第11話

「約束したでしょ。一緒にデビューして、ずーっと友達でいようねって」


「うん!」


 もちろんここでも、グータッチ。


「あ、そこで提案なんだけどさ」


 美湖ちゃんが、アゴに手をあてて私を見る。


「一緒にジョギングしてみない? 研修生の岸田さんに聞いたんだけど、基本的な体力がつくから歌もダンスもブレないし、ライブの最後まで体力が残るんだって。彩葉ちゃんが体力面で安定したら、もっと上手になるんじゃないかな」


「ジョギング……」


 確かに岸田さんは、何曲歌って踊ってもブレない。そっか、レッスン以外にもちゃんとトレーニングしているんだ。


 研修生の先輩は手の届かない存在なんじゃなくて、努力しているからすごいんだ。


 正直、走るのは苦手。だけど、美湖ちゃんが誘ってくれているなら!


 息が上がっちゃって、頭が真っ白になることがあるから、基礎的な体力づくりは役立つはず!


「やる!」


 私は元気よく挙手した。美湖ちゃんは、ほっとした笑顔を見せてくれる。


「良かった。ひとりで走るのは続かないかなーって思ってたから、彩葉ちゃんと一緒に出来て嬉しい」


 ジョギングする、というだけでこんなに喜んでくれるなんて。私も嬉しい!


 一緒にデビューなんて夢物語かもしれないけど、それでもやっぱり、夢は捨てきれない。


 私を見て元気を貰える、と思ってくれるファンの人のためにも、絶対にデビューする!


 そのためには、自分の出番の曲を減らされないように頑張るのみ。

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