あとがき

 漫研ファイブ、いかがだったでしょうか?

 前回こちらで連載したものはこの作品を下敷きにしたリメイクでありました。しかし話の展開が同じことの繰り返しであったり、より響の周りが救いがなくなったりとこちらを超えることができませんでした。そのため、連載を続けるためにこちらをベースにすることに決め、変更を行いました。

 もちろん、以前掲載した分も無駄にはなっていません。遊騎の父親が南極探査隊であったなどの設定は引き継がれました。

 この作品は一本で完結するものとして描かれたので、漫研の五人が初めて出会う話など飛ばされているエピソードがあります。それはおいおいねー。

 ところで響はテロへの加担以上に心の傷となっていることがあります。式神祭は母の日に近いですね。次の話は響がここと向き合い、死ぬための戦いから新たな戦いの意味を得る物語になります。

 なので次回は『失われた心と継がれる青』でお会いしましょう。

 ん? 青? 響は緑担当では?


 …………。


「くだらん」

 ある人物が暗く閉ざされた空間で、あとがきの記されたモニターを消す。画面の表示や電源を消したのではなく、モニターそのものを消したのだ。

「つまり私たちの世界はこいつのために、いくつもの世界と繋げられ幾度も終焉の危機に至っているのか」

 その者は憤っていた。この世界に存在する無数の悲劇。真の2000年問題だけではない。ジーラインの家族が死んだテロ、アンジェが仲間と脚を失った襲撃事件、遺伝子編集禁止法に絡んだ多くの人死に、ヘルサイトで歴史的に行われ続けた魔族による他の種族への差別、第二次世界大戦による多くの戦死者。ありとあらゆる悲劇の根源を彼は知っていた。

「観測者の目に晒される限り、この世界は奴らに求められるがまま付け足される悲劇で崩壊する。『打ち切り』の準備を進めなければ……」

 響たちの知らない場所で、新たな野望が胎動を続けていた。

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