第2話

断罪に巻き込まれた2話

とりあえず、話を今に戻そう

ミコ幼女が、沈黙に不安を感じ、おろおろとしていた。


「てっ……手伝って……欲しいのじゃ?」

狐耳を垂らしながら、目に涙が溜まっている……


この幼女……自分の容姿の破棄力を理解していやがる?


そう思っていると、ヒロインちゃん?

(関わる気がないから、名前を覚えてない。

たまに後輩ちゃんと呼んだりする)

が……幼女に抱きついていた!

「先輩!!!!!巫女服っす!幼女っすよ!

学園寮に入ってから、ずっと関わることのなかった本物の幼女枠しゅ!興奮してきた!!!!!」

うん、コイツ、転生者でヤバい奴だ!


私はこのヒロインちゃんの扱いを考えながら、冷めた目で見つめる


「ああ、幼女に抱きついて、先輩からそんな目で見られるなんて……ドキドキしゅる!」


コイツはこんな奴だ!


私に会いにきた時も、奇行が激しかった


頻繁に片目を隠して、私に話しかけてくるし、逃げ出しても……なぜか……私を見つけてくる……

「幼女ゆうな!」幼女がもがきながら暴れるが、ヒロインちゃんの抱きしめはそれを意に介さず

「それで、先輩はどうするんです?この幼女?」

平然と話しかけてくる始末


私がため息をつくと、急にヒロインちゃんは、視線を何度か逸らし始めて……それを数度繰り返すと……


急に満面の笑みを浮かべて、私も抱きしめ出す!?

「急になにをする!バカ後輩!」

「ぬわぁ!?此奴の力が上がったのじゃ!?」

私も抵抗しようとしたが、上手く力が入らない!?

「先輩!私がこの幼女に構ってるからって、拗ねているんですか?ぐへへへへ!」

気持ち悪い!コイツヒロイン枠と思ったけど、絶対違う気がしてきた!


10分後……チャイムがなり教室に戻る後輩

その足元には……

私と幼女は、重なるように……地面に倒れていた……


たまに、後輩に変な目で見られることがあるが……

理由がわからん……


そう思いながら……私は立ち上がり、泣いている幼女に手を差し出した


「大丈夫か?」

初めは不信感しか抱かなかった幼女に仲間意識を持ってしまっていた


「うむ……すんっ……妾……泣いてないもん……」

そう言いながら、幼女が恐る恐る、手を伸ばしてくる……そんな姿を見て、保護欲が掻き立たされるが……


「お前!ここでなにをしている!!」

急に怒鳴られて、幼女は手を咄嗟に掴み、そのまま私に背後に隠れる!


危なかった……保護欲に負けるとこだったが……

私は……気を取り直し、声がした方を見ると……

金髪の男……王太子が居た……


王太子で、生徒会長

生徒会長にして風紀員長


学園始まって以来の優秀な男と言われている男

あの入学式の日に走ってきたヒーロー枠だ


あの日は、来るはずのヒロインちゃんが居なかった事で探しに来ていたらしい……


つまり、別に私がなにもしなくて良かった案件だった


余談だが、逃げ出した時……ヒロインちゃんが居た場所に不良が居たが……おそらく、そこで不良に囲まれて、ヒーロー参上!と言う展開だったのだろう!


すまん、生徒会長!見せ場一つ潰した!

そして、名も知らぬ不良枠も悪かった!


「おい!!!!!聞いているのか?」

おっと!回想に耽っていて、ボーとしていた


傍観者だから、ちょくちょく意識が逸れる


今のは、王太子のご学友の騎士団長の息子黒髪のトゲトゲしい短髪君……ライデンハルトの孫だったかな?

彼のような圧力は感じられないので、今後の成長に期待という事で……

「すいません、聞いていませんでした」

素直に謝ろう……どうせ、記憶に残らんだろう

そう思っていると……

「なんだと!?」

団息が顔を赤くして私に掴み掛かろうとして、メガネの優男に止められる……宰相息子だと思うが、よく覚えていない

そもそも、この国の要人も、基本覚えるのが面倒で印象深い人物の子供か孫で覚えている


「止めるな!サンクソン!コイツは!」

なにやら、盛り上がっているが……

「落ち着け!すぐに暴力に頼るのが、キミの血筋の悪いところだろう!」

メガネが仕切りに抑えているが、団息に対してなかなかいい戦いだが……


「いい加減にしないか!二人とも!」

王太子が一喝して、二人が姿勢を正すが……

「おい!サンクソン!お前のせいで怒られたぞ!」

「うるさい脳筋!」

とまた喧嘩を始めそうだったが……

「躾のなっていない、部下がおると苦労するのぅ」

幼女の言葉に、私の方を睨みつける!?

「違っ!私じゃ….…」

すぐに訂正しようとしたが……

「誰のせいで言い争いになっていると思っているんですか!」

「お前のせいだろうが!」

怒鳴られた……


最近、話をするようになったが、基本コミュ障な私は、返答に困る

だってモブの様な生活を何百年と繰り返してきた

テンプレ会話くらいしか咄嗟に出ない


「いい加減にしないか!」

再度王太子が一喝して、動きを止めるが、不満そうに王太子を見る二人……


その前で王太子が私の元に近づき、襟首を掴み!?

「お前が×××に付き纏っているのを認めたわけじゃないからな!」

貴公子として名を轟かせる王太子とは思えない怒気の籠った声だったが、私は両手を上げて、一呼吸入れると

「なんで、アレを見てそう思うかわからないですが、王太子様……授業に遅れますので手を離して頂くと助かります」

そう言って笑顔を作るが……乱暴に手を離して王太子は、二人の取り巻きと共に去っていく……


それを見送りながら、私は……まだ腕を下さなかった

「ピィ……」

背後では、幼女が震える声が聞こえ……

背中に鋭い視線を感じる

「私は手を出していませんよ」

そういうと……視線が途切れ……

次に瞬間……黒い装束の人物が現れ、周囲を見渡す

「馬鹿な!さっきまでここに居た男は!?そこの女!お前もいつからどこに居た!」

随分焦っているが……

「なにを言っているんです?それよりあなた誰です?」

王族に仕える影が堂々と出てくんなーと思うながら、私がそういうと

黒装束の人はすぐに姿を消した


「まったく……忙しいかった……けど……」

私が後ろを振り向くとぴちゃり……

地面が濡れて……いや……私の足も濡れていた……

幼女が顔を俯けて震えていた……


ああ……先に家に戻るか……


私は天を仰ぎながらそう思い……幼女用の服があるかと考えて……あるわけないよな……と考えた……




ーーーーーー

「太子!よろしいのですか?」

「そうだぜ!お嬢がアイツに絡まれているのは……太子が知ってるだろ?」

「うるさい……学園にいる間は揉め事を起こさないように言われているんだ」

「それより、本当に彼ですか?私が追いかけた相手と違いましたが……」

「ああ、少し目を離すとすぐ見失うし……」

「だが……×××が移動した先に居たんだ……

アイツで間違いないだろう!違ったら、謝れば良い!」


「それより……あの噂は本当か?強そうには見えなかったが……」

「ええ、太子……アレが貴方を倒したのは……本当ですか?」


「……本当だ、僕は……負けた事がある

だけど、彼女の事だけは負けたくない!」


ーーーーー

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