最弱魔法使いと異世界召喚された規格外魔法使いの学園録

東明時裕夜

第一章最弱魔法使いと異世界少女

プロローグ

 それは夕焼け色に染まるいつもの帰り道。学校を終えて帰る途中、私、高波莉葉たかなみりつは15歳はいつものように足早に歩いていた。そんな時、桂木神社が私の視界に飛び込んでくる。


「じっ、神社か。たまには寄ろうかしら......」心の奥にふと湧き上がる思いに従い、私は神社へと足を向けることにした。


 そして、神社へと足を進めるために、険しい石段をひとつひとつ登っていく。その頂上に立つ鳥居の前に到着した瞬間、境内はまるで時が止まったかのような静寂に包まれていた。鳥たちのさえずりも聞こえず、人の気配も感じられない。


「珍しい、誰もいないなんて……」と私は不思議に思いつつも、気持ちを引き締めて境内の奥へと進んでいき、お願い事をするなら鞄を持ったままだめだと思った私は境内の中にある大きな木の根元に置いた。


 そして、私は賽銭箱のある場所に足を向け、お金を入れると鈴を鳴らし、合掌して願いを込める。それは叶うはずのない、冗談めいた願い事だ。


(もし、異世界へ転移出来るならして下さい。そして、私を魔法使いにして下さい。)


 私は心の中でそう唱える。


 何故、私がそんな事をお願いするかって、それは今の学校がとてもつまらないし、友達を作って普通で全然、楽しくないからだ。


 小説の様な魔法の世界に行きたいし、魔法使いになりたいと私はそう思っていたから、けど、私の願い事は非現実的に有り得ないと私は理解している。


 異世界なんて行けるわけがないと……


 そして、お願い事を終えた私はゆっくりと賽銭箱から離れ、神社の中を見渡して、苦笑いをしながら、「なんてね。そんな願いなんて叶う訳がないのにね」と呟いた。


 そう呟いた瞬間、私の足元が輝き出し、魔法陣が浮かび上がり、まばゆい輝きが神社を覆い尽くした。周囲の光景が一瞬で消え去る。


 そして、「えっ、何?」と私は驚きの声を上げる間もなく、光に包まれていく。神社から離れると共に、私は光の中へと消えていった。

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