第2話 転生したら日本だった件。ただしファンタジーの世界らしい

《あら。申し訳ございませんね?異世界に転生させたのはいいんですが、まさか前世とおんなじ日本だったとは。》


「え?ちゃんと異世界になってるの?」


 見た感じまるっきり日本だったし、そんな、魔法で作られましたっ!!っていう建物とかもなかったけど。


《ええ。恐らく、道行く方々は魔法を使ってるんじゃないですか?》


「っ、そうか。ありがとう。転生させてくれて。」


《では、また。なにか困ったことがあれば念じていただけると5回に一回くらいは現れることができますので》


「五回に一回かよ…?あ、なんでもないです!ありがとうございました!」


《あ、2つだけ。今世の拓海さんが持ってる能力はもうすでに使えるようになってますので。

 ――すべてを人から奪おうなんて、考えないでくださいね?

 それと、この世界の人々、すーぐ人のこと信じるので。騙しやすいったらありゃしませんね。

 それで犯罪に走るなんてことはしないって信じてますけど。》


「―――あぁ。わかったよ。」


 ということで女神様との会話を終えて、とりあえず情報を集めるためにあたりを歩いているのだが………


 あのですね。既視感の正体、わかりました。日本だったこともそうなんだけど――


 ここ!前世の俺の実家があった場所の近くじゃねぇか!!


 なんとまぁ既視感があると思ったら。俺が高校生の時に友だちとよく遊んでたとこじゃん!


 ってことは、だ。この身体の感じ、この体格。そのまんま、


 むぅ…。とりあえず、俺の家に帰らないことには始まらないか。よし、帰ろう。





 _______





 本当に俺の実家はあるのか半信半疑ではあったが、記憶を辿っていくと案外簡単に見つかった。


 ……懐かしいなぁ…。この感じ。もう前世では5年以上時間がなくて帰ってこれてなかったから。


 さ、中に入ろうか。


「ただいまー」


「あ、おかえりー拓海。」


 ………お母さんが若い。俺が高校生ってことは40くらいか?……まだまだ現え……(殴


 ……というか、ただいま、か。これで返事をくれる人がいるってどれだけありがたいことなのか、今の俺にはよく分かる。


 そして、今はもう夜なんだ。普通の親子らしく、晩御飯の献立でも聞いてみよう。


「あ、お母さん!今日の夜ご飯はなに?」


「え?いつも自分で魔法でだしてるじゃない?今日はどうしたのよ?」


 ……なるほど?俺はもうすでにその能力を持ってたってことね…?


 けど、使い方わかんねぇじゃん!聞くか…?いや、けど聞いたらマージで変人って思われるもんなぁ…。……聞かなかったら何も進まないし。聞こう!


「なぁ、お母さん。どうやったら料理出せるんだ…?」


「え、いやいや拓海。今日はほんとにどうしたの?【料理】の使い方なんて『プロフィール』から見れるじゃない?」


 ――プロフィール?そんなのどこにもないけど……?


 あ!あるじゃねぇか!視界の片隅に。ちっちゃく『プロフィール』って書いてる!


 他にも色々書いてあるが…。今はとりあえずプロフィールを見ねぇと。


 プロフィールには、俺の名前、身長、体重、学校での立ち位置、所持スキル等々これからの生活に必要なことが全て書いてあった。


 前の世界で言うところの『マイナン◯ーカード』といったところか。


 っと、今は発動条件を見ないと。


 うーんと?なになに?『欲しいものを頭に浮かべて2秒以上念じろ!?』


 よし、やってみるか……フンッ!


「お~!とんかつだぁ…。」


「なに感動してるのよ、当たり前のことでしょ??」


「まぁそうだけど…?」


 ………危ない危ない。ボロを出したらすぐに転生者ってバレちまうかもしれないから。日頃から気をつけておかないと。


「まぁいいわ、早く食べちゃいなさい?ご飯が冷めるわよ?」


「うん。そうするよ。」





 _______





 ご飯を食べ、自分の部屋に戻って、改めてプロフィールを見てみよう。


 もしかしたら前世での憧れだった空を飛ぶのとかもできるかもしれないし。


『名前 藤本拓海

 生年月日 2月27日

 血液型 A型

 身長 173cm

 体重 59kg

 所持スキル 【料理】【転移】【プロフィール透視】【転移(一度)】【スキル強奪】【恋人作成(一度)】【精神状態把握】【コラ画像生成】【身体強化】


 その他のプロフィール

 顔 現在は下の中。ただし磨けば上の中

 性格 陰キャ

 学校 いじめられている。友達なんているわけもない

 精神 強い。多少のことではへこたれない

 成績 意外といい。教師から嫌われているのが玉に瑕』


 ―――あれ?俺ってもしかしてハイスペックだったりする?


 だって、顔いいんだろ?……今は良くないけど。で、頭もいい。精神も強い。身体も強くなれる。なによりも、【スキル強奪】と【プロフィール透視】と、【コラ画像生成】があるのが強すぎる。


 これだったら。俺をいじめてる奴ら、ボッコボコにできるんじゃあないか?


 というか。俺、前世ではいじめられてなかったのに現世ではいじめられてるんだな。なんかあったのか?


 とにかく、今世で俺がいじめられてるんだ。だったら本当の俺の代わりに、復讐するしかねぇよなぁ?


 けど、その前に。自分以外の人のプロフィールとかってどうやって見れるのか、確認してみよう…。

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