自動販売機

和樹「自動販売機って、超危ないよね」


隆太「危ない? どゆこと?」


和樹「あれって、お金と商品が保管されてる箱みたいなもんで、つまり価値の全てが詰まってるわけじゃん?」


隆太「ああ、言ってしまえばそうなるな。つっても、そんなの奪えっこないだろう? 言わば重い金庫みたいなものだし」


和樹「そりゃそうなんだけどさ、その重い金庫が日本中に点々と在してるわけじゃない? 1つくらい奪われても分からないと思うんだよね」


隆太「奪うって言っても、どうやって奪うんだ? 車とかでか?」


和樹「運搬方法は間違いなく車だろうね。まずケーブル類を軒並み引っこ抜いて、それをトラックか何かで運ぶ。ほら、ザル警備じゃん、セキュリティ性能スカート並じゃん」


隆太「結構簡単に言ってくれるが、それって奪うコストに対して得られるリターン少なくないか? 自販機内部の金銭と商品って、集まっても数万円くらいだろ?」


和樹「いやいや、嘗めちゃいけないよ、自動販売機本体の価格っていくらだと思ってるの?」


隆太「え、まさか自動販売機本体が狙われるってこと? 重いだろそれは……ちなみにおいくら?」


和樹「冷凍販売の自動販売機だと、180万円」


隆太「たっか!」


和樹「ね? だから、そんな高価な代物を道端に置いておく日本ってマジでザル警備だなって思うわけ。ヒラヒラスカートなんだって」


隆太「度々小学生男子みたいな例えしてくるな……しかし、180万円で売られている自動販売機を盗む動機で、180万円が欲しいってんなら、やっぱりリターンが少ないと言わざるを得ない」


和樹「何で?」


隆太「そもそも180万円は、自動販売機で売り上げを出すシステムに対しての値段設定だ。つまり物質自体に値段が付けられているわけじゃない。だから誰も、そんな重い鉄の塊そのものに180万円を出す人なんていないんだよ」


和樹「えー、でも自動販売機で副業するかもしれないよ?」


隆太「いや普通に買えよ、さっき調べたけど楽天市場であるんだろ?」


和樹「ああ、まぁそうなるか。いや消費税がかからない。これはメリットになるよ」


隆太「盗難品を購入したなんて足が付くのって、明らかに18万円のリターン以上のデメリットだと思うけどな」


和樹「ってなると、自動販売機って結構安全だったり?」


隆太「まぁ、そうなるけど、1つ危険なところがある」


和樹「そう? 話してた限り、自動販売機の安全性はまぁ良いと思うんだけど、強いて言えばコンセントを抜いて充電するくらい?」


隆太「いや、キックするとランダムでドリンクが出てくるらしい。この前近くの公園でやってる女子中学生がいてな」


和樹「ここは学園都市だった……!?」

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