がいいではないのか?

妾……悪女と呼ばれる分類じゃし……」

そう言いながらも照れた顔を見せる幼女こと、藻女に思わずドキッとした私だった

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