傍観者の私が乙女ゲームの舞台に巻き込まれる話
@kisaragikanoto
第1話 傍観者の私が、断罪劇に巻き込まれた話 ヒロインとの出会い
私は不死者として乙女ゲームの世界に転生した存在だった
死ぬ事のない存在はこの世界では私の存在も希薄だった
この乙女ゲームの舞台に何年も存在しているのに……卒業するとみんな私を忘れるか、都合のいい立場に記憶が改ざんされていた
性別も容姿もコロコロと変わっていた
ぶっちゃけ、モブキャラじゃねぇか?
そう思った事もある
だが、私はここに居る!
再びぶっちゃけるなら、断罪ゲーム大好きだから、ここは天国だった!
飽きるまでは……
また断罪、また断罪返し、また断罪、
ヒロインの勝ち 悪役令嬢の勝ち 悪役令嬢の勝ち
共倒れ
悪役令嬢が現れず、王様が断罪する
ヒロインが現れず、悪役令嬢が普通に生活
飽き飽きしていたが、たまに変わり種に遭遇すると面白いが……
見ているだけは、飽きてきたが……
認識されない私はただの傍観者
傍観者の筈だったのに
「お主!妾の手伝いをせぬか?」
白狐耳の巫女服を着た髪の長い幼女に話しかけられた
私は周囲を見るが、独りだけだ……いや、もう一人いた
「先輩?どうしました?」
いつの間にか、私の背後に現れた存在……
ヒロインちゃんだ
なぜ、ヒロインがこのモブの背中にいるかと言うと……
そうあれは今から1ヶ月ほど前の事だった
入学式の日に、いい加減、真面目に参加するのに飽きた私はボイコットを決め込んだが……
誰も私を認識していなかった
いや、気にしていなかった
まるで空気のように何処にいるのが当たり前
視線を向けるが、すぐに離れる
余程、酷い真似をしない限りは、気にされない
まあ、流石に服装や素行が悪ければ、普通に注意される
サボりくらいは、お咎めはない
別に乙女ゲームの世界を壊そうとは思わない……
転生者を何人も見てきたせいで……
関わるのが面倒だと思ったからだ……
同じような傍観者気取りの男が、巻き込まれるのを見た事もある
あれは傍観者としては、胸熱な展開だった
純潔の少年王が登場して、悪役令嬢を庇い……命を散らしたのは本当に悲しかった
戦争に巻き込まれるとか、滅多にないが……
あの事件は私の心に棘を残した
もし、一歩前に出れれば、何か出来たのでは?
そう思いながらも、私は……ただの傍観者だった……
もう一人の彼は、前へと踏み出し……傍観者ではなく……
その時の悪役令嬢と生きる道を選んでいた
そんな事があれど、変わらぬ傍観者という名のモブである私は、その日そんな過去もあり……少しナーバスになっていた
だから、校門前の大樹にて朝寝を決め込もうと思った時……
近くの塀の方から……
「はっ!ほっ!やっ!」と地面を蹴る音と、着地する音……が聞こえ……興味本位に塀へ飛び移ると……
学校の外側から、一生懸命ジャンプして侵入しようとしている女子生徒を発見した
長い黒髪ポニーテールがジャンプするたびに、ゆらゆら揺れていた
まあ、それくらいしか揺れていなかった
だが、そんなに一生懸命ジャンプしても、塀の半分くらいの高さにしか飛べず……全身汗まみれで……
いい加減、諦めれば良いのにと思って、見下ろしていたが……
「あの!そこの……えっと……そこの人?」
私に気づいた、女子生徒は、ジャンプするのをやめ、何やら疑問系で、私に話しかける
汗を拭いながら、体力も限界の様子だった
「なにかな?」
私は塀の上でうつ伏せになるように見下ろしながら、返事をした
モブに話しかけるくらいに追い詰められたようだ
「今日入学するんですけど……校門が閉まっていて……」
遅刻……今期のヒロインか?
それなら、どこかにヒーロー候補が居るはず
私は、めんどくさく顔を上げ……周囲を見るが……
皆、講堂に集まっているようで誰もいない……
このまま、無視して逃げた方が良いのか?と考えもしたが……
そこから、変に絡まれても面倒だと考え……
塀の端に指を掛けると女子生徒の方へ身体を下ろし、足を伸ばす
「とりあえず、よじ登れ」
私がそう言うと
申し訳なさそうな声でお礼を言うが……
一向に、足を掴まれる感覚がしない……
私が不審に思い……女子生徒の方を見ると……
女子生徒は顔を真っ赤にして、私に触れるかどうかを葛藤していた
「男に人?女の人?えっと……」
ああ、性別もコロコロ変わって見られるから、混乱しているようだった……
性別を固定するのもめんどくさい私は……
「足首を掴め!」
ぶっきらぼうにそう言うと……
女子生徒は慌てて私の左足首を掴む……
それを確認すると……
「上を見るなよ!」
そう言って、右足裏を塀に押し付けるとそのまま上に蹴り飛ばして、塀を飛び越える
だが、その辺りで左足から重さが消え……
女子生徒が空に投げ出されていた!
「キャァァァ!?」
女子生徒は悲鳴を上げながら、落ちる……
「めんどくさいな!!!!!」
着地して……素早く地面を蹴ると、私は両手を広げ……落ちてくる女子生徒を抱き抱えるようにキャッチした
「大丈夫か?」
私がそう話しかけると女子生徒は顔を青ざめ、胸を押さえていたが、頷いて返事をした
だが、このまま置いて行っても、なにかしらの問題があり……どうするか?と悩んでいると
「いま……悲鳴が聞こえたが……」
そんな声が聞こえて……遅いぞヒーロー枠!と思ったが!これ幸いと、私は女子生徒をおろし……
「そこで!なにをしている!!!!!」
金髪の身分が高そうな男子生徒が近寄ってくるのを見て……撤退を開始した!
地面に下ろした女子生徒がなにやら、手を伸ばされたが、これ以上関わる気がなかった……
ヒーロー候補も来たしモブに私が……
もう関わる事もないだろうが……
そう思っていた……
だが、なぜか……私は特定され……
先輩と呼んでお昼とか時間があれば、いつの間にかそばに居る
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