プロローグ2(ルナ視点)

 ここはクロノトリガー大陸、その大陸の東にあるのはアストロア魔法王国。ここには約2万人程の魔法使いとそうでない者が暮らしていた。


 そして、王国から数キロ離れている場所に魔法使いを育てる為に作られたアミュレ学園があり、その先には丘があり、南側に女子寮と北側に男子寮があり、その付近には魔獣避けの石像が数体設置されている。


 そんな学園に私、ルナ・アルナ15歳は通っていた。


 私は平民の家庭に生まれ、幼い頃に母親を早くに亡くし、父親と二人で生活してきた。けど、今は魔法王国の魔法兵団団長レイ・アスナルの様な凄い魔法使いになる為、私はアミュレ学園で毎日、頑張っていた。


 しかし、私は他の平民や貴族とは違う力の持ち主だった。何故なら、私は貴族でもない平民なのに、火、水、風、雷、無の五属性魔法の適性者だっだ。


 しかし、私が扱える魔法は全て初級クラスのものであり、中級や上級クラスの魔法をうまく使う事が出来なかった。さらに、私は無属性魔法にも適性があるはずなのに、回復魔法や強化魔法も使えない。


 そうして、平民の癖に弱い魔法しか使えないと言われた私は、学園で一緒に学ぶ生徒から最弱の魔法使いと呼ばれるようになったのだ。


 それから約一カ月くらい、弱い魔法使い呼ばれた私は貴族の生徒達からの嫌がらせを頻繁に受けるようになる。


 特に、ルナと同じ五つの属性の魔法の適性を持ち透き通った長い青髪、青い瞳が輝いてる貴族令嬢のシルフィーナに……。


 彼女は魔法使いでありながら、アストロア魔法王国では剣聖と呼ばれる兄の妹であり、ファレスト男爵家の令嬢。シルフィーナは平民や貴族に関係なく、自分より弱い魔法使いを認めず、負けず嫌いな性格を持っている。


 アミュレ学園に通ってから、数日後に私は彼女と知り合いになり、友達になり、シルフィーナは平民の私を優しくしてくれた。


 しかし、魔法演習が始まり、私の五属性魔法の適性が初級クラスの魔法しか使えない事が明らかになり、弱い魔法使いの私を知ったシルフィーナは失望し、彼女との関係は終了した。


 そして、私とシルフィーナは一切話す事もなく、彼女は私に対して嫌がらせや酷い言葉を投げかけたりするようになった。


 そんな日々を送りながら、アミュレ学園の近くにあるハーウェトの森で頑張っていた。


 そんな時、私は学園の地下図書館で謎の召喚の書を見つけ、その本が私の運命を大きく変え、新たに出会いを生むものであった。


 休みの日、たまには本を読もうかなと思い、女子寮からすぐ近くにある、地下図書館に向かった。


 そこは初代理事長によって、地下に作られた大図書館であり、様々な分野の本が並んでいて、その入り口は階段で降りる形状となっている。


 そこは誰でも出入りが可能であり、しかし、入れるのは学園の生徒と先生だけで、入り口前には魔法で作られた二つの弓を持つエルフの銅像が侵入者が入らない様に見守っている。


 そして、入り口前についた私は階段を降りていき、少し歩き、茶色の扉の前に辿り着いた。


「よし、入ろう」


 扉を開けると、そこは広々とした空間が広がっていて、左右には沢山の本棚が並んでいて、図書館の中央には、本を読むためのテーブルと椅子が数台配置されていて、昼間にも関わらず、図書館には誰もいなかった。


「……さてと、面白い本を探そうかな」


 その静まり返った図書館で面白い本が探す為、私は左側の横並びになっている5つの本棚に向かった。


 そして、五つの本棚が目の前に広がり、それぞれに異なるテーマの本が並んでいる。魔法の本、魔法の理論、魔法薬の本など、私が興味そそわない本ばかり並んでいた。


「……えぇっと、何か面白い本はないかな?」


 私は前にある本棚に上から下へと順に探していった。すると、一番奥の下の段にある少し古びた薄い茶色の本を見つけた。


 「召喚の書……。何これ面白そう。読んでみよう」と思った私は少ししゃがみ、ゆっくりと古びた薄い本を手に取り、立ち上がって表紙を見てみた。


 本の表紙にはタイトルが半分黒く塗りつぶされた白い文字で書かれていた。「召喚の書」という言葉が目に入った。何の召喚の書なのか、興味津々で私はその本を開くことにした。


 指先でページをめくると、見た事もない魔法陣と私でも読める言葉が書かれていた。


「…見た事もない魔法陣。それにこの呪文は……そうだ、これを使えば……」


 タイトル半分黒く塗りつぶされた謎の召喚の書を見て、私は何かを思いつき、召喚の書を持って行きながら、地下図書館を出て行った。


 私は自分の杖を撮りに行くために一度、女子寮へ戻って、その後、女子寮を出て行き、アミュレ学園近くの丘を降りた先にあるハーウェトの森へ向かった。


 そして、ハーウェトの森の奥へと入った私は地下図書館で見つけた召喚の書を使って、他の生徒達を見返す事を考え、謎の召喚の書を面白半分で試そうと考えた。


 そうして、私は古びた薄い本を開き、書かれている魔法陣を地面に描いた。


「よし、完成だ。これが呪文かな。何が現れるか興味が湧くけど、何が出ても驚かないわ。」


 魔法陣を描き終えた古びた薄い本を開いたまま、手に持った杖を魔法陣に向けて呪文を唱える。


『異空間に現れし者よ。この場に現れよ。』


 その瞬間。魔法陣が輝き始め、その周りをぐるぐると回り始めた。そして、周りの地面が異様な輝きを放った。


「きゃあ、眩しい……」と私はその眩しい光に目が見えなくなる程の刺激を感じて、思わず目を閉じた。


 そして、しばらく経ってから、地面の描かれた魔法と異様な輝きが消え、目を開けた。


 目を開くと私の前に立っていたのは、私の同い年の少女で肩にかかるくらいの綺麗な黒髪。白と赤のセーラー服を身に纏ったまとった異世界人の少女、高波莉葉だった。


 そして、古びた薄い本で召喚した彼女が私の運命を大きく変える存在になるのであった。

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